Business Challenge story

シン・クライアント化に向け、高い信頼性と長期使用に適したシステム基盤を検討

「当行のような地方銀行は、規模が大きくないためIT運用に多くの専門スタッフを割くことができません」と切り出したのは、富山銀行 常務取締役 事務部長の島 邦男氏です。「特に各店舗に設置されたPCの保守管理を、いかに効率的に行うかは大きな課題でした。ソフトウェアのアップデートやパッチ適応等を全店舗で行うために必要な期間は約1カ月間。これが年間2~3回行われていました。またユーザーの利便性とセキュリティー確保の両立も、難しい問題でした」と島氏はシン・クライアント導入前を振り返ります。富山銀行では顧客情報管理を徹底するため、PCはもちろんのこと、フロッピーディスクやUSBメモリー等の記録媒体の持ち出しを一切禁止しており、ディスク上のデータも暗号化されています。そのため、行内監査のように店舗をまたぐ業務が煩雑になっていました。

さらに、「問題対応の迅速化も重要な課題」だったと、富山銀行 事務部次長 兼システム管理グループリーダー 兼事務集中グループリーダーの石上 隆宏氏は指摘します。「富山銀行では、リモート・デスクトップ機能も導入されていましたが、実際に支店のPCに問題が発生した場合には、支店に出向く必要があるケースが多々ありました」(石上氏)。

これらの問題を解決するため、2009年9月にシン・クライアントへの移行検討に着手。シン・クライアントであればOSやアプリケーションをデータセンターで集中管理できる上、どの支店でも安全に自分のデスクトップ環境を利用できるからです。ただしその基盤となるサーバー・システムには、大きく分け2つの課題への対応が求められました。

まず第一に求められたのは信頼性の確保です。シン・クライアントではクライアント側のOSやアプリケーションがサーバー側で稼働するため、サーバーのダウンは大きな影響をもたらします。常に安定して稼働することはもちろんのこと、万一障害が発生した場合でも、迅速に保守対応できる体制が欠かせません。

もう一つの要求は長期的に利用し続けられることです。「仮想化技術を活用した場合、ハードウェアとソフトウェアとの間の依存関係が小さくなるため、ソフトウェアを変更した場合でもハードウェアをそのまま使い続けることが容易になります」と石上氏。この特長を生かし、少なくとも7~8年、できれば10年はハードウェアをそのまま使い続けることを目標に掲げたといいます。「しかしほとんどのブレード・サーバーは、世代交代の度にシャーシの仕様が変わってしまい、古いシャーシが使えなくなってしまいます。このような製品では長く使い続けることはできません」(石上氏)。

Transformation

信頼性と継続性でお客様ニーズに応えるIBM BladeCenter。5枚のブレードで仮想クライアント200台をサポート

この2つの課題に対応したのが、IBM BladeCenterでした。

「IBM BladeCenterはシャーシ設計が継承されており、新しいブレード・サーバーを追加する場合でも従来のシャーシを長期にわたって安心して使い続けられます」と石上氏。このシステムを構築する前に、新旧ブレードが混在したIBM BladeCenterのシャーシを見る機会があり、「この製品なら長期的に使える」と確信したと語ります。

信頼性とサポートについても高く評価されています。「IBMとはすでに30年近くのお付き合いがありますが、製品の信頼性に関しては申し分ありません。問題発生時にもすぐに駆けつけてくれますし、必要とあれば全国から部品を調達して対応してくれます。ここまでやってくれるベンダーはIBM以外にはありません」(石上氏)。

ハードウェア構成は、IBM BladeCenter Hに合計7枚のブレード・サーバーが格納され、SANストレージ DS3400とファイバー・チャネル(FC)で接続されています。このうち5枚のブレード・サーバーはVMware vSphere Enterpriseで仮想化され、その上でWindows XPの仮想マシンが稼働しています。また残り2枚のブレード・サーバーでは、VMware vCenter ServerとVMware Consolidated Backupが稼働しています。

仮想化されたWindows XPの画面はネットワーク経由でクライアント端末に配信されます。ユーザーが使用する際には、ICカードによる認証を行った上でWindowsのドメイン認証を行うという、二重のセキュリティーがかけられています。1枚のブレード・サーバーがサポートするWindows XPの数はPC40台分。5台のブレード・サーバーで合計200台分のクライアントに対応できる計算になります。

システムの提案と構築は株式会社ヒスコムが担当。システム構築を開始してからわずか3カ月で、基盤となるサーバー・システムの構築を完了しています。

「今回のシステム構築をお願いしたヒスコムさんは、すでに北陸コカ・コーラグループへの導入等、シン・クライアントに関する高い実績があるため、安心してお任せすることができました。キャパシティー・プランニングに関しても経験豊富なので、最適なシステム構成が実現できたと思います」と石上氏は語ります。

Benefits

シン・クライアント化により保守管理業務が大幅軽減。端末の体感速度も以前より高速化

クライアントPCをシン・クライアント化することで、保守管理の負担は大幅に軽減されました。今ではソフトウェアのアップグレードやパッチ適用等のために全店舗を回る必要はありません。変更管理やインストールの作業を、すべて本部にいながら行えるようになったのです。シン・クライアント化されていないPCも残されていますが、その多くは本部に設置されているため、PC保守管理のために他店舗を回ることはほとんどなくなりました。

さらに、利便性向上とセキュリティー強化の両立も実現されました。データはすべてデータセンターで保管され、クライアント側にはデータがありません。顧客情報が外部に漏えいする危険性は、これまで以上に低くなりました。また他店舗に出向いて行内監査等を行う場合でも、その場で自分の画面を呼び出せるため、セキュリティーを確保しながら作業を効率化できるようになりました。

こうした効果に加えて、端末を利用して体感できる処理スピードも向上したといいます。「私は1980年代半ばからPCを使い続けてきましたが、今回構築したシン・クライアント・システムは一ユーザーの立場からみても画期的です」と島氏。「トラブルや苦情もほとんどありません。IT化の流れをさらに加速する上で、今回のシン・クライアント化は大きく貢献すると期待しています」(島氏)。

将来の展望

今後は種々のアプリ・サーバーもBladeCenterで仮想化。社内IT化の流れを加速

シン・クライアントの導入を「大規模組織にこそ相応しいもの」と考えている方は決して少なくありません。しかし富山銀行のケースでも明らかなように、このソリューションは組織の規模にかかわらず、大きな効果をもたらします。重要になるのは基盤となるサーバーの選択です。信頼性が高く、長期的に使える製品を選ぶことは、シン・クライアント化を成功に導く重要な鍵の一つなのです。

すでに約240台のPCのうち150台がシン・クライアント化されていますが、残りのPCについても保守期限が切れたものから順次シン・クライアント化していく計画です。従来であれば新規PCに費やされていたコストで、シン・クライアント導入に投資できるからです。

その一方で保守期限が切れたサーバーを仮想化し、IBM BladeCenterの上に載せていくという取り組みも進められています。その第一弾として、2010年11月にはウィルス対策サーバーの仮想化が実施されました。この他にも、ファイル・サーバーやテレビ会議サーバー、財務分析サーバー等を仮想化し、IBM BladeCenterに移行することが検討されています。仮想化によるシン・クライアント化を契機に、サーバー・システムに対する考え方も変わりつつあるのです。

お客様の声

株式会社 富山銀行 常務取締役 事務部長 島 邦男氏

「今回構築したシン・クライアント・システムは非常に画期的なものです。IT化の流れをさらに加速する上で、大きく貢献すると期待しています。」

株式会社 富山銀行 事務部次長 兼システム管理グループリーダー 兼事務集中グループリーダー 石上 隆宏氏

「IBM BladeCenterはシャーシ設計が継承されており、長期にわたって安心して使い続けられます。信頼性に関しても申し分ありません。」

お客様情報

1954年2月に富山産業銀行として創立。1967年8月に富山銀行へと改称。企業理念として「地域経済の発展とお客様のご繁栄を通して社会貢献を図ること」を掲げ、地域に密着した金融サービスを提供し続けている。富山県内で集めた預金を富山県内の顧客に貸し出すという、独自のビジネスモデルを確立。地元で大きな存在感を持ち、“赤レンガの銀行”として親しまれている。

パートナー情報

富山県に本拠地を置く、北陸コカコーラ・ボトリング株式会社100%出資のシステムインテグレーション企業。情報システムの企画・設計、開発、販売に 加え、情報セキュリティーに関する開発、コンサルティング、シェアードサービス、コールセンタービジネスなども手掛ける。

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

Solution Category

  • Systems Hardware