自動車産業では、自動運転&Maas・デジタルツインなど新しいテクノロジーが一気に登場し、時代は大きく変化している。
生物がカンブリア紀に爆発的に増加したのと同様に、「ITのカンブリア大爆発」が起こっている。
今やビジネスもITなしでは成り立たなくなった。
今後、さらに私たちの想像以上に激しい変化が訪れることも予想される中、企業のIT部門はいかにあるべきなのか。
デンソーでは、未来のモビリティー社会のビジネスを見据え、コトづくりの体制構築に取り組んでいる。
「社内にシリコンバレーをつくる」という目標を掲げ、IT部門を再編し、開発の仕方を変革した取り組みと成果について紹介する。

“攻めのIT”への変革、とは何か

デンソーでは、交通インフラも人もつながり全体最適化がなされ、モビリティーがサービスとして提供される「MaaS」(Mobility as a Service)の世界になった時に、どのようなビジネスができるのかを考えている。

その一つが「シャドウ(デジタルツイン)」というアプローチだ。
未来の車社会の姿をフィジカルな世界とサイバーの世界とで考える。フィジカルな世界のデータをクラウド(サイバー空間)に上げる。クラウド上に投影されたシャドウにフィジカルな世界を上げれば、サイバーの世界でもリアルと同様にモノづくりもコトづくりも行える。

こうしたリアルとクラウド上のシャドウの世界でのビジネスの組み立ては、もともとネット系企業やシリコンバレーのスタートアップ企業が得意とする領域だ。そこでは破壊的イノベーションが生み出され、新しい企業が次々と現れている。私たちデンソーは、そうした企業と同等のことができるようにしたい、と最初に目標を定義し、コネクティッドカー時代におけるデジタルトランスフォーメーションへの対応するための “攻めのIT”部隊の立ち上げ“を進めている。

クラウドのオープンソースとアジャイル開発への取り組み

まず2017年4月に組織変更をして、攻めのITを作るデジタル イノベーション室を作った。「社内にシリコンバレーをつくる」というスローガンを掲げ、クラウドとオープンソースの活用と アジャイル開発に取り組んでいる。

アジャイル開発の利点の一つは、仕様を決める人とつくる人がゴールを共有していることだ。もう一つはコストが結果的に安くなることが多い点だ。ウォーターフォール開発では、途中で仕様が追加されたり、逆に不要になる部分が出てくる。しかし、アジャイル開発では、基本的な機能を見せながら機能を追加していくため、結果的に開発期間を短縮し、コストを削減できる。

デザイン思考を新しいサービス開発に活かす

アジャイル開発については、まず手の動くチームをつくろうとしてきたが、ゼロからイチを生み出す、デザイン思考についても考えていく必要がある。

デザイン思考にはいろいろな手法があるが、そのプロセスを大きく見ると「観察(Observation)」、「発想(Ideation)」、「試作(Prototyping)」に分けられる。新しいサービスを考え出す上で特に大事なのが「発想」だ。発想段階で行われるブレインストーミングでは、質より量が大事。発散と収束を繰り返すような形で、皆でたくさんのアイデアを出して、新しいサービスを考えている。これをアジャイル開発に紐付けると、ユーザーに新しいサービスを提供できるシステムにつながっていく。

イノベーションと進化は違う。どれほど急激な伸びがあっても、現在の延長線上にあるものは進化であり、全く違うところから生まれるのがイノベーションだ。タクシーで例えると、たくさん乗れる、心地良い車に変えるのが進化で、UBERのように業界の仕組み自体を変えてしまうのがイノベーションだ。イノベーションにはデザイン思考が大事になる。デザイン思考は、従来の仮説検証のアプローチと違い、仮説をいかに探し出すかをポイントにおいて進めている。

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