日本のものづくり企業は品質の高さを価値源泉にビジネスを展開し、日本製品は長年、高品質で安全性も高いと世界中から評価されてきた。しかし、この2、3年で品質問題が増加しつつある。その背景には、コスト競争の激化や人材不足による検査・品質管理体制の弱体化や、安全確保のためのマージンの減少などが挙げられる。その一方で、自動化や効率化、あるいは熟練工のノウハウの伝承などを、IoTやAIといった先進テクノロジーによって実現していこうという、新たな品質管理力向上の潮流が生まれている。

中国液晶パネル工場でのAIによる品質検査工程省力化事例

ある中国の液晶パネル工場では150人体制で最終的な製品品質検査の工程を目視検査で行っていた。人の目視による検査は、作業時間もコストも要する上、万一人的ミスにより品質が確保できなければ企業運営に大きな影響が及ぶ。また目視検査においては、緻密な検査作業の実施になるため、そのスキルを身につけてもらうために、研修やトレーニングが相当時間必要だ。また、目視検査から製造工程へのフィードバックに時間を要し、製品のリードタイムを悪化させる可能性を持っている。 
そこでこの液晶パネル工場ではAIを活用し、目検を抜本的に削減させるプロジェクトをスタートした。しかし、液晶パネルの欠陥はサイズが非常に小さく、欠陥のコードも約150種類と多く、検査画像の背景も多様なためAIが間違って認識してしまったり、と検査精度を向上する作業は当初困難の連続であった。しかし背景をマスキングしたりフリッピング処理を実施したり、IBMの研究所のメンバーがデータクレンジングや機械学習を支援した結果、欠陥の分類精度が当初の65%から95.2%まで高められた。

AIを使った品質検査システムのメリット

従来の画像自動検査とIBM Visual Insightsアプローチの違いを説明する図

この中国の液晶パネルメーカーが構築した、AIを使った製品品質検査ソリューションが、IBMのコグニティブ画像解析認識システム「IBM Visual Insights」である。Visual Insightsは、ディープラーニング技術を用いることで、煩雑で専門知識が必要な目視検査プロセスを効率化するソリューションだ。
以前からあった画像認識システムはルールベースの仕組みで、想定外のルールの画像や新しい製品や欠陥タイプには適応しづらく、その都度、システム改修が必要だった。それに対してVisual Insightsは、ユーザーが機械学習をさせられるため、システム自体がある程度自動でロジックを改善できる。このアプローチの違いにより、画像検査の柔軟性と精度は飛躍的に高まる。

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