Business Challenge story

重複したデータや機能など、非効率的なシステム運用管理が発生

行動計画が策定された2001年以降、広島県ではこれまでにも増して新しいシステムが開発・導入され、それらは行政運営の効率化や行政サービスの向上に大きく貢献してきました。 しかし、一方でそれに付随した問題点も指摘されるようになりました。例えば、システム構築を各部局が個別に進めるケースが多く見られ、県全体の視点で見たときに重複した機能、重複したデータ、非効率的なデータ連携、非効率的なシステム運用管理が発生していました。個々のシステムについても、不適正なサイジングによる過剰なハードウェア装備が見られ、標準化の不徹底もあり、一部のシステムはベンダー・ロックイン状態になっていました。また、コンピューターのダウンサイジングを同県では2002年から計画的に進めてきましたが、財務会計システム、人事給与システムおよび税務システムの三大基幹システムについては未着手の状況にあり、コスト圧迫の要因にもなっていました。

Transformation

全体最適化を図るために全庁規模の共通基盤システムを構築

全体最適化計画は、こうしたシステム導入の効果がコストに見合っているかどうかの検証を起点に、県の情報システム全体をより一層効率的なものにする取り組みとして始まりました。広島県総務局 情報システム総括監(CIO) 中山 章氏は、計画の目標を次のように話しています。「一つは効率的な情報システムの構築。端的に言うなら無駄の排除です。二つ目は導入効果の発揮。費用対効果、投資効果の高いシステムを開発していこうということです。三つ目は透明性と競争性を確保した情報システムの導入。これはわれわれ地方公共団体には特に求められることです」

さらに、目標達成のための基本指針として、同氏は次の三大原則を掲げています。「一つは標準技術の採用。これはオープンな標準技術により、特定ベンダーへのロックインを防ぐとともに、他団体や民間企業との柔軟な連携ができる次世代システムを指向することです。二つ目は汎用製品の活用。業務の標準化を進めることなどにより、本県独自機能の開発(独自開発)を抑制し、安価で優れている汎用ソフトウェアを活用しようということです。三つ目が全体最適化。機能とデータの共通化・統合化、機器の集約と運用管理の統合化を進めていこうということです」そして、標準技術と汎用製品によって全体最適化と次世代システムを実現するためのベースとなる仕組みが共通基盤システムであり、そのアーキテクチャーのコアとして採用されたのがIBM WebSphereソフトウェアのSOA製品です。

共通基盤システムは共通データ管理機能、職員認証機能、職員ポータル機能、データ連携機能、統合運用管理機能の五つの機能を装備しています。現時点で共通基盤システムを利用しているのは総務事務システムをはじめとした数システムに限られますが、将来的には、これまで各部局が個別に構築してきた業務システムなどのアプリケーションを共通基盤システム上で稼働させることで、県全体のシステムを重複のないシンプルな構造にしていくことを目指しています。

通常、全庁横断の共通基盤システム導入の取り組みは、各部局の利害関係から実現しにくいといわれていますが、広島県庁では中山CIOの下、現行のシステム診断を実施して部局の持つ課題を一つずつ解決し、効果を重ねることで部局からの信頼を高めていきました。これが部局を横断するシステムをスムーズに導入できた要因の一つです。 データ連携機能のシステム開発は西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)、株式会社NTTデータ中国(以下、NTTデータ中国)が担当し、基本設計は2007年4月から始まりました。NTTデータ中国 ソリューションシステム部 公共担当 課長 渡部 信夫氏は、これまでの作業について次のように話しています。

「県の方で大きな仕様は決めていただきましたので、設計なり調整なりは短期間で行えたと思います。WebSphereのSOAソフトウェアは初めてでしたが、IBMのバックアップでノウハウもだいぶ蓄積できました。横断的に各社のシステムをうまく連携させ、よりよいサービスを提供できるようにしていきたいと考えています」

NTTデータ中国 ソリューションシステム部 公共担当 課長代理 結城 邦雄氏は「共通基盤を通して、どのようなベンダーのシステムも稼働・連携できるオープンな環境が大事であり、それができるのがわれわれの強みでもあります」と話しています。

総務事務システムが共通基盤システム上に最初に構築され、2008年3月から本番稼働しています。広島県 総務局財務部 情報政策課 企画員 沖邉 竜哉氏は「今回のプロジェクトの全庁オーソライズに苦労はありませんでした。しかし、短期間の開発となり、関係者の皆様には多大なご苦労があったと思います。心から感謝しています」と感想を述べています。構築期間は総務事務システムの構築スケジュールに合わせる必要があり、極めて短期間での開発が要求されました。IBMのSOAコンセプトに基づいた標準仕様と汎用製品の採用およびNTT西日本、NTTデータ中国の信頼性の高い推進体制によって、実質10カ月という短期間で実現できました。

Benefits

目指すべき情報システムの実現へスタート

総務事務システムは共通基盤システムと同時期に稼働を開始し、データ連携機能や統合運用管理機能の利用によってすでに一定の効果を上げています。今回のシステム構築ではIBM WebSphere Portalにより職員ポータルも開設され、職員認証や業務効率の点で効果を得ています。このポータルはMicrosoft Windowsログインだけで自動起動し、そこから自分が利用したい業務システムにワンクリックでアクセスすることができます。このシングル・サインオンの実現により、セキュリティーの強化を図ることができ、利便性も向上しました。 広島県 総務局財務部 情報政策課 企画員 岡村 恒氏は、職員ポータルについて次のように話しています。

「これまでは、各個別業務が独自に認証機能を持っていたため、システムごとに何度もログインする必要があり、また複数のパスワードを管理する手間も生じるため、とても煩雑でした。シングル・サインオンでログインできるようになったことは業務効率の面でも大きなメリットです」

広島県 総務局財務部 情報政策課 主任 住岡 輝彦氏も「今は個別の認証カードを使っているシステムについても、今後、共通基盤システム上に再構築することによって、個別システムの運用管理業務がかなり効率化されるのではないか」と、シングル・サインオンによるメリットに期待を寄せています。また、職員ポータル画面にはWebSphere Portalのポートレット機能により、Lotus Notesのスケジュールと電子メールが組み込まれています。これにより、Lotus Notesを開かなくてもスケジュールを確認したり、電子メールを読み書きしたりすることができるようになりました。

同県では、2006年度からの3年間で13億円のコスト削減を達成指標として掲げ、個々のシステム単位での最適化を進めると同時に、基幹系システムのダウンサイジングと共通基盤システムの連携をはじめとする県の情報システム全体の最適化に取り組んでいます。共通基盤システムの本格的な効果が期待できるのはこれからと県ではみており、目指すべき情報システム構造の実現に向けた第一歩を踏み出したところです。

 

将来の展望

BPM/SOAも視野に、共通基盤システムの全機能を最大限に活用

2007年度から、財務会計システム、人事給与システム、税務システムの三大基幹システムのダウンサイジングが始まりました。現在、基本設計フェーズに入り、共通基盤システム上でこれらのシステムは開発されることになります。共通基盤システムが持つ全機能を最大限に活用して、効率的なシステムとして整備する予定です。 中山氏はシステムの将来のあるべき姿として、Business Process Management(以下、BPM:ビジネスプロセス・マネジメント)にも関心を寄せ、「BPMは、柔軟性の高い業務とシステムを築き上げていくための有効な手法の一つと理解しています。全体最適化計画の目標達成のためには業務プロセス改善の視点が欠かせません。BPMについても今後検討が必要と考えています」と話しています。

また、共通基盤システムにはBPMとSOAアーキテクチャーに基づいた検証、構築ができる開発機能が備わっており、BPMのトライアルについては、新たに投資する必要はありません。 これらの新しい取り組みを進める上で、グローバルな観点で先進技術の紹介や提供が望まれており、IBMとしても積極的に提案していくこととしています。よりよい住民サービスの実現へ、共通基盤システムがそのための強固な基盤となることは間違いありません。

 

お客様情報

広島県では、広島県総合計画「元気挑戦プラン」を掲げ、「活力と安心、希望のある『元気な広島』の実現」に向け、あくまでも県民視線で住民サービスや行政サービスの向上に取り組んでいます。

 

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