※当ページは 日本IBM 理事 GBS事業 IoTサービス担当 パートナー 寺門 正人の講演をまとめたものです。

IoTやAIで自社製品の顧客価値増大を実現するために

IoT市場は世界的に拡大しており、今後も成長を続けるといわれている。2020年にネットワークに接続する製品・機器の数は300億個となり、2019年にはIoTによって新たな市場が200兆円規模で生まれると予想されている。かつてないほどのインパクトで、多くの人たちに影響を与えるこのエリアに世界中の経営者が注目している。
総務省がまとめた「IoT国際競争力指標」(平成29年3月発表)によると、日本は総合ランクで主要十カ国・地域中で米国・中国に次ぐ3位だった。日本はIoTで非常に盛り上がっている国とされているが、2位の中国も同様だ。中国では最新テクノロジーの活用が会社や国全体で進むとともに、ネットワーク環境も進んでおり、日本にとって大きな脅威であり、かつ手堅い市場になり得る。
こうした背景の中で、ものづくり大国日本はこの大きな「波」にどのように対応していくべきだろうか。

なぜ今「IoTとAIを活用した製品の顧客価値向上」なのか

IoT・AI時代における戦い方

今、IoTやAIが注目されている理由は大きく2つある。1つはコストに大きく寄与するためだ。工場や製造設備自体をIoT、AI化し、自律的に生産できる工場にすることで製造コストが安くなる。もう1つは、製品や付随サービスにIoTやAIの機能を付与することでコト価値を高め、顧客への訴求力を高められる。
このWEBサイトでご紹介している「コグニティブ・プロダクト・コンサルティング」は、いうまでもなく後者の「IoTやAIの機能を付与しコト価値を高める」ために、IBMがお客様の製品・サービスの開発をご支援するサービスとなる。
この領域では、従来は同業他社と戦っていればよかったところが、今後はデータ力を後ろ盾に異業種参入してきたIT企業とも戦わなければならない。こうした新しい競合企業との戦い方も考慮した戦略立案が必要だ。

「IoTとAIを活用した製品の顧客価値向上」のパターンは、現在大きく分類すると以下の3つに分けて考えている。
1つ目は「つながる」。製品に内蔵されたセンサーによって、モノの稼働状況や利用環境がわかり、それに応じた動きが可能になる。
2つ目が「目を持つ」こと。製品にカメラを内蔵させ、画像認識技術でその製品の近くにある別の『モノ』の状態がわかり、それに応じた動きができるようになる。
3つ目が、「耳・口を持つ」パターン。つまり、モノ自体が近くの『人』の言葉や文章を理解する。話すこともできるため、会話を通してリアルタイムに顧客の要望を聞き、対応していくことが可能になる。

IoT・AIによる価値向上のパターン

IoTを使った「製品の付加価値の拡大」~コネクテッド・プロダクト~

IoTを使えば、販売した製品の利用状況を、お客様に了解を得た上でモニタリングし、様々な付随サービスを提供することができるようになる。IBM コグニティブ・プロダクト・コンサルティングは、お客様の既存の製品・サービスを、IoTでどのように付加価値を向上・拡大させていくか、をサポートするサービスだ。

IBMのこのサービスの強みは、単にアイディア出し、ビジネス・モデル戦略立案だけにとどまらず、実際にIoTやビッグデータを活用した新しいサービスの構築の完成まで、一貫してお客様をサポートすることが可能な点にある。では、IoTでつなげることによる「製品の付加価値拡大」を以下の3つの切り口から見ていこう。

1.IoTでお客様製品使用の見える化に伴う付随サービスの提供

コグニティブ・プロダクト・ユースケース 家電

ある家電メーカーでは、通販サイトと消耗品や付属品を扱うパートナーと協業し、消耗品の自動補充をする仕組みを構築した。洗濯機にセンサーを付け、稼働状況を監視することで、洗剤の使用量が洗濯量と洗濯時間と水の量から推定できる。それにより、洗剤がなくなる前に洗濯機がネット通販に自動発注し、消費者が意識することなく洗剤が補充される。簡単な例だが、センサーがあるからこそ利用状況が把握でき、消費者の煩わしさを軽減できる。また家電メーカーをはじめとする3者が連携しながら成し遂げている点も興味深い事例だ。

2.IoTでお客様ビジネスの見える化に伴うコンサルティングの提供

コグニティブ・プロダクト・ユースケース 農機・建機

ある農耕機メーカーでは、農業のライフサイクルを4つに分け、それぞれに応じてIoTを活用してコト売りを実現している。準備・種まき段階では、農耕機に付けたセンサーでどこを耕しているかがわかる。IBMが買収したウェザーカンパニーはピンポイントの天気予報がわかるため、予報データに基づき、統計解析などを行うことで不作のリスクをかなりの確度で評価できる。リスクがわかれば、関連会社で保険を提供したり、田畑・水田に設置するセンサーを貸し出し、水まきや肥料やりのタイミングに関するリコメンデーションなどにもサービスが広がる。さらに、機械の故障を予知して早目にメンテナンスすることで収穫に支障を来さないうようにするほか、多様なデータ解析を基に計画を立てコンサルテーションを行えるようになった。農家のライフサイクルに合わせて、IoTのテクノロジーを使いながらサポートしている。

3.IoTでの商品の自動決済の実現

eコマースの登場は世の中に大きなインパクトを与えたが、さらに次の次元へと進化している。あるカード会社では、モノに付けられたセンサーデータを活用した自動決済の仕組みを開発していることを発表した。この発表は、ガソリンスタンドで給油する際、ポンプに備わったセンサーで給油量や料金がわかり、手元に現金やカードがなくても決済できる、というものだ。これによりカード決済の列に並び手続きの必要がなくなる。利便性を高めることで、さらに自社カードの普及を広めていくという狙いがある。

AIを人間化することで生まれる「製品の付加価値の拡大」~コグニティブ・プロダクト~

前述の通り、IBM Watsonは人間の「コミュニケーション能力」を補う機能を有している。この機能を活用すれば、今まで人間が提供していたサービスの一部を、AIに任せ人間は更に付加価値の高いサービスへとシフト&集中することができる。また、製品が人間の言葉・文章を理解し対話することによって、『ユーザー』の意思・意図、困りごと、質問、関心事などに応じたサービス(付加価値)を提供することができる。

IBM Watson コミュニケーション技術の製品・サービスへの適用

製品が人間の言葉・文章を理解し、対話を行うことにより、『ユーザー』の意思・意図、困りごと、質問、関心事などに応じたサービス(付加価値)を提供する。『人・ユーザー』との双方向のやり取りに伴う対話型のサービス提供が可能となる。

顧客の求めるサービスをその都度提供できる可能性が拓けるという点が、コグニティブ・プロダクトの革新の方向性となる。では、AIを人間化することによって生まれる「製品の付加価値拡大」を見ていこう。

1.お客様とAIがオンデマンドに会話し、お客様へ必要な情報を提供

Olliという自動運転バスは、人と会話してさまざまな情報を提供したり、乗客に言われたことに応じてサービスを提供する。車内の温度や速度、停車した理由、観光案内情報を紹介したり、乗客に乗り心地を尋ねるなど、要はバスガイドさんのように乗客をケアする。一見、製品に会話機能が追加されただけのように見えるかもしれないが、こういう耳や口があれば、ユーザーが望んでいる、あるいは意図していることを製品が人にダイレクトに尋ねて、サービスを返せる。それが音声認識技術を付与した製品の特長になる。
Olliにおける、AIによる新しいサービスの提供に関しては以下リンク先のページに詳しい。

2.AIが人間に代わって会議の議事録をまとめる

あるオフィス機器メーカーでは、インタラクティブ・ホワイトボードを活用したCognitive Workplaceを開発した。Watsonの人の言葉を理解してテキスト化する技術を活用し、会議で話されている言葉をテキストに自動変換して表示する。

例えば、前回の会議で決定したことを確認したいけれども、議事録がなかったり書き漏れていたりして、次の回で何を決めたらいいかわからないといったケースがある。このホワイトボードは人が話した言葉がテキスト化され、投影されたスライドとともに残るため、議事録を書かなくてもそのログを振り返ることができる。こういった機能が加わることでモノと人がより近くになって、インタラクティブなコミュニケーションができる、非常に良い例だと思う。

AIを活用した人間の「視覚」「聴覚」を支えるサービス提供

製品やサービスにAIの画像認識技術を製品に組み込むことで、『モノ・人』の状態や動きに応じた、より“動的な”サービス(付加価値)を提供することが可能になる。

IBM Watson 画像認識技術の製品・サービス適用

画像認識技術を製品に組み込むことにより、製品の近くにある『別のモノ・人』の状態や動きに応じた、より“動的な”サービス(付加価値)を提供することが可能となる

IBM Watson Visual Recognition

ここで、現在のIBMの画像認識関連技術をご紹介させていただきたい。従来は画像をコンピューターに認識させるためには、例えばこれはシベリアンハスキーだ、これはダルメシアンだと教えこませる必要があった。目の位置や色などの判定アルゴリズムを人が入力してやっと判定できた。弊社の「IBM Watson Visual Recognition」では、シベリアンハスキーの写真を十数枚入れると、システムが特徴を学習し、自動で判別できるようになる。こうしたディープ・ラーニングに基づく画像認識がさまざまな製品に使われることになるだろう。

IBM自身も自社製品に画像認識技術を取り入れている。「IBM Visual Insights (VI)」という製品がある。このソリューションは、製品・部品の受入れ検査工程で画像認識を使用する。ITは欠陥を画像データで製品を検査し、学習させた欠陥パターンと照合し、パターンに応じてOK/NGの分類を実施する。 このソリューションにより、煩雑で専門知識が必要な目視検査プロセスを迅速化することで、製造工程における欠陥を素早く特定することができる。
こうした、AIの人間の「視覚」を支える機能を製品に組み込むことで、既存製品に新しい価値を加えることができる可能性は高い。

IBM コグニティブ・プロダクト・コンサルタント

寺門 正人の写真

寺門 正人

IoT&ビジネストランスフォーメーション
パートナー

製造業サプライチェーンの分野で20年弱のコンサルティングの経験を持つ。サプライチェーンの構想策定や業務改善支援を中心に実施し、生産や販売など、現場における指標策定・運用のコンサルティングを強みとする。
また、新興国におけるサプライチェーン推進の経験も豊富。IBMが提唱する次世代SCMの推進にも従事し、次世代SCM・指標運用に関する執筆多数あり。 現在IoT&ビジネストランスフォーメーションのパートナーとして活躍中。

広橋 さやかの写真

広橋 さやか

IoT&ビジネストランスフォーメーション
パートナー

製造業の研究開発部門や組み込みシステム分野での豊富なコンサルティング経験を持つ。
現在、IoT&ビジネストランスフォーメーションのパートナーとして、自動運転支援システムの構築や、製造業・流通業などにおけるIoTの構想策定、システム構築などを幅広く担当している。
IBMのコグニティブ・プロダクト・コンサルティングのリーダーとして講演活動も多い。

先進テクノロジーを活用し 顧客価値向上を実現する モノ+コトづくりイノベーション支援サービス

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