IoT時代のモノづくり革新

~デジタルデータ活用によるモノづくり強化~
 

Our Customer’s Presentation

IBM 生産革新セミナー関西
コニカミノルタ株式会社
浅井 真吾氏 講演録

この記事は、2018年11月16日、日本IBM本社で開催されたIBM生産革新セミナー・秋にて、コニカミノルタ株式会社 常務執行役 生産本部長 浅井 真吾 氏の講演をまとめたものです。

当記事の内容に関しては、コニカミノルタ株式会社様(以下、コニカミノルタ)により発表された事例であり、IBMがその内容を検証・確認したものではありません。ご了承ください。

1. カメラ&フイルムの事業から働き方改革ソリューション事業へ

浅井 真吾 氏の写真

まず、核心に入る前に私たちコニカミノルタの現在の事業について簡単にお話します。私達は、2003年コニカとミノルタが対等合併して生まれた会社なのですが、その時の中核事業である「カメラ」と「フイルム」は、現在ありません。現在は、ビジネスソリューション事業という、コピー・プリント・FAXの複合機を核にした、働き方改革ソリューションをお客様に提案する事業が中心になっています。
このビジネスソリューションはもともと紙を印刷して、その消耗品で利益を上げるというビジネスモデルだったのですが、現在の私たちの提案は、その紙を減らして、オフィスでの働き方を変革する、というビジネスモデルに切り替え新たな価値をお客様へ提供しています。また、プロダクションシステム&グラフィックは、デジタル印刷のメリットを最大限に活かす技術開発により、短納期でのオーダー、在庫レスのための少ロット印刷、ニーズの多様化に合わせた多品種印刷を実現しています。その結果、デジタル印刷のメリットを最大限に活かす技術開発により、オフセット印刷ではカバーできない市場を拡大しています。これら事業を通し、国内外のさまざまな市場において確かな地位を築いており、現在は約150カ国の200万顧客にセールス/サービス体制を展開しているのが我々の強みです。この強みを活かしコニカミノルタが目指す姿は、ビジネス社会・人間社会の進化のために新たな価値を創出し続ける企業になることです。従来の製品別事業体制から脱却し、全社を挙げて業種業態別お客様企業のトランスフォームを支援することによって、お客様企業の潜在的課題を先取りしてともに解を創出し新たなビジネスを作り上げることを目標としています。これにより、お客様のビジネスの進化、人間社会の進化に新たな価値を創出し貢献しながら、企業としての持続的な成長を目指しています。

2. コニカミノルタが考えるデジタル時代のものづくり革命

コア技術・技能の磨き上げにデータを活用

コア技術・技能の磨き上げにデータを活用

コア技術というのは、日本の製造業の多くの企業がそうであるように、生産現場にて作業者の五感と経験からくる技能を基に、他社では真似ができない、まさに競争力の源泉となる技術です。このコア技術は現場力(生産技術開発、更なる改善、技能の伝承)によって支えられており、人が持つ技術、技能、経験をデータ化することによって現場力の向上を図ってきました。

そうした中でデジタル技術が急速に普及し、あらゆるものがネットワークに接続できる環境が整ってきています。このような環境変化に伴いIoTデバイスの普及率が急上昇しデータの流通量も莫大に増えています。これにより、開発・設計、品質、経営数字、調達、稼働状況、生産計画、お客様まで国場所を超えて、あらゆるデータがつながって、今まで見えなかった新たな洞察が見えてくるはずです。こうした生産現場のデジタル化を受けて、コニカミノルタはものづくり改革を進めています。従来のものづくりは「人手や個人」「特定地域や拠点」「変動ロスを生む変動」に依存していました。対照的に、「人、国、場所、変動に依存しない生産」は標準化、数値化することで人、個人から脱却した生産、消費に合わせたグローバルな生産、変動を分散吸収し、ロスを最小減にする生産を目標としています。それを実現するため、現場力、技術・技能データおよびデジタルマニュファクチャリングの思想が必要となります。

コニカミノルタが考えるデジタルマニュファクチャリングとは、「あらゆるデータを収集し、そのデータ分析・活用範囲を広げることで、今までにないワークフローへ改革し、新たな価値創出により、顧客のQCD向上を実現すること」になります。

3. デジタル・マニュファクチャリングの実例

間接業務を“デジタル化”と“標準化”することでコストを減らすの図1

間接業務を“デジタル化”と“標準化”することでコストを減らす

●事例1:ECRSとワークフローの標準化

コニカミノルタでは間接業務を対象に「働き方を改革しよう。」と取り組みを行いました。ECRS(文書工数を切り口とした業務分析と再構築)とワークフローの標準化から着手し、大量の文書情報などを整流化して、文書の作成工数を削減することを目標にしました。この取り組みにより中国の工場では約3割の業務が間接部門で削減ができました。ここでは、M-Document、D-dashboardというシステムを導入し、作成された文書の自動共有と共有した資料の閲覧ログを管理することで文書共有作業を抑制すると共に、必要のない資料作成削減を行いました。こうした間接業務を標準化して整理し、ワークフローを整えるだけで、文書量の半減に成功しています。

※D-dashboard :ラックインターナショナル製の文書管理ソリューションシステム、M-Document: KMC製の文書管理およびIoTソリューションシステム

事例2:データ活用に向けた技術・技能データ収集(金型編)

部品加工・組立工場における取組みに関しては、現場に多くの自動化設備を導入し、人作業からロボット、自動機作業へ切り替えを進めています。これによって、直接作業人員の抑制とともに、生産現場からさまざまなデータを収集できる環境を整備しています。これらから蓄積されたデータは「M-Karte」というMES(製造実行システム)を使い、設備・金型の故障状況や品質を見える化しています。一部の成果として、金型の事後メンテナンスから最適な予兆管理のメンテナンスが現の向上に繋がりました。

※M-Karte: KMC製の文書管理およびIoTソリューションシステム

事例3:データ活用に向けた技術・技能データ収集(設備編)

技能・技術データを収集し、集められたデータを活用するためには、異なる成形機メーカーやさまざまな周辺機器から収集したすべてのデータを標準化する必要があります。コニカミノルタでは前述の「M-Karte」を使用し、すべての成形機の状態をリアルタイムに収集したほか、各成形機器の稼動に合わせて、各種成形ログを自動で蓄積できるようにしました。ここで蓄積した設備データを活用し、成形ログによる品質管理をした結果、重量不良や外観不良などの不良率が削減され、品質の向上に繋がっています。

間接業務を“デジタル化”と“標準化”することでコストを減らすの図3

●事例4:設備データ活用:リソースの最大活用

MFP(複合機)の印刷時に使用するトナーボトルは消費地生産しており、トナーの充填工程(容器にトナーを入れる工程)はワールドワイドで行われています。プラント系の拠点施設では、設備を止めずに品質を安定させることが生産管理、しいては経営指標に直結します。従い、連携されたデータを活用し、早期で異常を感知し、トナーの充填異常などに迅速に対応できるように工程を変革しています。この変革から、充填異常の回数やトナーロスを削減し、消耗品の生産効率の向上を図りました。

事例5:データの連携・活用:レンズ組立工数の削減

MFP(複合機)に用いられる光学ユニットは高精度であるレンズの生産を日本、そのレンズを使った光学系の組立をマレーシアで行っています。このユニットは、高精度な調整が必要なことから、マレーシアでの組立において調整工程に非常に手間がかかっていました。そこでレンズ成形のデータ分析と活用に取り組み、日本で生産したレンズの測定データからマレーシアの組立調整値へと自動変換し、マレーシアの自動調整組立機にデータ転送することで調整作業の自動化を実現しています。

4. 最も大事なことは「働く人のマインドの変革」

Cognitive Manufacturing Forum IBM 生産革新セミナー

今後デジタルマニュファクチュアリング進める上で重要なことは、まず既存の生産現場のデータや間接業務に存在しているデータを収集してつなげることです。これからは、デジタル化された機械からは容易にデータをとることが可能であり、従来人の作業で行ってきた紙・帳票類もデジタルデータに変換し、自動化・標準化することが可能です。これらのつながった膨大なデータを分析・活用することで、保有リソース(人・設備・スペース、時間)の最大活用を目指していきます。膨大なデータを分析・活用すれば、人や時間のみならず、在庫も減らせ、空間、時間が短縮できる。それらが結果として生産経営の向上につながっていきます。

コニカミノルタ、はたまた製造企業に限らず、今やデジタルを使った自動化やICTのさらなる先進化はどの企業においても必然です。その中で、他社と差別化して、生き抜くためには、デジタルデータをいかに活用して新しい価値を生み出していくかが重要であり、そのために最も必要なものは働く人のマインドの変化だと考えています。作らなくていい資料をせっかく作ったからといって残そうとする無駄な人間、自動化できるのに、先々で本当に使えるのかと言って自動化への一歩を踏み出せない担当者、部下に検討させるだけさせて決断できない上司。表現が辛らつになりましたが、どの企業にも存在するであろう、こうした抵抗勢力を変えていくことこそがIoTの時代を生き抜く方法に他なりません。可能な限り道具を使い、機械化を進め、無駄を省く。まずは働く人のマインドを変革し、データを揃えていく、そこから始めていくことこそが重要なのです。

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