Business Challenge story

ゲーム・ユーザーの行動分析結果に基づきさまざまな施策を実行

1998年にインターネット企業として設立されたサイバーエージェントは、インターネット広告事業を核としてビジネスを拡大。その後ブログ・サービス「アメーバブログ(現Ameba)」の提供を開始するなど、幅広いインターネット関連事業を展開し、「21世紀を代表する会社を創る」ことを目指して成長を続けています。

2010年ごろにはスマートフォンなどの新しいデバイスが普及してきたことから、サイバーエージェントではさらなる新たなビジネス領域へと進出しました。その経緯についてサイバーエージェント アメーバ事業本部 ゲーム部門 セントラルデータコンサルティング室 マネージャー 高木 僚平氏は以下のように説明します。

「スマートフォンなどの新しいデバイスの登場は、サイバーエージェントにとってまさに勝負どころといえることでした。そこでスマートフォンをターゲットとした戦略を推進し、2012年にはスマートフォン向けにコミュニティーやゲームのサービスを提供するプラットフォームとしての『Ameba』(以下、Amebaスマホ)を開始し、スマートフォン向けのゲーム関連事業を本格化させてきました」

サイバーエージェントでは、ゲーム関連事業の成長を促すために、ゲーム・ユーザーの行動に対するデータ・マイニングを行い、その結果に基づいてさまざまな施策を実行するためのチームが組織されていました。

「当初はある程度のデータに基づいて施策を決めていましたが、例えば決定木分析などを活用して『Aというゲームを買ったユーザーはBというゲームも買う傾向にある』『離脱リスクのあるユーザーはどのような行動をしていて、その人数はどの程度になる』といった本格的な行動分析はできていませんでした。一方ゲーム開発の組織が拡大してきたことで、さまざまな施策のアイデアが出されるようになったのですが、そのすべてを実行することはできず、感性を頼りに優先順位を決めていました。この決め方ではどこに一番クリティカルな課題があるのかという正確な判断を下すことができません」(高木氏)。

また当時の分析環境について、サイバーエージェント アメーバ事業本部 ゲーム部門 セントラルデータコンサルティング室 アナリスト 大原 一輝氏は次のように説明します。

「当時はHadoopを軸にフリーウェアなどの分析ツールを活用してデータ・マイニングを行っていましたが、この環境では専門的な知識があるスタッフしか分析を行うことができません。しかし、最終的な施策を決定するためには分析の知識だけではなく、ゲームの知識も必要になります。ゲームの知識に通じた総合職のスタッフが、プログラムを自分で書いて難易度の高い統計解析を行うことは非常に困難です。そこでコンサルタントやプランナーでも分析を行うことができるツールがあれば、さらに効果的な施策を立案することが可能になるので、新しい分析ツール導入の検討を始めました」

Transformation

操作性や分析結果の可視化に優れたSPSS Modelerを導入し、ユーザーの行動分析に活用

新たに導入する分析ツールとしては、複数の製品を比較検討した結果、SPSS Modelerが選択されました。

「一番の決め手となったのはGUI(Graphical User Interface)の完成度の高さです。統計解析の知識にさほど通じていないスタッフでも直感的に操作可能なGUIは素晴らしく、これであれば効率的な行動分析を行うことができると思いました。GUIの良さは操作性の面だけに生かされているのではなく、分析結果をほかのスタッフに提示する際にも非常に分かりやすく、一目見ただけで何を意味するのかが伝わります。分析結果の可視化の手法もそろっていることも大きな魅力でした。また業界標準といえるほどに普及している点からも安心して採用することができました」(大原氏)。

SPSS Modelerは2012年3月に導入され、活用が開始されました。

「最初に使った感想としては、まず使いやすいということが挙げられます。わたしのような総合職のスタッフでも簡単に使うことができました。また実データを入れて試したところ、分析結果の視認性についてもあらためて分かりやすいと実感できました。さらにデータ整形の使い勝手が非常にいいので、分析の実行に限らず、レポートの作成なども簡単に行うことができます」(高木氏)。

また大原氏はSPSS Modelerの処理パフォーマンスについて以下のように感想を述べます。

「製品によっては、1つの処理が実行されている間は、ほかの処理を行うことができなくなるケースがありますが、SPSS Modelerでは複数の処理を同時に実行することが可能なので、ストレスなく使うことができます」

サイバーエージェントでは新しいツールなどの導入を容易にするため、システムの柔軟性を重視しています。そのためSPSS ModelerはHadoopなどと連携する仕組みを作り込まず、疎結合の状態で活用しています。ゲーム・サービスからのログは一旦Hadoopに蓄積され、そこから必要なログをSPSS Modelerに取り込むことで分析を実行します。

「ゲームのログは膨大なデータ量になりますので、簡単な集計などはHadoopで行います。高度な解析技術を必要とする処理はSPSS Modelerで行いますが、そのためにHadoopから必要なデータをスモール・セットとして取り込むことになります」(大原氏)。

SPSS Modelerの導入後は、さまざまな分析が試みられています。分析の目的として「ユーザーの満足度最大化」と定め、そのために「継続率」をKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)として設定しました。どのような状況にあり、どのように行動するユーザーの継続率が高いのかということを分析し、その結果に基づきユーザーの継続率を高めるための施策を実行し、最終的にユーザーの満足度を最大化することを目指します。

サイバーエージェントが実際に行った分析の例としては、ギルド加入分析が挙げられます。ギルドとはゲーム・ユーザーが所属するグループのことで、ギルド内メンバーがお互いに協力しながらゲームを進めていきます。ユーザーはどのようなギルドに所属した場合に継続率が高まるかを調べることにより、「どのようなギルドを推薦すればよいか」「ギルド選択時にゲーム側が提示すべき情報は何か」などが分かります。そこでギルドのどのような要素が継続と離脱を分類することに影響を与えているのかを決定木分析を用いて調べました。結果として以下の要素が継続しやすいギルドの特徴であることが判明しました。

  • ギルドのアクティブ・メンバー(当日のログイン・ユーザー)が5人以上
  • ギルドの下位25%のレベルより自分のレベルが上
  • ギルドの平均レベルと大きなレベル差がない(10以下)
  • ギルドの低課金層(下位25%)より自分の課金額の方が上

この結果をまとめると「ギルド内で自分が下位層ではない」「ある程度アクティブ・メンバーがいる」という条件を満たしたギルドに加入すると継続率が高まるということが分かります。

Benefits

行動分析結果を数値として把握することで顕著な継続率向上を実現

こうした結果からさまざまな施策が実行され、顕著な成果を上げることにつながっています。

「ギルド加入分析の例では、分析結果に合ったギルドをユーザーに推薦することで継続率向上が実現しています。そのほかでは、例えばカード・ゲームの場合、『カードを強くしたい』という欲求があるケースだと継続率が高いということが分かりましたので、現状の攻撃力などを提示するようなインターフェースに改善することで、ユーザーにカードを強化したいという気持ちを促す施策を実行しました。このようにさまざまな分析結果に基づく施策を実行したことで、継続率を高めることを実現しています」(高木氏)。

こうした顕著な成果を生み出した要因について大原氏は以下のように考えています。

「サイバーエージェントではログが整形された形で整備されていますので、スムーズに分析を行うことができました。またチーム内での分業体制が整っていることも重要です。わたしは統計解析を専門としていますが、データ・マイニングを行うためにはHadoopなどのシステムに通じたメンバーやゲームに詳しいメンバーも必要になります。現在はそれぞれの専門知識を持ったメンバーでチームが形成されているので、効率的な分業を行うことができます」

サイバーエージェントの分析チームは数々の実績を積み重ね、2012年12月には名称がセントラルデータコンサルティング室(以下、CDC)に変更されました。

「当初分析チームを組織した際は、まだ実績がないことからメンバーを集めることすら困難な状況の中、分析やゲームの知識に通じた総合力のある人材をそろえ、育成しなければなりませんでした。今では成果を上げたことがメンバーの自信を高めていますので、ほかの部署にも積極的に発言することができますし、新しいメンバーをアサインする際も説得力が増していると思っています」(高木氏)。

 

将来の展望

今後は売上向上に結び付く施策を導くための分析を実施

すでにSPSS Modelerを活用して大きな成果を上げているサイバーエージェントですが、今後は売上向上に結び付く施策を導くための分析を行っていく予定です。

「Amebaスマホはサービス提供開始から1~2年程度しか経過していませんので、まずは規模を拡大することを目標にしています。そのためにユーザーに課金サービスを利用していただけるための分析を進めていきたいと思っています」(高木氏)。

またビッグデータ解析とリアルタイム解析についての取り組みを進める展望について大原氏は語ります。

「サイバーエージェントではユーザーのアクセス頻度に応じて幾つかのパターンに分類していますが、売上を支える主要なユーザー層は新規登録から15日間以上ログイン実績があると定義しています。従って、ユーザーの行動を把握するためには新規登録してから最低でも15日はデータを収集しなければならず、実施した施策の成果を判断するためには時間を要してしまいます。そこで3日間のデータで新規ユーザーが一番頻度の高いパターンになるかということをかなりの精度で判断できる仕組みを作りました。しかし、そのためには膨大はデータ量を処理しなければならないのでHadoop上でビッグデータ解析を行うことになります。まだ試作段階ですが、この仕組みが本格的に稼働すれば、施策の良しあしを早期に見極めることが可能になり、より確かな成果を生み出すことが可能になるでしょう。リアルタイム解析は、イベントによる最終的な売上向上の予測や、サーバーの負荷やレスポンスなどの異常検知に活用することを検討しています」

高木氏はサイバーエージェントの今後のビジネス展望について、以下のように語ります。

「ゲーム部門を強化するだけではなく、コミュニティーやオークションなどさまざまな分野を強化し、インターネット全体としてビジネスを成功させていきたいと考えています。そしてユーザーの方々に『サイバーエージェントのサービスを使って育った』と言っていただけるような『21世紀を代表する会社を創る』ことを目指していきたいと思います」 サイバーエージェントは今後もさまざまなインターネット・サービスを展開し、社会のさらなる発展に寄与していくでしょう。

 

お客様の声

"最初に使った感想としては、まず使いやすいということが挙げられます。わたしのような総合職のスタッフでも簡単に使うことができました。また実データを入れて試したところ、分析結果の視認性についても非常に分かりやすいと実感できました"

株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部ゲーム部門セントラルデータコンサルティング室 マネージャー 高木 僚平氏

"採用の一番の決め手となったのはGUI(Graphical User Interface)の完成度の高さです。統計解析の知識にさほど通じていないスタッフでも直感的に操作可能なGUIは素晴らしく、これであれば効率的な行動分析を行うことができると思いました"

株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部ゲーム部門セントラルデータコンサルティング室 アナリスト 原 一輝氏

 

お客様情報

1998年にインターネット企業として設立され、インターネット広告事業を核としてビジネスを拡大。その後ブログ、ソーシャル・ゲーム、コミュニティーなどの多彩なサービスをプラットフォーム「Ameba」を通じて提供するなど、幅広いインターネット関連事業を展開し、「21世紀を代表する会社」を目指して成長を続けています。

 

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