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Jin K.

“「走る」、「曲がる」、「止まる」に加えて「つながる」という新しい自動車の価値が模索される中で期待されるクラウドの大きな役割”

Q:木村さんが担当されている自動車向けのクラウド・アプリケーション開発について教えてください。

A:ひと言で表現するのは難しいのですが、走行する自動車とクラウドをつなぎ、自動車からさまざまなデータをリアルタイムに集めるとともに、クラウドからドライバーに運転中に役立つ情報を提供するというものです。例えば、安全運転のためのアドバイスや、走行している先にあるコーヒー・ショップで使えるクーポンや、キャンペーン情報などを、クラウドから走行中のドライバーに送ります。


Q:自動車業界でもクラウドの重要性は高まっているのですね。

A:クルマのIT化の潮流は目覚ましく、クラウドはますます大きな役割を果たすようになってきています。例えば最近、話題になっている自動運転では、多くの情報があればあるほど運転の安全性や迅速性は高まります。完全な自動運転が導入されると、ドライバーは運転をせずに、車内で映画を見るようになるかもしれません。ちょっとSF的ですが、そんな想像も現実になる日が近づいてきています。「走る」、「曲がる」、「止まる」に加えて「つながる」という新しい自動車の価値が模索されている中で、クラウドには大きな役割が期待されています。


Q:現在のお仕事では、どのようなところが難しいと感じますか。

A:IoT全般に言えることですが、目に見えるデバイスから収集したアナログ・データを取り扱うため、デジタルな世界にはない曖昧さ、不確実さに直面することが多くあります。例えば自動車のスピードは時速40キロなのか、50キロなのか、どちらがいいのかは明確ではありません。これまでソフトウェア開発を担当してきて、「0(ゼロ)」か「1」かという世界に生きてきました。現在、取り組んでいる仕事は、曖昧さが多分にあり、その中で何らかの根拠に基づいて合理的な判断を下し、必要な材料をお客様にご提供しなければなりません。そこが難しいところだと思います。


Q:面白いと感じるところはどんな点ですか。

A:仮想的なクラウドの世界で仕事をしながら、自動車のような目に見える「モノ」とその物理的な「コト(事象)」を取り扱うところにIoTの醍醐味があると思います。橋やビルなどの大きな建造物を見るたびに自分の仕事の成果が「目に見えていいなあ」、誰にでも見えて分かりやすいのは魅力だなあと思います。橋のように地図に残る仕事だと男のロマンが感じられるわけです(笑)。一方、いくら大規模なプロジェクトでも、システムは目に見えません。そのような中で、開発の仕事で目に見えるモノに触れられる機会を得られたのは素晴らしいことかなと感じています。


Q:日々、最先端の技術を活用したお仕事をされているわけですね。

A:そうですね。クラウド・アプリケーションは先進的な領域で、技術も進化の途上にあるため、機械学習を含めてさまざまな技術を組み合わせてアプリケーションを開発しています。最初は戸惑うことも多いですが、経験を積んでいくことで多様な技術に精通できるようになると考えています。


Q:特に印象に残っているプロジェクトを紹介していただけますか。

A:2016年に本田技術研究所様のF1マシンのレーシング・データ解析システムのプロジェクトを担当しました。サーキットを時速300キロで走行しているF1マシンに搭載されたセンサーから収集したデータを分析し、走行状況をリアルタイムで把握できるようにして、サーキットの現場と栃木県にある開発拠点の間で情報を共有することで、F1レースの走行中の故障予知、残燃料予測、レース戦略立案などを支援します。
まったく初めてのチャレンジで、ゴールも明確ではなく、私も手探り状態の中、失敗しながら少しずつ積み上げて行けるところまで行ったという感じでした。F1にIT技術を活用する非常に先進的な取り組みに関わることができて、とても強く印象に残っています。地図には残りませんが、これなら子どもたちにも私の仕事を分かってもらえるでしょう(笑)。


Q:仕事を進めていく上で、重要と考えているポイントをお聞かせください。

A:ロジックを積み上げていく力も必要ですし、お客様や他部門のメンバー、ビジネスパートナーと一緒に仕事を進めていくので調整力も大事な要素です。一緒に仕事をしている人たちに共通するゴールとシナリオを組み立てたうえで、その実現のために関係者の利害関係の調整を進めることが非常に重要だと思います。
技術スキルはもちろん必要ですが、一番大切なことは仕事のゴールは私たちが提供したものをお客様に使っていただいて、「使いやすい」と喜んでいただくことです。常にそういうマインドを忘れずに仕事に取り組んでいます。