Business Challenge story

T&D保険グループ唯一のIT部門としてIT戦略を牽引

T&D保険グループは、1999年に太陽生命保険相互会社(現太陽生命保険株式会社:以下、太陽生命)と大同生命保険相互会社(現大同生命保険株式会社:以下、大同生命)が全面的に業務提携を開始したことを受け発足しました。そして両社のITシステム の効率的開発・運用を目指して、2001年10月に、太陽情報産業株式会社と大同生命のシステム部門、および株式会社大同生命計算センターを統合し、T&D情報システムが設立されました。以来、T&D保険グループ内の唯一のIT部門として、ITサービス・レベルの向上に貢献することを最大のミッションとしてグループのIT戦略を担い続けています。

2002年には、T&Dフィナンシャル生命保険株式会社(旧東京生命保険相互会社:以下、T&Dフィナンシャル生命)のシステム部門であるT&Dシステムサービスと組織統合を果たし、現在では太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の3社のIT戦略を牽引しています。

Transformation

セキュアなオフショア開発体制を実現するためにデスクトップ・クラウドの導入を決定

太陽生命の情報システムは、埼玉県の本店を中心に運用されてきました。そして、開発コストの削減、開発力強化および効率化などを目指し、2006年より、開発体制の見直しを進めてきました。その計画の核となる取り組みが中国でのオフショア開発の推進です。開発拠点のオフショア化の取り組みについてT&D情報システム事業一部 シニアプロフェッショナル 中澤雅美氏は、以下のように説明します。

「開発コストの削減、開発力の強化、より効率的なシステム開発の実現を目指して開発体制の見直しを検討していたところ、オフショア開発という選択肢が浮上してきました。そこでその実現性を探るために、2006年に中国のシステム開発企業に研修としてスタッフを派遣したことから取り組みを開始しました。その後2年間ほどそこでの研修を継続しながら、トライアルを重ねてきました」

この2年間のトライアルの結果判明した課題は、どのような開発環境を構築するのかということでした。その課題について、中澤氏は続けます。 「クライアント・サーバー型の開発方法をそのまま中国の拠点において適用すると、クライアントPCの中に重要なデータやプログラムを保存することになり、セキュリティーの側面から問題が発生します。このためPCのみのスタンド・アローン型で開発を行って みたのですが、この場合は依頼できる作業範囲が限られ、思うような開発効率に結び付きません。そこで解決の手段として注目したのが、デスクトップ・クラウドの導入です」

中国の開発環境ではシンクライアントの端末を活用し、そこから日本のサーバー側で 管理されるシステムやデータ、プログラムなどにアクセスするようにすれば、中国のクライアント環境における情報漏えいやデータ消失といった事故を防止することができます。

トータルのサポート力を評価し、日本IBMに構築を依頼

中国のオフショア開発環境へのデスクトップ・クラウドの採用を決定したT&D情報システムでは、活用するソフトウェアと導入ベンダーの選定を開始しました。その過程について、T&D情報システム テクニカルサポート一部 IT基盤管理一課 マネージャー 池田 睦氏は以下のように説明します。

「太陽生命のイメージワークフローシステム基盤は、もともと日本IBMと連携して構築したということもあり、その実績からデスクトップ・クラウドの導入についても日本IBMのデスクトップ・クラウド・サービスであるIBM Smart Business Desktop Cloudを採用しました。また、当面のシンクライアントの適用先としては、オープン系システムのイメージワークフロー業務の開発を対象と考えていましたが、将来的には汎用機系のシステム開発など、さまざまな業務に拡大していきたいという意向もありましたので、そうした多方面への適用を見据えてトータルに環境を考慮する力量があるという点でも日本IBMを選択したことは正解だったと思います」

ソフトウェアの選択に当たっては、回線コストへの考慮からデータの送受信を少ない帯域で高速に行えるものが必要だったため、Citrix(R) XenDesktop(R)を採用しました。XenDesktopでは、サーバーとクライアント間のデータの送受信をCitrix ICA(Independent Computing Architecture)というプロトコルで行いますが、ICAは各クライアントが使用する通信帯域幅を最小化し、その狭い帯域の中で非常にスムーズな画面の操作性を実現します。

こうして導入ベンダーや製品を2009年秋までに決定し、同年11月よりデスクトップ・クラウド環境の構築が始まりました。日本のデータ・センターには、ハードウェアとして5台のIBMSystem x(R)3650 M2を導入し、その中で仮想デスクトップ環境を構築。中国側のクライアント端末には、シンクライアント専用端末を導入しました。

「中国での開発が今後どの程度行われるようになるのかという正確な予測を立てることが難しかったので、日本IBMからのアドバイスもありサーバーは当面スモール・スタートとして、その後状況に応じて拡張するという方針にしました」

環境構築は2010年4月に完了し、翌月から稼働が開始されています。

Benefits

セキュリティー強化とともに開発効率を向上

デスクトップ・クラウド導入の効果としては、まずセキュリティーの強化が挙げられます。池田氏はセキュリティー上の効果について説明します。 「セキュリティーを考慮する場合、事故を含めたあらゆるケースを想定する必要があります。その点デスクトップ・クラウド環境ですと、システムやデータが集約されていますので、予想されるトラブルのパターンが限られてきますので、余裕を持ってその対策を打つことができます」

また中澤氏は、開発効率向上の効果について着目しています。 「デスクトップ・クラウドを導入したおかげで、日本と中国で同じ環境を共有しながら開発を進めることができます。もし個別の環境で開発を行った場合、中国で作ったものを、日本の環境に移植した上で、再度テストし直すなどの手間がかかっていたところですが、テスト環境も同じになっている現在の仕組みなら生産効率が飛躍的に向上しています」

中国では、それまでシンクライアント環境での開発を行った経験がなく、当初は戸惑いがありましたが、使い慣れた今では、むしろ効率的な開発ができる環境を喜んでいるとのことです。

「開発に対するモチベーションがかなり上がり、その点も生産性向上に寄与していると思います。最初に日本と同じ環境を使って開発してほしいと依頼したときは、慣れない環境で開発を行うことに戸惑っていたようですが、実際使ってみると非常に効率な開発ができることが実感できたらしく、とても喜んでいました」(中澤氏)。

ワークフロー業務にもデスクトップ・クラウドを導入

デスクトップ・クラウドの活用は、中国でのオフショア開発だけではありません。同時期に太陽生命の「イメージワークフロー業務処理」システムにおいても、デスクトップ・クラウドによるアプリケーションの仮想化を採用しています。

「イメージワークフロー業務処理」システムとは、生命保険の契約査定から成立業務、保全業務、そして保険金の支払い業務など、保険業務全般を処理するための一連のワークフロー・システムです。従来の「イメージワークフロー業務処理」システムはクライアント・サーバー型のシステムで、全国約150ヵ所の支社および事務拠点等において、約2,300台ものクライアントPCで利用されていました。クライアント側のソフトウェアをバージョンアップする際は、一旦支社のサーバーに更新版を配布し、その後各ユーザーが支社サーバーにアクセスしてソフトウェアを更新します。

「これまで更新版の配布と、実際にすべての端末で正確に更新されているかということを確認する作業の手間が負担になっていたのですが、デスクトップ・クラウド環境では、サーバー側のシステムを更新するだけで済みますので、手間とコストを大きく削減することができました」(池田氏)。

「太陽生命の『イメージワークフロー業務処理』では、かなりの量の情報をPCで入力しますし、それに対するチェック作業も頻繁に行われます。その作業がデスクトップ・クラウド環境でも従来のPCと同様のレスポンスで実現できるのかという点を懸念していましたが、構築後の状況としてはまったく問題なく稼働しています。ユーザーの方にも大いに満足していただいています」 このように、デスクトップ・クラウドを積極的に導入し、コスト削減、セキュリティー強化、業務効率の向上など、さまざまな成果を上げています。

 

将来の展望

今後の増員や拠点増設計画などに柔軟に対応可能

今回デスクトップ・クラウドを活用した開発環境を構築したことにより、開発環境の変化に柔軟に対応できるベースができました。

「中国でのオフショア開発はまだ始めたばかりですが、将来的に中国での担当者の人数を増やしたり、別の開発拠点を設置したりという場合、シンクライアント端末を導入するだけで済みますので、非常に素早く対応できる仕組みが整ったといえます」(中澤氏)。

太陽生命のITシステムは、保険業務のコアとなる部分を担うシステムは汎用機で運用され、それ以外のフロント・サイドの事務についてはオープン系システムで運用されています。

2010年5月から中国拠点での開発を本格的に開始していますが、現在はオープン系のシステム開発に限定した環境になっています。今後、汎用機などの開発を中国拠点等で行う場合は今回構築した開発環境を有効に活用されるとのことでした。

このようにさまざまな側面での効率化やコスト削減を進めながら、太陽生命およびT&D情報システムは、今後もさらなる飛躍を目指してビジネスを推進していくでしょう。

 

お客様情報

2001年10月に設立され、太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の生命保険会社3社を中核とするT&D保険グループのIT戦略を担っています。急速に進歩し続けるIT環境の中で、T&D保険グループの経営戦略を支えるグループ内の唯一のIT部門として、ITサービス・レベルの向上に貢献することを最大のミッションとしてビジネスを推進しています。

 

テクノロジープラットフォーム

サービス

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです.

ソフトウェア

IBM Endpoint Manager for Core Protection

ソリューション

Enterprise Asset Management, FSS: Risk & Compliance, Security and Resiliency - Cloud Delivered Offerings

Solution Category

  • Security Solutions
    • Enterprise Asset Management
    • FSS: Risk & Compliance