Business Challenge story

従来型EDIの通信機器の限界と流通BMSへの早期対応が課題に

東海漬物では、漬物機能研究所における研究開発から、日本全国の8カ所の製造工場における漬け物の生産、同じく日本全国の3支店、9営業所による販売・物流まで、一貫した事業を展開。品質にこだわった、安心、安全な商品を提供し続けています。

単純に商品の品質を向上させるだけでなく、研究開発および製造の過程における技術や考え方の「質」、そして流通過程における取り扱いや社員の「質」など、企業活動すべての「質」の向上を目指していることも特長です。

こうした取り組みのひとつとして、取引先との受発注業務をシステム化する電子データ交換(Electronic Data Interchange:EDI)の分野も早い時期から推進しており、現在では全売上の40%をEDIが占めています。

しかし従来型のEDI取引は、通信機器の保守期限切れや通信速度の限界が近づいていることから早急な対策が必要でした。また取引先ごとにデータフォーマットが異なっているために個別対応が必要であり、そのためのシステム開発が大きな負担になっていることも解決すべき課題となっていました。

さらに流通BMSへの早期対応という課題もありました。経営企画室 室長である野尻雅文氏は、次のように語ります。「大手の取引先が新しい流通センターを稼働するにあたり、流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)に対応してほしいという要望があり、早急な対応が不可欠な状況でした」

流通BMSは、流通業界で広く使われているEDI方式であるJCA手順に替わるインターネット技術を利用した新しいEDI標準として2007年4月に公開された業界標準仕様です。通信速度が遅い、フォーマットが統一されていないなど、従来型のEDIが抱える課題を解決することを目的としています。

流通BMSでは、通信方式やメッセージの種類、データ項目の意味、使用するコードなどが業界団体や経済産業省により標準化されています。これにより、メーカーや卸業者、小売店の間の取引における情報連携が効率化され、業務の生産性向上やコスト削減など、さまざまな効果が期待できます。

Transformation

流通BMSと既存のJCA/全銀手順と共存でき、IBM i 上で稼働するACMSを採用

東海漬物では、2010年5月ごろから流通BMSに対応したシステムをいかに構築するかという検討を開始しています。野尻氏は、「取引先からの強い要望により、2010年9月中旬までには流通BMSに対応したシステムを構築し、本格的に稼働させることが不可欠でした」と話します。

そこで2010年7月下旬より、株式会社データ・アプリケーションのACMSを利用した流通BMS対応システムの構築を開始。8月よりテストを実施して、9月中旬に計画どおり本番稼働を迎えています。システム構築にACMSを採用した理由を野尻氏は、次のように語ります。

「2009年の終わりごろから流通BMSについての調査は開始していました。その結果、流通BMSへの対応の依頼があれば、独自に開発するのではなく、パッケージ製品で対応しようと考えていました。パッケージ製品はACMSに決めていましたが、プラットフォームをIBM iにするか、PCサーバにするかは検討中でした」

また経営企画室 主事の大村昌司氏は、「パッケージ製品を比較するなかで、マルチプラットフォーム対応であったことがACMS採用の決め手でした。基幹システムがIBM i上で稼働していたので、流通BMSに対応するためにPCサーバを導入するのは、コスト面でも、管理面でも、効率的ではないと考え、最終的にIBM iの採用を決めました」と話します。

さらに経営企画室 主任の西川和寿氏は、「既存のJCA手順もそうなのですが、自動でデータを抽出して、自動で業務プロセスが実行されます。しかしWeb-EDIでは、どうしても人手が介在してしまいます。また取引先ごとのシステム対応が必要になるために好ましくないという事情もありました」と話しています。

今回、東海漬物が構築した流通BMS対応のシステムは、トリガーとしてIBM iで稼働する基幹システムからデータが抽出され、それをACMSでフォーマット変換して、IBM iに戻し、各取引先とデータのやり取りを行う仕組みになっています。

具体的な業務の流れについて経営企画室 主事である村上修司氏は、「まず取引先から発注データを受け取り、その日の夕方に事前出荷データを取引先に送信し、翌日に納品確定データを受け取って、請求データを送信、支払通知データを受け取るという流れになっています」と話しています。

Benefits

ACMS採用で流通BMSに4カ月で対応。IBM iの安定性も高く評価

ACMSを採用したことで、わずか4カ月という短期間で取引先の求める流通BMSに対応した仕組みを実現することが可能になりました。また、既存のJCA手順や全銀取引の仕組みと流通BMSを共存させることができたこともACMSを採用した効果のひとつでした。西川氏は、ACMSによる流通BMS対応の効果を、次のように語ります。

「これまでのJCA手順で使用している回線速度は限られていて、速くても9600bps程度でしかデータが転送できませんでした。そのため取引が混み合う時間には、相当な時間がかかっていました。しかし流通BMSでは、インターネット技術を利用しているのでメガビットの単位でデータを転送できます。取り扱えるデータ量と回線のスピードが流通BMSを使用する魅力です。今後、すべての取引を流通BMSに移管できれば、かなりの受発注業務の効率化が期待できます」

また村上氏は、「これまでのEDI取引では、取引先ごとに対応しなければならないものも多くありました。そのためデータのやり取りなどに統一感がなく、たとえば売掛金の管理などに問題がありました。流通BMSでは、データのやり取りの標準化、基本的な概念を統一し、業務そのものを標準化できます。そのため、発注を受けて事前出荷を返し、納品を確定、請求を行い、支払を受けるという一連の業務が標準化されるので、管理を含めて非常にメリットがあります」と話します。

さらに大村氏は、「JCA手順から流通BMSに移管したことで、通信速度と安定性が向上しました。これほど安定するとは思っていなかったのでACMSには驚きでした。JCA手順では、ピーク時につながらないという問題が発生することがありましたが、流通BMSに移管してからは、まったくトラブルは発生していません」と話しています。

今回、ACMSが稼働するプラットフォームであるIBM iは、TMIがサポートを提供しています。IBM iについて村上氏は、「既存のアプリケーションの継承面、Power Systemsというハードウェアの絶対的な安定性の面においてIBM iを高く評価しています。またIBM i上で、IBM WebSphereおよびIBM DB2も利用しています。どちらも使い勝手が良く、パフォーマンスにも満足しています」と話します。

また現在のIBM iでは、バックアップの速度が速くなったこともメリットでした。村上氏は、次のように語ります。「旧バージョンのIBM iのときには、バックアップに2時間~3時間かかっていたのですが、現在のIBM iに移行したことで、45分くらいで終了します。これにより、システム運用が非常に楽になりました」

野尻氏は、「IBM iの上でACMSを稼働して流通BMS対応のシステムを構築したことで、決まった時間に自動的に受発注のメッセージをやり取りする既存システムの仕組みはそのままに、流通BMSというより安定した高速な取引環境を実現できたことが最大のメリットといえるでしょう」と話しています。

 

将来の展望

ほかの取引先にも流通BMSを拡大

今後、東海漬物では、流通BMSへの対応をほかの取引先にも拡大していく計画です。野尻氏は、「2011年に入って、すでに数社から流通BMSへの対応を打診されており、対応を始めています。今回、ACMSを導入したことで、ほかの取引先とも柔軟かつ迅速な流通BMSへの対応が期待できます。またJCA手順を行うためのモデムの保守期限切れが近づいていることも流通BMSへの移管を加速させるでしょう」と話します。

そのほか今後の期待について野尻氏は、「今後は会社として、情報系システムの充実にさらに注力していく予定です。旧バージョンのIBM iでは、翌年度の予算作成に1時間程度かかっていました。しかし現在のIBM iでは10分程度で予算が作成できるようになりました。予算作成は、何度も繰り返し行うので、非常に大きな効率化が期待できます」と話しています。

 

お客様情報

1941年9月の創業以来、野菜を素材とした、ごはんに合う、コクと旨みのある高品質な漬物を提案。日本の食卓に新しい価値を提供することを目指し、包装つけものを主体とした製品の製造および販売を事業として展開しています。

 

パートナー情報

企業名:株式会社データ・アプリケーション

EDIソフトウェア・ベンダーとして、企業間連携やシステム連携に関わるテクノロジーを追究。流通業界の新しいEDI標準「流通BMS」に対応したソフトウェア「ACMSシリーズ」を提供している。

企業名:トッパン エムアンドアイ株式会社

1994年設立。日本アイ・ビー・エム株式会社の ソリューション・プロバイダーとして各種サーバの販売及びサービス事業の 営業を開始。IBM製品をプラットフォームとするシステム開発と、アプリケーション・パッケージを活用したトータル・ソリューションを提供している。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM i

ソフトウェア

Solution Category

  • Systems Hardware