Business Challenge story

タブレット化により、説明責務をしっかりと果たしながら募集プロセスの効率や品質を向上

三井住友海上あいおい生命は三井住友海上きらめき生命保険株式会社とあいおい生命保険株式会社が2011年に合併したことにより設立。「人生で出会うたくさんの『もしも=IF』を大きな『安堵』で守る保険でありたい」という思いを込めた「&LIFE(アンドライフ)」ブランドの各種保険商品を提供しています。

2014年度からは中期経営計画「Next Challenge 2017」をスタート。その内容について、同社 業務革新部長 大西 とし子氏は以下のように説明します。

「『Next Challenge 2017』では、『お客さま目線で、最高品質の商品・サービスを提供する』『グループ中核生保会社として、飛躍的な成長と持続的な収益向上を実現する』『社員一人ひとりが自ら考えチャレンジし、会社とともに成長する』を『目指す姿』として掲げています。この『目指す姿』を実践することで、『業界トップ水準の品質』と『飛躍的な成長』の実現に向けての取り組みを推進しています」

「Next Challenge 2017」では「品質・サービス向上戦略」の中で「ペーパーレス推進等、お客さまの利便性向上に資する募集プロセス改革の推進」という項目が掲げられていますが、これは前中期経営計画(2011年度~2013年度)で掲げられた「先進的な事務システムの構築、代理店システムの機能拡充等による効率的でわかりやすい事務フローの確立」という項目を引き継ぐもので、具体的には2012年に「募集プロセス改革」の取り組みがスタートしています。この「募集プロセス改革」について、同社 業務革新部 業革企画グループ 課長 樋口 弘子氏は次のように説明します。

「『募集プロセス改革』前中期経営計画の『先進的な事務システムの構築』の具体的な取り組みの1つとしてスタートしました。タブレット端末などを活用することで募集活動のプロセスを抜本的に見直し、業務効率の向上、販売力強化、業務品質の向上などを目指します」

三井住友海上あいおい生命の販売チャネルは代理店経由がメインとなっており、代理店のスタッフとお客様とのやり取りには、紙ベースのパンフレットや帳票類が活用されていました。その際の提案や手続きの準備負荷の軽減、品質の向上を実現させることは、紙ベースのままでは困難であることから、タブレットPC販売支援システムの構築が求められていました。

    Transformation

    エンドユーザーのニーズを最大限取り入れた画面デザインを作成

    タブレットPC販売支援システムの開発は、2012年からプロジェクトの準備が始まり、三井住友海上あいおい生命とグループのシステム中核会社であるMS&ADシステムズ株式会社(以下、MS&ADシステムズ)のメンバーによりプロジェクト・チームを構成。そしてシステム概要をまとめるためにモックアップの作成を進めました。その後開発ベンダーを選定する際に、より詳細なデザインをある程度固めてからでないと開発ベンダーに見積もりを依頼することが難しいことが分かってきました。

    「例えば、ある動作を1つの画面内でスクロールして行うのか、あるいは次の画面に進んで行うのかによって仕様が変わってくるように、全体のデザインが決まらないと画面数を算出することもできず、これでは見積もり依頼もできないという状況になっていました」(樋口氏)

    この問題を解決するため、三井住友海上あいおい生命は日本IBMに相談。そして、先にデザイン作業を進めることに決定しました。そのデザインを日本IBMに依頼した理由について、プロジェクト・リーダーのMS&ADシステムズ 生保システム第一部 MSA新契約グループ プランナー 古川 一貴氏は次のように語ります。

    「単に見栄えのいい配色・レイアウトなどのデザインを提供する会社は数多くあるのですが、日本IBMは導線設計などについても相談でき、使いやすく、効率のいいシステムを作り上げることができるだろうという期待がありました」

    日本IBMはUCD手法を活用したデザイン開発を提案。UCD手法は、エンドユーザーのニーズに配慮しながらデザイン作業を進めていくアプローチで、IBMは社内外において約20年間にわたって経験や実績を積み重ねています。

    タブレットPC販売支援システムの開発においてUCD手法を適用するため、「ユーザビリティー要件確認と課題の抽出」「課題分析と対応方法の検討」「画面デザイン指針の確認」「主要画面デザイン作成」「UIデザイン・プロトタイプ作成」「画面構成ガイド作成」の6つのステップで進めることになりました。「ユーザビリティー要件確認と課題の抽出」においては、ペルソナ手法に基づいてメイン・ターゲットとなるユーザー像を詳細に描いた上で、ヒューリスティック評価を用いて利用シナリオやシーンに応じてモックアップを分析し、課題を抽出しました。続く「課題分析と対応方法の検討」では、抽出した課題に対してその妥当性と重要度を判定し、重要度の高いものから順に対応方法を検討。そこでまとめられたデザイン要件に基づいて基本的なビジュアル・デザインを固め(画面デザイン指針の確認)、さらにそれを具体的な画面デザインに落とし込む「主要画面デザイン作成」を進めました。そして「UIデザイン・プロトタイプ作成」「画面構成ガイド作成」により、その後の開発にスムーズに適用できる素材を整えました。

    「人間工学の観点や色覚障がいのユーザーへの配慮、導線設計など、さまざまな点を考慮しながらUCDのステップを進めていったので、これであれば確かな品質のシステムが完成できるという手応えを感じました。代理店や社員が操作するシステム開発であれば、機能面から要件を整理すればいいのですが、お客様に直接操作していただくシステムかつタブレット端末を利用する場合、デザイン面には最新の配慮が必要になると考えていたので、今回日本IBMに協力していただき、とても助かりました」(古川氏)

    「ビジュアル・デザインについては複数の提案をいただきましたが、それぞれの案について『ダイナミックなイメージ』『落ち着いたイメージ』『パーソナルなイメージ』『ビジネスなイメージ』というようにどのようなデザイン・コンセプトを重視したデザイン案であるのかが提示されていたので、選考に当たっては明確な根拠に基づいて検討することができました。またボタンなどの配置についても、二択などお客様に両方の内容を確認の上、選択してもらいたい場合は横並びに配置するなど、細かな部分にも配慮していただけたので、安心してデザイン作業を進めてもらうことができました」(樋口氏)

    UCD手法に基づくデザイン作業は2013年4~6月に行われ、それを踏まえて開発ベンダーの選定を実施。同年8月から本格的に開発作業が開始されました。その後10月にある程度動作するシステムが完成。それを代理店の方々に試してもらった上で意見を集約し、それを反映する形でさらなる改修を加えました。

    「代理店の方々からは開発時には想定もしていなかったご要望をいただき、この意見集約は非常に有意義だったと思っています」(樋口氏)

    その後さらなるユーザー・テストを繰り返しながら改修を重ね、2015年初頭にはシステムが完成する見通しとなりました。 「初期のデザインがしっかりと作られていたので、要件定義工程・外部設計工程を本番に近い画面イメージを基に進めることができ、ユーザー・テスト結果に基づく改修(仕様の変更)は当初の想定の半分以下に抑えることができました。開発側としては、この点は非常に助かりました」(古川氏)

    「ユーザーからの意見は前向きなものが多く、特に傷病・検査などの詳細告知を行う手順については、入力補助のために設置した薬や医療機関の検索機能が充実していることからとても喜ばれました。またこのシステムの研修を全国的に行っていますが、その際に質問があっても、明確な理由付けの下であらゆるデザインが施されているので、回答に困ることはありません。的確にご説明すればユーザーの方々にも納得してもらえますので、本格稼働が始まれば積極的にこのシステムを活用していただけるのではないかと期待しています」(樋口氏)

      Benefits

      さまざまな面での業務効率化やコスト削減を期待

      タブレットPC販売支援システムを利用した申込手続きのペーパーレス化は「生保かんたんモード」と名付けられ、今後本格的な活用が開始される見通しです。「生保かんたんモード」の稼働により期待される成果について、樋口氏は以下のように語ります。

      「『生保かんたんモード』が本格的に活用されるようになれば、三井住友海上あいおい生命、代理店の方々、エンドユーザーであるお客様、それぞれに大きなメリットが生まれるでしょう。従来は手続きについて不明な点があれば代理店から弊社の営業担当に照会がくるのですが、『生保かんたんモード』ではすべての手順がナビゲートされ、入力漏れやエラーをチェックする機能も充実しているので、不備対応・照会対応の業務などは削減されると思われます。また紙を使わなくなるので、申込書類などを回収する物流関連業務の対応が不要になります。そうした対応が省ける分、新たな代理店の開拓や研修などを行う余力が生まれ、営業力強化が期待できます。代理店もシステムを使うことで申込手続きの標準化を図ることができ、事務対応業務にかかる手間を削減できるようになります。そしてより丁寧なお客様対応が可能になるので、『アプローチ、ニーズ喚起』や『アフターフォロー』の一層の充実も期待できるでしょう。またお客様のお手元に保険証券を素早くお届けできるようになることから、お客様により満足いただけるようになると思います」

      さらに古川氏は、コスト削減のメリットについて見通します。

      「従来掛かっていた紙の帳票の印刷コストや物流コストが削減できるほか、回収した手書きの帳票類を入力するコストも必要なくなります。これらを総合するとコスト削減も大きな額となるでしょう」 

       

      将来の展望

      今後は「生保かんたんモード」の活用を定着させる取り組みを推進

      今後の展望としては、まずは「生保かんたんモード」の活用を定着させる取り組みを推進していくと樋口氏は言います。

      「タブレットの活用は、わたしたちが思っているほど定着していないかもしれません。そうした実情も踏まえつつ、このシステムを使うメリットを丁寧に説明しながら、活用を促していきたいと考えています」

      また古川氏は今後さらにITのトレンドを踏まえた仕組み作りを進めていきたいと語ります。

      「タブレットをはじめとしたモバイルの活用は今後もさまざまな面で展開していくことになると思います。さらにモバイル、クラウド、ビッグデータといった近年頻繁に取り上げられるITキーワードに関するものは、何らかの形で手掛け、活用していくことになるでしょう」

      大西氏は、こうした新しい仕組みによる「募集プロセス改革」の取り組みについて次のように見通しています。

      「お客様の利便性向上や、さらなる業務品質向上を目標に2013年4月に導入した『初回保険料後払制度』に続き、今回の『生保かんたんモード』で正確性、機動性、スピードある対応を実現し、お客様の負担を軽減する仕組みを整えました。その上で、お客様の真のニーズや気持ちに寄り添った『ひと』にしかできない『感動品質』を与えられる代理店像を追求するとともに、今後も引き続き『募集プロセス改革』を推進し、1つ上をいくお客様の満足度向上の実現に取り組んでいきたいと考えています」

      三井住友海上あいおい生命は、今後も最先端のテクノロジーを活用することで、より高品質なサービス提供を続けていくでしょう。

       

      お客様の声

      お客様の真のニーズや気持ちに寄り添った『ひと』にしかできない『感動品質』を与えられる代理店像を追求するとともに、今後も引き続き『募集プロセス改革』を推進し、1つ上をいくお客様の満足度向上の実現に取り組んでいきたいと考えています。”

      三井住友海上あいおい生命保険株式会社

      業務革新部長

      大西 とし子 氏

       

      システムの研修の際に質問があっても、明確な理由付けの下であらゆるデザインが施されているので、回答に困ることはありません。的確にご説明すればユーザーの方々にも納得してもらえます。”

      三井住友海上あいおい生命保険株式会社

      業務革新部 業革企画グループ 課長

      樋口 弘子 氏

       

      初期のデザインがしっかりと作られていたので、ユーザー・テスト結果に基づく改修(仕様の変更)は当初の想定の半分以下に抑えることができました。開発側としては、この点は非常に助かりました。”

      MS&ADシステムズ株式会社

      生保システム第一部 MSA新契約グループ プランナー

      古川 一貴 氏

       

      お客様情報

      三井住友海上あいおい生命保険株式会社は三井住友海上きらめき生命保険株式会社とあいおい生命保険株式会社が2011年に合併したことにより設立。「人生で出会うたくさんの『もしも=IF』を大きな『安堵』で守る保険でありたい」という思いを込めた「&LIFE(アンドライフ)」ブランドの各種保険商品を提供しています。

       

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