AIエージェントの作り方 - IBM watsonx Orchestrateで簡単構築

ノーコードでも高いカスタマイズ性と拡張性を実現

パソコンに向かって作業をする女性

はじめに:AIエージェントとは何か

AIエージェントとは、特定の業務やタスクを自律的に実行する人工知能のことです。営業対応、採用業務、社内問い合わせなど、複数のシステムやツールを組み合わせて雑多な業務を自動化・効率化するために活用されます。

しかし、「どうやって作るの?」「専門知識が必要なのでは?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

IBM watsonx Orchestrateの「エージェント・ビルダー」機能を使えば、ノーコードでありながら高機能なAIエージェントを誰でもわずか数分で簡単に作成できます。以下にその方法をわかりやすくご紹介します。

 

IBM watsonx Orchestrate ログイン

AIエージェントを構築するにあたり、まずはIBM watsonx Orchestrateにログインしてみましょう。30日間の無料トライアルを使用すると、初めての方でもすぐに始められます。

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設定言語の変更方法

 

IBM watsonx Orchestrateのデフォルトの言語は英語に設定されています。日本語で使用される場合は、以下の手順で設定言語を変更できます(こちらのブログでも言語の設定方法をご紹介しています)。

  1. 右上のアカウントのアイコンからSettingを選択。
  2. Platform LanguagesのセクションでAdd a languageのタブをクリックし、Japaneseを追加。
  3. 下のタブで言語をEnglishからJapaneseに切り替える。
  4. Saveボタンをクリックし、ポップアップが表示されたらConfirmをクリック。
  5. ヘッダーのEnglishをクリックしてJapaneseを選択し、ポップアップが表示されたらApplyをクリック

これでページが日本語画面に切り替わり、AIエージェント構築の準備ができました。

AIエージェントの作り方

AIエージェントの作り方は、以下の手順で進めていきます。

  1. 作成するAIエージェントを決定する
  2. エージェント・ビルダーを起動する
  3. AIエージェントを作成する
  4. ナレッジを設定する
  5. ワークフローを設定する
  6. AIエージェントの動作をテストする
  7. AIエージェントを公開する

下のデモ動画で作成手順を分かりやすく解説しているので、動画を参考に一緒に作成してみましょう。作成は5分程度で簡単にできます。デモ動画では言語が英語に設定されていますが、以下手順では画面内の表示を英語と日本語の両方で表記しています。

Step 1:作成するAIエージェントを決定する

AIエージェントは、目的に応じて設計する必要があります。例えば以下のようなユースケースや課題に応じたAIエージェントを構築できます。

  • 営業:リード対応・見積もり対応の遅延
  • 人事:採用支援・応募者対応の属人化
  • IT:ヘルプデスク・社内問い合わせの集中

今回は、会社の休暇制度に関する問い合わせに対応できる人事AIエージェントを作成してみたいと思います。

 

Step 2:エージェント・ビルダーを起動する(1:20~)

watsonx Orchestrateのダッシュボードの左上のタブから「Agent Builder / エージェント・ビルダー」を選択します。ここがAIエージェント作成の中心となるツールです。エージェント・ビルダーを開くと、構築済みのAIエージェントの一覧が表示されます。

 

Step 3:AIエージェントを作成する(1:50~)

画面右上の「Create agent / エージェントの作成」をクリックします。すると「Create from scratch / 最初から作成」と「Create from template / テンプレートから作成」の2つのオプションが表示されます。今回はエージェントをカスタマイズして作成するため、Create from scratchを選択します。AIエージェントの名前と説明文を設定し、「Create / 作成」ボタンをクリックします。以下は記入例です。

  • 名前:人事エージェント
  • 説明文:このエージェントは、会社の休暇制度に関するドキュメントに基づいて、休暇制度に関する問い合わせに対応できます。

 

Step 4:「ナレッジ / 知識」を設定する(2:35~)

プロファイル画面が開き、先ほど設定したエージェントの名前と説明文が反映されていることが確認できます。ページを下にスクロールすると、「Knowledge / 知識」セクションがあります。「Choose knowledge / ナレッジを選択」をクリックし、AIエージェントにタスク実行の際に参照させたい情報(社内文書など)を選択します。

今回は「Upload files / ファイルのアップロード」よりドラッグ&ドロップで休暇制度に関する情報が記載されたファイルをアップロードします。次に進み、アップロードするナレッジの内容や用途を記載します。これはエージェントがその内容をいつ、どのように使うべきかを理解するのに役立ちます。

 

Step 5:ワークフローを設定する(5:10~)

これでエージェントの構築が完了しました。次にエージェントのふるまいをカスタマイズしていきます。ページをさらに下にスクロールすると、「Behavior / 動作」セクションがあります。ここでエージェントの応答方法やプロセスを具体的な指示で設定することができます。

具体例:

  • 特定の質問に関する回答や実行のステップを設定

  • データベースへフォーマットを指定して登録

  • 特定のツールを立ち上げてスケジュールを調整

今回は、ユーザーから休暇制度に関する質問があった場合に、AIエージェントが

  1. 質問に対して回答したあとに、エージェントに対するフィードバックを求め、

  2. 最後に、感謝のメッセージを送る

という流れを実行するための指示を入力してみます。

 

Step 6:AIエージェントの動作をテストする(5:48~)

作成したエージェントは、すぐにプレビュー、テストが可能です。右側のチャット画面で「どのように休暇を申請できますか?」と聞いてみると、AIエージェントが回答を生成し、その後、指示に従ってフィードバックを求め、最後に感謝のメッセージを返してくれました。

 

Step 7:AIエージェントを公開する(6:27~)

動作確認が終わったら、社内環境や業務システムに公開して運用を開始します。画面右上の「Deploy / デプロイ」をクリックし、「Success / 正常終了しました」と表示されたら、デプロイ完了です。

左上の「Chat チャット」をクリックし、エージェントの一覧から先ほど作成したAIエージェントを選択するだけで、すぐに使い始めることができます。

 

IBM watsonx Orchestrateの強み

ノーコードでも高機能・高拡張性

企業のデータ、適切なツール、明確な行動ガイドラインを統合して、ビジネス全体に拡張できる再利用可能なエージェントを設計します。

既存のツールやシステムと簡単連携

チームが既に使用しているアプリケーション、ワークフロー、システムにAIエージェントを統合します。

エンタープライズ向け

独自のユースケースでAIエージェントをカスタム作成できるだけでなく、高度なエンタープライズ・ロジックに基づいた事前構築済みのAIエージェントも簡単にデプロイできます。

すべてのエージェントを一元管理

単一のインターフェースで、事前構築済み、独自作成を含むすべてのAIエージェントを制御、監視します。

おわりに:AIエージェント作成は、誰でもできる時代へ

 

AIエージェントの作り方にご関心をお持ちの方へ。 IBM watsonx Orchestrateなら、専門知識がなくても、業務に役立つAIエージェントを数分、簡単なステップで作成できます。

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寄稿者

坂下文英

IBM Malaysia、マーケティング部門、ウェブ・ストラテジスト