「佐久地域は葉洋菜類の⼀⼤産地であり、産地の⽣産を守ることは⽇本の⾷を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、⻘ 果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前の⾏動⼒と突破⼒でその取り組みを進めているのが中嶋 剛登さんです。」
佐久広域連合 代表副広域連合⻑(⻑野県⼩諸市⻑)⼩泉 俊博⽒は、昨年に引き続き開催された第2回ベジロジサミットのオープニングで、こう話されました。「多くの⽅が『熱意の塊』と称する中嶋さんが提唱している『ベジロジナカジマメソッド』。私も、『中嶋さんしかいない』と期待しています。」
⼩諸市⻑ ⼩泉 俊博⽒の2024年10⽉19⽇のXへの投稿
⼩泉市⻑も指摘するように、物流2024年問題の中でもとりわけ解決が難しいとされる⻘果物物流。
その問題解決に向けて⾜取りを進める中嶋⽒の思いと「ベジロジナカジマメソッド」実装に向けての取り組みを、先⽇、下記前後編の記事にて紹介しました。
「当⽇発送」を無くせ! ⻘果物物流2024年問題に挑むベジロジナカジマメソッド(前編)
「当⽇発送」を無くせ! ⻘果物物流2024年問題に挑むベジロジナカジマメソッド(後編)
今回は、10⽉19⽇に開催された第2回ベジロジサミット第⼀部(午前: 屋外編)と第⼆部(午後: 屋内編)の様⼦をご紹介し、現場関係者の⽣の声を通じて現状に迫ります。
はじめに、⻘果物がどのような流通経路を通って⽣産者(農家)から消費者の元へと届けられているかを確認しましょう。
1. 農家(⽣産者)によって栽培された作物は、農業協同組合(農協)をはじめとした出荷団体に集められる。
2. 複数農家から出荷団体へ集められた⻘果物は、トラック輸送を主とする運送会社により卸売市場へ輸送される。
3. 卸売市場へ集められた⻘果物は、卸売事業者により仲卸業者や⼩売業者(スーパーマーケットや⼋百屋など)に販売される。
⽣産者(農家) → 出荷団体(農協など)→ 卸売市場 → ⼩売業者(スーパー、⼋百屋) → 消費者
もちろん、すべての⻘果物が上記のルートを辿るわけではなく、⽣産者から直接⼩売業者や消費者へ販売されるケースも存在しています。ただし、⾷品業界の中でも、とりわけ上記ルートが占める割合が⾼いのが⻘果物物流です。
第2回ベジロジサミット2024でお話しを伺えたのは、農家(⽣産者) 、農協 (出荷団体)、卸売市場、仲買業社、運送業(トラック協会)。そして農協などに集められた⻘果物を鮮度を保って貯蔵するベジロジ倉庫を開発した冷却設備エンジニアリング会社と、同じく鮮度を保ったまま輸送するトラックボディー(荷台)製造会社の⽅がたです。
ここからは、ベジロジサミットの午前(屋外)午後(屋内)の順で、開催内容と、お話を伺った⽅たちの⾔葉を中⼼にお伝えします。Cookieの設定
「ある冷蔵庫で保管すると驚いたことに⾒た⽬、シャキシャキ感、味などの鮮度が落ちずに⾷べることができました。」これは先述の⼩泉俊博 ⼩諸市⻑の感想です。
市⻑の書いた「ある冷蔵庫での保管」——それが、⾼機能鮮度維持倉庫「ベジロジ倉庫」です。
「ベジロジ倉庫」を開発した、フードテクノエンジニアリング株式会社の担当者 ⻘⼭泰介さんはこう説明します。
「⻘果物の鮮度を保つ上で⼤切なのは、庫内温度と湿度を1と100に限りなく近づけ、それをキープすることです。
1は庫内温度で100は庫内湿度。ただし、どちらも決してそれを超えることは許されません。庫内温度が1度を下回ると、⻘果物が凍ってしまい品質に⼤きな悪影響を与えてしまいます。そして湿度が100パーセントに達してしまうと、庫内に⽔滴が⽣じ、⻘果物の⼊ったダンボールが濡れてしまいます。そうなると⻘果物の搬⼊出や保存に⼤きな問題が発⽣します。
⾔葉の上では簡単に聞こえるかもしれませんが、痛みやすい葉野菜や早⽣果物の⻑期保管を可能とする「1℃で湿度99%」という限界
⾼湿度での⽣鮮⻑期保管の実現は、業界の常識を変えるものです。」
「それでは中にお⼊りください。」——⻘⼭さんに誘導され、冷気が循環しているコンテナ式のベジロジ倉庫に⼊り、数カ所で庫内の壁を触ってみると、ヒンヤリとした⼿触りながら⽔気を感じることは⼀切ありませんでした。
レタス試⾷を終えたサミット参加者は、倉庫前に停められた、ベジロジ事業の柱の1つである⾼機能冷蔵トラック「ベジロジトラック」の前に集合しました。
「昨今の異常気象下での夏場の中・⻑距離輸送においては、庫内を最適な状態に保ち続けるのは⼤きなチャレンジです。
この夏、12カ所のトラック荷台の異なる位置に温度センサーを配置し、2回の荷下ろし作業を含む⻑野県から愛知県までの輸送、約12 時間の庫内温度変化を調査しました。
皆様にお配りしたお⼿元の紹介資料に記載したグラフでもご確認いただける通り、8⽉の暑い⽇中正午から夜10時までの輸送にも関わらず、庫内全体に冷⾵を回す機能と、断熱・遮熱に優れた資材や塗装に⼯夫を凝らした⾼機能冷蔵⾞内は、温暖化による気温上昇に影響を受けない安定した庫内温度維持を実現しています。」
ベジロジトラック開発を担当した株式会社パブコの説明担当者の話は続きます。
「もう⼀つお伝えしたい⼤きなポイントは、輸送量を減らさず、容積を確保している点です。
これは『ベジロジナカジマメソッド』の提唱者であり、千曲運輸株式会社代表の中嶋社⻑から『⼿積みよりも短時間で積み下ろし作業を終えることができるフォークリフトでの作業に適していること。そして従来と変わらない積載量を担保すること。
この2つは⻘果物流通関係者全員のしあわせな働き⽅に直結している点なので、絶対に譲れません』と強く要望いただいていました。」
後編では、第2回ベジロジサミット第⼆部のベジロジシステム討論会の様⼦をご紹介します。