Business Challenge story

『学生起点の大学づくり』を目指し、理工学部のシステム環境を充実

1885年に創設された中央大学は、「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神の下、長年にわたり実社会が求める人材を養成し続けてきました。現在では「行動する知性。―Knowledge into Action―」をユニバーシティ・メッセージとして掲げ、6学部、大学院8研究科、専門職大学院3研究科、4附属高等学校、2附属中学校を擁する総合大学として多様な学問研究と幅広い実践的な教育を推進しています。

中央大学 副学長 理工学部 教授 工学博士 加藤 俊一氏は、中央大学が現在推進している中期計画について以下のように説明します。

「中期ビジョンとしては『学生起点の大学づくり』を目指しています。学生が発想したことを行動を通じて具体化し、知識を習得してもらう実学教育を大切にしており、中央大学の目指す『行動する知性』を身に付けてもらうということです。そのために、理工学部では学生がITを使いこなせることが必須なので、理工学部のソフトウェアも含めたシステム環境の整備、充実を図っています」

理工学部の実習室の端末は講義で使うほか、授業の時間外でも学生が自由に使えるように、朝早くから夜遅くまで開放されています。以前は、IBMのブレードPC方式のシンクライアントで、LinuxとWindowsを授業で使っていました。Linuxの上でVMwareを使ってWindowsを動かしていましたので、いったんLinuxにログインしてからWindowsを起動してログインする必要があり、単体でも4分くらい、授業で一斉に使うと10分くらいかかっていて、大きな課題となっていました。

また、学生が使える端末は実習室の250台に限られていました。授業で実習室がふさがっている場合が多く、期末など学生が廊下で順番待ちをする状況で、学生が自由に使える環境を提供できていなかったという課題を抱えていました。

Transformation

短期間で、LinuxWindowsを両方、仮想デスクトップで使えるクラウド環境を構築し、利便性を向上

この課題を解決するために中央大学では学生が使うクライアント環境の刷新に着手しました。新システムの要件としては、まずLinuxとWindowsを同時に使うことができることが挙げられました。現状ではLinuxを使う授業とWindowsを使う授業の数が半々だったことと、就職後のことも考え、学生がいろいろなシステムに触れる機会を用意することが重要と判断しました。

また一番の課題であったパフォーマンスの改善や、学生のために机の上のスペースを確保し、広く使えるためのシンクライアントも要件として盛り込まれました。さらに実習室以外の端末からもLinux環境にリモート・アクセスできることも要件として加えられ、実習室がふさがっていた場合でも実習室以外の教室の端末や自宅のPCから大学のクライアント環境を利用できるようになり、学生の利便性向上が期待されます。

入札の結果、日本IBMが提案したVirtual Bridges社のVERDEを使ったデスクトップ・クラウドが採用されました。VERDEはオープン・テクノロジーのLinux KVM(Kernel-based Virtual Machine)をベースとしたクライアント仮想化ソリューションで、LinuxとWindowsの両方をサポートしている点が大きな特長です。個別にLinux用とWindows用のサーバーを用意する必要がなく、コスト・パフォーマンスが良い仮想デスクトップ環境構築が可能でした。

デスクトップ・クラウド基盤には、IBM PureSystemsファミリー製品であるFlex Systemが使われました。Flex Systemは次の10年を見据えたアーキテクチャーに基づいて設計されていて、大容量メモリーを搭載し、エコに配慮した、拡張性の高いブレード型サーバーで、仮想化環境で多くのタスクを効率よく動かすことが可能でした。

「サーバーは学生からは見えないところですが、足腰はしっかりしたものが必要で、200人の学生が一斉にシステムを立ち上げた場合でも体感速度が遅くならないことが重要でした。長期にわたって使え、パフォーマンスの高いFlex Systemを採用したことは大きなメリットでした」(加藤氏)。

新環境で稼働するソフトウェアは、OS更新に伴うバージョン・アップやサポート切れのソフトウェアの入れ替えを実施したほかは、今まで授業で使っていたものと同等の環境を用意しました。

また、出席管理はLinuxのログイン情報のみを収集して活用していましたが、新環境ではWindowsに直接、ログインできるため、同等の仕組みをWindowsでも用意しました。さらにファイル共有についても、Linux環境に加えて、Windows環境でも行うことができるようにしました。

新システムの構築は2012年12月からの着手となり、2013年の新学期開始までわずか4カ月程度という短い構築期間でしたが、事前のシステム設計、準備を入念に行ったことから構築作業がスムーズに進み、新システムは新学期に稼働を開始しました。

Benefits

Windows環境へのログイン時間を、Flex Systemで大幅に短縮

本番環境が稼働開始後、まずはパフォーマンスの大幅な改善が確認されました。従来の環境では4~10分程度要していたWindowsのログイン時間が、45秒にまで短縮されました。

中央大学 情報環境整備センター副所長 後楽園ITセンター長 理工学部 教授 久保田 光一氏はその様子について以下のように振り返ります。

「デモ機での事前シミュレーションでは、ログイン時間の大きな短縮が確認できていなかったため、本番環境で画期的に改善されていることが分かったときには安心しました」

LinuxとWindowsを同時に使えるようになったことは利便性の向上につながっていると加藤氏は言います。

「以前は、システム環境を立ち上げ直して使う必要があり、Linux環境で取った画面コピーをWindows環境でWordに貼り付ける場合、手間が掛かっていましたが、新システムでは同時に立ち上げて操作できるので簡単に行うことが可能になりました」

ソフトウェアの運用管理についても大幅に効率化されました。以前はブレードPC方式を採用していたためにソフトウェアを更新する際はすべてのブレードPCで更新作業を行わなければなりませんでしたが、新システムではサーバー上のマスターだけを更新するだけですべての端末で最新のソフトウェア環境を利用することが可能になりました。コスト面ではソフトウェアの運用管理コストの削減のほか、ブレードPC方式に比べて、Flex Systemでは設置スペースが約30%、消費電力量は約80%の削減が実現可能となりました。

現在は実習室の端末のみの稼働が開始していますが、2013年の夏にはほかの教室に設置された端末からのアクセスが、さらに2014年からは学生の自宅のPCからのアクセスも可能になる予定です。これまで期末になると実習室の端末が混み合っていましたが、今期末からはほかの教室の端末も利用可能になることで混雑が緩和する見通しとなっています。

「学生が自宅のPCからも大学のシステムにアクセスし、自習室と同等のIT環境を活用できるようになれば、学生が自宅においても学習を進めることができようになります。これまでのシステムでは、授業後に復習しようとしても、実習室まで足を運ばなければならず、しかも分からないことがあれば、教えてもらえる先輩などを見つけなければなりませんでした。来年からは自宅にいながらe-メールで先輩に質問しながら大学と同じIT環境で復習ができるようになるので、学生にとって大きな学習効率の向上につながります。さらに将来的に留学先からでもアクセスできるように活用範囲が広がれば、より利便性が向上し、大学という場所にとらわれずに教育を実践していくことができるようになるでしょう」(加藤氏)。

さらに久保田氏は、新システムへの期待を以下のように語ります。

「近年では事前学習や事後学習を重視する傾向になっています。大学としてその要求に対応できる仕組みが整ってきたと思います。さらには大学と同じ環境が自宅でも使えるということは学生の学習意欲の向上を促すのではないかと期待しています。また、最先端のシステムを現時点で体験することは社会に出てから大いに役立つのではないかと考えています。そしてこの体験を出発点として、自分の力を社会で生かしていくことが『行動する知性』の実現につながっていきます」

 

将来の展望

学生のニーズに応じてIT環境を整備、教育の現場で有効活用

中央大学では、タブレットなどのモバイル端末への利用拡大を視野に入れながら、学生の活用状況やニーズに応じて、システム拡張を検討していく予定です。

加藤氏は今後のIT活用の展望について以下のように語っています。

「理工学部にとってIT環境は基本なので、今後も学生のニーズを取り入れながら整備していきたいと思っています。また、わたしたち教員がその環境をいかに教育の現場で有効活用できるのかも重要になってきます。例えば、システムにどんなコンテンツを載せ、それをいかに授業で活用していくかなど、教員側で考えていく必要があります。今回のデスクトップ・クラウド環境構築は、検討を進めていく上で良いきっかけになりました」

中央大学では「行動する知性」の実現に向けて、今後もさらに充実した教育環境を整えながら大学としての使命を果たしていきます。

 

お客様情報

1885年に創設された中央大学は、「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神の下、長年にわたり実社会が求める人材を養成。現在では「行動する知性。―Knowledge into Action―」をユニバーシティ・メッセージとして掲げ、6学部、大学院8研究科、専門職大学院3研究科、4附属高等学校、2附属中学校を擁する総合大学として多様な学問研究と幅広い実践的な教育を推進しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM Flex System

サービス

ソリューション

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

ハードウェア

Flex System

サービス

GTS ITS End User: Mobile Enterprise Services

ソリューション

IBM Smart Business Desktop on the IBM Cloud, Educ: Technology Infrastructure, Mobile

Solution Category

  • IBM Cloud
  • Mobile
  • Systems Hardware
    • Educ: Technology Infrastructure
    • IBM Smart Business Desktop on the IBM Cloud