顧客に代表される資産を持つ典型的な日本の製造業にとって、デジタルトランスフォーメーションは新しいデジタル技術を適用することではない。ビジネス目標の達成と企業の成長を実現するためにITを活用し、「今を強くする」そして「未来を作る」を実現したヤマハ発動機のデジタルトランスフォーメーション事例を紹介する。

デジタルトランスフォーメーションに取り組む前に議論すべきこと

デジタルトランスフォーメーションに取り組む前に、経営陣と10年先を見据えた経営基盤はどうあるべきかについて話し、目的の合意をしていくことが大事だ。そのような話をすれば、経営陣からはやりたいことがどんどん出てくる。次に、実際の経営課題や戦略に対して、最新の技術を使えばどういうことができるか、どこまで変えられるか、といったデジタルが成しえるインパクトを共有する。

特に、先読みするような予知型経営にはITやデジタル基盤が不可欠だ。今後、デジタルで新しいビジネスを作っていくには、どういう形で顧客と新しいビジネスを共創できるかがキーポイントになる。IT主導で走るのではなくて、経営層がこういうふうに動かなければいけないという意識を醸成するところに多くの時間を使った。

デジタル戦略の重点領域

デジタルマーケティング コネクテッド データ分析 スマートファクトリー

デジタル活用でビジネスを伸ばしていく目的は、「今を強くする」と「未来を作る」だ。既存事業の強化である「今を強くする」については、データ分析によって会社の色々な経営をスムーズにしていく。具体的には、デジタルでデータを集めて、デジタルマーケティングを駆使してシェアを狙うことを考えている。「未来を作る」は新しいビジネスを作るということだ。顧客とつながり、モノとコトの両方を合わせた形で新しいサービス提供することにより、新しいビジネスを作っていきたいと考えている。

実現のためにデジタル戦略部を発足させて、「デジタルマーケティング」、「コネクテッド」、「データ分析」、「スマートファクトリー」の4つの領域にフォーカスしている。

スマートファクトリー

工場のIoTに代表されるセンサーからデータを取って、ということを結構やっている。そして、工場系の生産オペレーションについて、データを自動的に各所に送り、決まったルールを決め、ツールでオペレーションをきれいにしていこうとしている。世界各国に工場がある中で自社の強みは何かを考え、グローバルの全体最適化を実現するためにも、データの一元管理、見える化、これはマストでやらなければならない。

IoTを活用して全てのデータが「見える化」されることで、コストや固定費が削減できる。デジタルを活用して、データで示すことで、ここに工場を集約する、ここの工場は閉める、といった判断ができるようになる。

データ分析

データ分析に関しては横浜にCenter of Excellence(CoE)を置いて、データ分析を必要とする事業部や本部が持ち込む、大きな難しい問題への対応をしている。そして、横浜で多少なりともデータやデジタル、分析という経験を積んだ人が事業部や本部に帰って、以後は自分たちで対応してもらう。

データ・サイエンティストは、採用が難しいことから育成している。データ・サイエンティストを育てているプログラムやカリキュラムをデータ分析の会社から提供いただき、同じような形で取り組めば、中堅のソフトウェア・エンジニアが育つ、というのが実感だ。

典型的な製造業でDXを実践するには

色々なITの変革、デジタルトランスフォーメーションは、ユーザー部門を主幹事としてうまく動かしている。典型的な製造業でデジタルトランスフォーメーションを実践する場合、経営とビジネス戦略のすり合わせができれば、トップダウンでなくても動かせる。

トランスフォーメーションということで、色々な大変身の事例が出ているが、必ずしもデジタル変革で大変身する必要はない。日本の製造業が持つ資産を有効活用することは一つの手かと思う。

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