Business Challenge story

サービス指向の発想でシステム全体を再構築。土台を支える製品には高い運用性と信頼性が必須

神戸大学情報基盤センターが「KAISER」を構築した背景には、アカウント運用の変更に伴う運用負担の増大がありました。神戸大学情報基盤センター学術情報処理研究部門 教授の田村直之氏は次のように振り返ります。

「以前のシステムは学生には全員アカウントを提供していましたが、教職員は申請ベースでのアカウント提供となっており、一部の教職員だけがログインできる状態でした。そのため部門ごとにアカウントを取得し、それを複数のスタッフで共用する使い方が一般的でした。しかしこのままではセキュリティー面で問題があるため、2006年1月に“アカウントを個人にひも付ける”方針に転換しました。そのため一気にアカウント数が増えてしまい、限られた人員で対応することが難しくなったのです」。

その一方で「サービス提供の自動化も重要なテーマでした」と語るのは、神戸大学情報基盤センター准教授の伴好弘氏。以前は研究教育用の計算機リソースやメール・サービスを、スタッフが手作業で提供していました。しかしサービス提供に時間がかかる上、スタッフの作業負担も大きいため、増大するニーズに対応しきれません。「いくつものサービスを複合的に提供するには、管理性の向上が不可欠。そのためにはシステム全体のアーキテクチャーも見直す必要がありました」。

その結果導き出されたのが「サービス管理レイヤーの概念をもったプライベート・クラウド基盤の構築」です。このアーキテクチャーにより新たなサービスに迅速に対応できるサービス指向のシステムを再設計・再構築することが可能になったのです。

Transformation

安定性の高い製品群でクラウド基盤を構築。運用管理の自動化やワークフロー化も実現  

クラウド基盤を実現するために、神戸大学が2006年に選択したのは、IBMの提案でした。システムの土台となるサーバーにはIBM Power Systemsを選択。極めて高い可用性を持つハードウェアの上で、Advanced Power Virtualization (現在のPowerVM)によってサーバーを仮想化するアプローチをとることで、サーバー統合を実現しました。さらに統合ユーザー管理システム「KUMA」や認証システムも新規に構築し、サービス管理レイヤーの基盤を作り上げました。

2011年にはIBM Power Systemsを最新モデルへ移行し、各種管理システムの機能強化を図ることで多様なニーズに対応したサービス管理レイヤーを作り上げました。IAサーバーへのニーズ対応のためにも、IBM BladeCenterを導入。さらにIBM XIV Storage Systemを導入し、ストレージの仮想化統合も実現しています。まず統合サーバーとしてIBM Power 750を2台、合計28コアを使用。KUMAや認証用のディレクトリー・サービス(LDAP)、メール・サービス、開発用計算サーバーは複数の論理区画上のAIXおよびLinux環境で動いています。この他にIBM Power 755も導入されており、こちらはバッチ用計算サーバーとして利用されています。

VMwareによる仮想マシンが稼働するIAサーバーとしてIBM BladeCenter HS22が10台導入され、メーリング・リストやユーザー用のWebページ、Windows認証、学術認証フェデレーション、プリンター・サーバーなどのサービスが提供されています。またIBM System x3650 M2とIBM System x3550 M2が、サーバー管理システム用のサーバーとソフトウェア・ライセンス・サーバーとして利用されています。システム全体に対するストレージ・サービスはIBM XIV Storage Systemによって統合され、現在43TBの容量が提供されています。ユーザーのホーム領域などを提供するストレージ・サーバーにはIBM System x3650 M2、そのファイル・システムには可用性の高いIBM General Parallel File System(GPFS)を採用しています。

「統合サーバーには継続してPower Systemsを採用しましたが、その最大の理由は安定性の高さにあります」と田村氏。2006年に最初に導入して以来、サービス停止に結びつくトラブルは皆無だと説明します。「認証システムで障害が発生すると、他のサービスにも連鎖的な影響を及ぼす危険性があります。しかしPower Systemsならその心配はありません」。

現在このシステムを利用しているユーザーの数は約3万人。KUMAは人事給与や教務システムと連動し、これらのユーザーを管理しています。ほぼすべての管理運用はワークフロー化されており、管理者がWeb上で承認したり権限付与が行えたりできるようになっています。利用継続など一部の手続きは、ユーザーがセルフ・サービス型で行うことも可能です。

「KUMAの考え方はシンプルですが、仕組みは非常に複雑です。IBMは運用経験を持つエンジニアが継続的に開発を担当するという提案をしてくれたので、安心して任せることができました」(伴氏)。

Benefits

運用負担が軽減しサービス提供もスピードアップ。6年間で6倍近くに増大したサービス申請数にも対応 「KAISER」でクラウド基盤を確立したことで、アカウント登録や申請処理の負担は大幅に軽減しました。申請業務の自動化が進んだため、少ない人員で膨大な申請処理をサポートできるようになったのです。また運用管理の標準化によって行うべき作業が明確に定義されているため、専門知識がないスタッフでも作業を行えます。サーバーの安定性の高さも負担軽減に貢献。予想外のトラブルがほとんど発生しないため、専門知識を持つ教員が運用管理に関与する必要性が減っているのです。これにより教員は研究や企画業務に専念しやすくなりました。

2011年にIBM XIV Storage Systemでストレージ統合を行ったことも、運用管理負担の軽減につながっています。「XIVなら仮にディスク障害が起きてもサービスに問題は生じません」と伴氏。必要に応じて自動的にデータを再配置し、問題を回避する機能が備わっているからです。「2011年11月には容量を拡張した際も無停止のまま実行できました。またストレージ配分を意識する必要もありません」。

運用管理の負担軽減によって、サービス提供のスピードも高まりました。例えばアカウント発行は、以前は3日程度かかっていましたが、いまでは半日で完了します。また各種申請サービスも、申請から数日程度で使えるようになっています。2011年のシステム増強によって、パフォーマンスも向上しました。学術認証フェデレーション(学認:学術 e-リソースを利用する大学と学術 e-リソースを提供する機関・出版社などから構成された連合体)への参加によって、学外のサービスを学内アカウントで利用することも可能です。すでに一部の出版社と契約が交わされており、出版社の電子ジャーナルに学内からアクセスするサービスも提供されています。

「システム基盤のアーキテクチャーを3階層に分けた結果、運用管理者にもユーザーにもスマートな仕組みが実現できました。サービス申請数もこの6年間で6倍近くに増え、2012年1月には1500件を突破しています」(蛯名氏)。これは、従来であれば各研究室が独自に構築・運用していたサービスが、このクラウド基盤へと集約されつつあることを意味しています。使いやすいサービスを用意することでICT投資の重複が少なくなり、全体最適化に向けた取り組みも進めやすくなったのです。

 

将来の展望

サービスのさらなる拡充。より広範なクラウド基盤活用の展開を目指す

今後はこの基盤の上で、高レベルのサービスをさらに拡充していく計画です。例えば教育分野では、e-Learningシステムの全学展開が検討されています。また学内の業務システムの中にはまだKAISERの上に乗っていないものもあり、これらの統合についても、関係部門と調整しながら検討していく予定です。「KAISERの仕組みや考え方を、幅広いシステムに適用したいと考えています」と蛯名氏。「これによって大学経営の情報化を、より効果的に進めることも可能になるはずです」。

 

お客様の声

神戸大学教授 神戸大学CIO補佐 神戸大学情報基盤センター長 工学博士 蛯名 邦禎氏

「システム基盤のアーキテクチャーをすっきりと3階層に分けた結果、運用管理者にもユーザーにもスマートな仕組みが実現できました。サービス申請の数はこの6年間で6倍近くに増えています」

神戸大学情報基盤センター 学術情報処理研究部門 教授 学術博士 田村 直之氏

「IBM Power Systemsを採用した最大の理由は安定性の高さにあります。2006年に最初に導入して以来、サービス停止に結びつくトラブルは皆無です」

神戸大学情報基盤センター 准教授 工学博士 伴 好弘氏

「KUMAの考え方はシンプルですが、仕組みは非常に複雑です。IBMは運用経験を持つエンジニアが継続的に開発を担当するという提案をしてくれたので、安心して任せることができました」

 

お客様情報

  1. お客様名:国立大学法人 神戸大学

  2. URL:http://www.kobe-u.ac.jp/ (外部サイトへリンク)

神戸大学の情報基盤センターは、神戸大学のICT活用を推進してきた旧情報管理室、学術情報基盤センター、企画部情報企画課を集約し、ICT戦略実施の中核的役割を担うために2010年7月に設置。教育支援基盤研究部門、学術情報処理研究部門、ネットワーク基盤研究部門、事務情報システム部門の4部門で構成され、研究成果を学内外へと還元することで、大学における情報基盤の高度化、高機能化を進めています。また基本的な情報処理教育を行う全学共通科目「情報基礎」を、大学教育推進機構と共同で提供。進化を続けるICTの効果的な活用によって「知」の再定義を目指しています。

  1. お客様名:神戸大学情報基盤センター

  2. URL:http://www.istc.kobe-u.ac.jp/ (外部サイトへリンク)

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