近年、AIとIoTを活用した「Cognitive Manufacturing」が非構造化データの活用を可能にしたことで、積年の重要課題であった熟練者の暗黙知の形式知化に光明が見え始めた。製品品質検査でもAIの目(Visual Recognition)とデータ分析の仕組み(Visual Insights)が、検査作業の一層の自動化を支援する。

1. IBM Watsonの画像認識機能 Visual Recognition

Visual RecognitionはIBM Watsonの画像認識機能。すぐに使えるようにWatsonが既に学習をしており、画像・映像フレームに写った複数のものや、情景を分析・認識することができ、また機械学習によりWatsonに画像を使った独自の学習をさせることもできる。この機能は、製造業の自社製品の認識・分類や、製造ラインにおける欠陥検出といった業務のAI活用への適用が可能だ。Visual Recognitionは、高い精度の画像認識を少ない画像枚数による短時間の機械学習で実現できる。さらに、日本語・英語を含む多数の言語で認識結果を返すことができ、国内だけでなく海外工場への展開も容易だ。

詳しくは以下のビデオでデモをご覧いただきたい。

デモ:Watsonの画像認識APIでアプリ構築 (11分6秒)

※動画でご紹介しているSimilarity Searchは、2017/9/8のベータ・テスト終了に伴い、現在ご使用いただけません。ご了承ください。

2. IBM Watson Visual Recognitionによる製品検査支援

Watson VRを使った製品・部品のOK/NG判定の説明図

製造ラインにおける製品検査工程でのAIを活用した画像検査に より不良品を検出することができる。こうした「Watson Visual Recognition(VR)」という画像処理のAPIを活用したOK/NG判定支援がどれだけできるかを試してみたいといったご要望は、今たくさんいただいている。
メージ検索などの機能があるが、これは画像トレーニングという検索の機能を使った例になる。

画像トレーニングとは、識別したいクラスのイメージをサンプルとして事前学習させて、認識対象画像を与え、該当するかどうかを判別させるもの。
そうしたやり方で、製品・部品のOK品、NG品のサンプル画像をWatsonに学習させて、製品検査工程を省力化しようという試みだ。

例えば、正常画像と不良画像を50枚ずつ用意し、半分を使って学習させ、残り半分についてOK/NGの分類が可能かをWatson VRで評価する。そうすると、正常あるいは不良と判断した確信度が画像ごとに分類できる。その結果を、異常品を切り分けるための閾値の目安にする、これにより製品検査工程がより正確かつスピードアップするはずだ。

3. IBM Visual Insightsで欠陥検出プロセスを加速化

まず、以下のビデオをご覧いただきたい。英語音声で恐縮だが、イメージ動画なのでコグニティブとIoTを連動させたこれからの製品検査工程の姿がイメージできる。

IBM Watson IoT: Cognitive Visual Inspection (日本語字幕, 1分13秒)

実際、こうした製品検査工程をコグニティブとIoTで自動化していくためのIBMのソリューション、それが「IBM Visual Insights(VI)」だ。VIは、 IBM Watson IoT for Manufacturing ソリューション・スイートの中の製品であり、コグニティブな外観検査を通してよりスマートなモノづくりと「インダストリー 4.0」のための変革を実現する。

VI は、製品・部品の受入れ検査工程で欠陥を検査し、学習させた欠陥パターンと照合し、パターンに応じてOK/NGの分類を実施する。 このソリューションは、煩雑で専門知識が必要な外観検査プロセスを迅速化することで、製造工程における欠陥を素早く特定することができる。

IBM Visual Insights(VI)のスクリーンショット画像

VI と もう 1 つのWatson IoT for Manufacturing のソリューションであるIBM Prescriptive Quality for Manufacturing(PQM)は、製造業の生産現場の環境でコグニティブの活用による処理の加速化を可能にする。VIは、 IBM Prescriptive Quality for Manufacturing(PQM) ソリューションと連動し、製造データ・ソースから得られる様々な構造化および非構造化の製造現場の情報を分析することで、製品の品質判断の高速化・正確性の向上を支援する。 またこれらのソリューションは、事前に作成された標準分析モデルとディープ・ラーニング・モデルを使用して、設備操作と製品の品質を高め、結果として廃棄を減らし、製造時の歩留りを向上させることができる。

IBM Prescriptive Quality for Manufacturingのスクリーンショット画像

また IBM Watson™ IoT Platform と統合し、製造現場のセンサーと入力を直接接続することで、デバイス、機器、製品によって生成される生産工程の様々なデータの、接続・収集・分析を自動化することが可能となる。

VIが実現する 生産現場のカイゼンについては以下の通り。

  • ディープラーニング等のアルゴリズムを使用して欠陥パターンを学習し、納品された部品画像の欠陥有り/無しの分類判断を支援
  • モデル管理者やデータ・サイエンティストにより製造欠陥の定義し欠陥原因の追跡、より正確な評価の作成
  • 外観検査官と検査責任者の外観検査の時間を短縮
  • 製造時の歩留りの向上と廃棄の削減を推進

4. IBM Visual Insightsの運用

Visual Insights (VI)の業務適用の概要図

これまで見てきたとおり、VIはコグニティブ機能を使って製品・部品の欠陥を検査し、学習した欠陥パターンと照合し、分類する。煩雑で専門知識が必要な外観検査を素早く省人化して実行するものだ。

運用の体制としては、現場のライン検査官や、バックヤードで支えるVIセンターのモデルマネージャーやデータサイエンティストが協業する。進め方としては、まずモデルマネージャーが不良品のモデルを定義し、データを収集する。それを使って、データサイエンティストがモデルトレーニングを実施。そして、VIエッジにトレーニング済みのモデルやモデルの実行ライブラリーを入れ込むことによって、その後、製造現場で撮影された画像をモデルの教育結果によって判定し、随時、VIセンターに送る。それとは別に、サンプルチェックを行い、モデルの確かさをさらに再教育するといった一連の流れとなる。

Visual Insightsは、こうした製造業の品質検査に限らず、様々な業界の保守業務に適用可能だ。ぜひ、活用をご検討いただきたい。

製造業の未来像を示すCognitive Manufacturing

日本アイ・ビー・エム株式会社
技術理事 テクニカル・リーダーシップ
自動車産業CTO 
北山 浩透

IoT+コグニティブで変わるこれからの日本のモノづくり

日本アイ・ビー・エム株式会社
理事 GBS事業
IoTサービス担当 
寺門 正人

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日本アイ・ビー・エム株式会社
製造第一IoT ソリューション
エグゼクティブコンサルタント 
富田 祐司

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