Business Challenge story

職員が能力を十分に発揮できるように人材育成に主眼を置いた人事評価制度を整備

兵庫県南東部に位置し、2016年に市制100周年を迎える尼崎市では、以前から、3,100人余りの職員に対して、人材育成に重点を置いた人事評価を行っています。2013年度からは、人材育成にさらに力を入れるために、年度初めの4~5月に上司と部下の1回目の面談を行って、部下の目標を設定し、年度途中の2回目の面談で目標の進捗状況を確認して、フィードバックを行い、年度末の3回目の面談で評価するという、面談によって、上司と部下のコミュニケーションを積極的に進める方式に変えました。

新しい人事評価制度について、尼崎市 総務局 人事管理部 部長の中嶋 成介氏は「人事評価は成果に対する評価という形になりがちです。新制度はその要素がないわけではありませんが、人材育成を重視し、面談の名称も『評価面談』から『人材育成面談』に変更し、成果にたどりつく過程で能力をどのように発揮できたかということに焦点をあて、自身の強み弱みを気づき、能力開発につなげていければと考えています。その結果、がんばった職員に対しては、地方公務員法の改正も踏まえて、一定の昇給と勤勉手当をプラスすることにしました」と話します。

人材育成面談を実施することによって、上司と部下のコミュニケーションがより活発になると、職場の風土が変わり、職員のモチベーションが上がって、組織の変革が進み、市民サービスの向上につながる好循環が生まれます。尼崎市が人事評価制度を変えたのはこうした狙いがあったからですが、その一方で、人材育成に力を入れると、職員の業務量が増えるなどさまざまな問題が出てきます。

新人事評価制度の運用について、尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 課長の市川 忍氏は「業務を行いながら、人材育成面談をきちんと実施するためには、面談を効率的に進めることが求められます。また、人事評価を処遇に反映させる場合には、特に低い評価を受けた職員も納得できるように、評価理由などをきちんと説明する必要があり、公正かつ公平に、どう評価するかが大きな課題になりました」と説明します。

    Transformation

    多くの自治体で使用されている人事評価システム「ススムくん」を導入

    今までの尼崎市の人事評価は評価者が年1回、用紙に手書きする形で行われていました。人事課が記入済みの評価用紙を集め、5段階で定量的に評価した項目については、外部の会社に入力を委託して、Microsoft Excelで利用できるようにしていました。一方で、コメントなどの定性的な評価はデータ化されておらず、人事異動の際の基礎資料として使う際には、1枚1枚評価用紙をめくって確認していました。

    今までの状況について、尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 係長の山下 秀樹氏は「評価は10月ごろに行っていましたが、用紙に書くだけで、評価内容は翌年に引き継がれていませんでした。また、記入済み用紙の提出状況のチェックにも結構な手間がかかっていました」と説明します。

    2012年5月、尼崎市では人事評価システムの導入を決め、尼崎市の特徴を生かしたシステムを構築できるように、仕様書をまとめていきました。評価者の負担軽減を図って、正確で迅速な処理を実現すること、評価に関するデータを蓄積することによって、より効果的な人材育成や適材適所への配置・任用、モチベーションの向上につなげることを目的にしました。

    仕様書の作成について、尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 主事の濱森 健吾氏は「一番、意識したのはシステムの画面構成です。画面が紙を使って評価していた時と大きく変わると、評価者が混乱してしまいます。そこで、評価者が迷わず、自然に使えるシステムの画面構成を検討して、面談により多くの時間を割くことができるようにさまざまな工夫をしました」と話します。

    2013年3月、新システム導入について議会に提案し、「職員のモチベーションが上がることは市民サービス向上に役立つ。よいシステムを入れて、職員の人材育成に一層力を欲しい」という評価を受けて、予算は承認されました。その後、2013年3月末に仕様書を公表し、5月に6社が参加したプレゼンテーションを行いました。そして、6月に、ケー・デー・シーの公務員向けWEB型人事評価システム「ススムくん」の導入が決定しました。

    ケー・デー・シーについて、市川氏は「市役所には、教育、産業、都市整備、福祉などさまざまな業務分野があり、それぞれの分野を担当する職員を一律に評価することはできません。ケー・デー・シーは官公庁や自治体に関連する業務経験が豊富で、システムは自治体の業務特性を理解した上で、開発されていました。さらに、プレゼンテーションでは私たちが心配する点について、明確な解決策を提示してくれて、新システム稼働まで3カ月余りと極めて短い期間しかない中で、ケー・デー・シーにお願いすれば大丈夫だという安心感を得ることができました」と評価しています。

      Benefits

      人事評価システムはIBMソフトウェアを基盤に安定的に稼働。評価記入の効率化を実現

      新システム導入を進める中で、一番苦心したのは評価の公正、公平を担保する仕組みをシステムに反映させることでした。評価を職員の処遇に反映させるために、評価対象者を相対区分して、格付を行います。評価は5段階の絶対評価で行いますが、一般職員であれば、直属の上司である係長が行った評価を課長が確認、部長が部内調整で各課長の評価のばらつきをならします。その上で、局長が管轄する各部長のばらつきを調整、最後に、市長以下三役が各局長の評価を調整し、最終的な評価を決めます。この仕組みをきちんと整備することによって、担当分野は違っても、全職員が納得いく形で処遇を受け入れることができるようになります。実際にシステム開発を担当したケー・デー・シー ITソリューション部 技術課 課長 増山 悟之氏は「尼崎市のように、相対化や順位付けをきめ細かく整備する自治体は数少なく、私たちにとっても限られた時間の中でどこまで実現できるか探りながら、職員の皆さんと一緒になって開発を進めていきました」と振り返ります。

      2013年10月、当初の計画通り、人事評価システムが稼働を開始しました。新システムの基盤として、システムの安定性や信頼性、「ススムくん」との親和性からIBM WebSphere Application ServerとIBM DB2が採用されました。WebSphere Application Serverは、日本でも数多くのお客様に採用されてきた実績を持つアプリケーション・サーバーです。優れた性能と可用性を提供し、ミッション・クリティカルなシステムにも安心して採用することができます。高度なモニタリング機能や問題判別ツールにより、運用管理者を強力にサポートします。DB2は、堅牢に大量のワークロードを処理し、不測なシステム停止の最中でもダウンタイムを削減し、データを失うことなくデータベースの稼働を継続します。また、さまざまなデータ圧縮テクノロジーを適用することでストレージ・コストを大幅に削減します。増山氏は「WebSphere Application Server とDB2はシステムの安定稼働と高いパフォーマンスを実現し、他の導入先と同様に、システムダウンにつながる障害は一度もなく、データベースの検索遅延なども見受けられません。WebSphere Application Serverのコンソール画面は分かりやすくできていて、保守作業が容易です」と評価しています。

      まもなく、システムの稼働から1年が経過しますが、人事管理部が職員に対して行ったアンケートでは、「評価の記入が楽になった」という声が寄せられており、感覚的に分かりやすく、簡単に使えるシステムを作るという当初の目標は達成されています。また、手書きの用紙を使用していた時より、定性的な部分の記入量が多くなり、充実した評価内容になっています。

       

      将来の展望

      新システムを活用し、市民サービスの向上を図る

      人事評価システムでは、課長級以上向けの目標と実績、能力の評価、課長級以下向けの勤務評定と自己申告、課長級以上に対して部下が行う多面アンケート、職員同士の褒め合いなどの機能がサポートされています。人事評価システムの機能について、山下氏は「上司からの評価だけではなくて、部下が上司を評価できるようにすると共に、職員同士が褒め合う仕組みも入れました。上からの評価だけでなく、下からの評価と横からの認め合いという尼崎市独自の仕組みをカスタマイズして盛り込むことで、組織の風通しがよくなるようにしました」と説明します。

      今後について、中嶋氏は「長期的には、データを蓄積して、職員1人ひとりの適性をつかむことができるようにするなど、データの積極的な活用を図っていきたい。それを通して、職員1人ひとりの強みや弱みを踏まえた、研修を行い、きめ細かな人材育成策の展開につなげていきます」と語ります。人事評価システムを効果的に活用して、職員の人材育成、適材適所への配置・任用、モチベーション向上を実現し、市民サービスの一層の向上につなげようという尼崎市の挑戦は続きます。

       

      お客様の声

      ケー・デー・シーは官公庁や自治体に関連する業務経験が豊富で、システムは自治体の業務特性を理解した上で、開発されていました”

      尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 課長

      市川 忍氏

       

      上からの評価だけでなく、下からの評価と横からの認め合いという尼崎市独自の仕組みをカスタマイズして盛り込むことで、組織の風通しがよくなるようにしました”

      尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 係長

      山下 秀樹氏

       

      評価者が迷わず、自然に使えるシステムの画面構成を検討して、面談により多くの時間を割くことができるようにさまざまな工夫をしました”

      尼崎市 総務局 人事管理部 人事課 主事

      濱森 健吾氏

       

      “WebSphere Application Server とDB2はシステムの安定稼働と高いパフォーマンスを実現し、他の導入先と同様に、システムダウンにつながる障害は一度もなく、データベースの検索遅延なども見受けられません”

      株式会社ケー・デー・シー ITソリューション部 技術課 課長

      増山 悟之氏

       

      お客様情報

      1916年市制施行。兵庫県南東部に位置し、中核市の指定を受けている。人口は約45万人(2014年6月現在)。2013年度に「ひと咲き まち咲き あまがさき」をキャッチフレーズとする「尼崎市総合計画」と行財政改革計画「あまがさき『未来へつなぐ』プロジェクト」がスタートし、成熟社会にふさわしいまちづくりに取り組んでいる。また、2013年3月には、経済の活性化とCO2削減を両立する産業都市の実現に向けた提案が評価され、国から「環境モデル都市」に選定されている。

       

      パートナー情報

      株式会社ケー・デー・シーは、株式会社協和コンサルタンツ(JASDAQ上場企業)のIT企業として、1995年に創立。官公庁向けに「システム」、「情報処理」、「人材提供」をオールインワン・ソリューションとして提供。官公庁・自治体の人事評価制度法令化をビジネス・チャンスととらえ、2007年に公務員向けWEB型人事評価システム「ススムくん」をリリースし、官公庁業務のシステム化サポー トに力を入れている。

       

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      ソフトウェア

      ソリューション

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