Business Challenge story

財務部門が生き残るためには、新たな価値を生み出すことが必須

現在、日本アムウェイに登録しているディストリビューターならびにショッピング・メンバーは合計で約87万組を数え、取り扱う商品は200品目を超えています。また、売上規模は約920億円(2011年12月期)に達しています。

このビジネスの成長を支えるべく、アムウェイの財務本部ではグローバルな規模で業務の合理化を進めています。

リーン文化(製品の製造工程や企業活動でプロセス管理を効率化することによって、無駄を排除してコスト削減を目指す考え方。日本の自動車産業での生産方式をもとに米国で提唱された)の醸成を通して継続的な“カイゼン”を進めるとともに、マレーシアに設立されたアジア地域シェアードサービスセンターにルーティン業務を順次移管。さらにはITソリューションの活用などにより、伝票処理や帳簿管理といった従前の経理的業務の大部分の合理化が推進されています。

もっとも、これはある意味では、財務部門にとっての存在意義が問われる時代の到来とも見ることができます。

「これからの財務部門は、新たな価値を生み出さなければ生き残ることができません」と危機意識を募らせるのは、日本アムウェイ 財務管理部 ビジネスアナリシス&サポートグループのリーダーを務める能戸俊幸氏です。「具体的には、ビジネスにおけるさまざまな意思決定をいかにサポートするか、ひいては戦略実現への貢献が強く求められています」

この新たなミッションを見据え、日本アムウェイが推進しているのがビジネス・フォーキャスト(予算・業績予測)の導入です。

「ビジネスはタンカーに似ています。変化する状況にあって、方向を修正したり、停止したりするためには、一定の距離(時間)が必要です。危険な氷山に近づいてから、かじを切っても遅いのです。例えば、月次決算後に情報をまとめてレポートを作成していたのでは、その時点で情報はすでに鮮度を失っている可能性があります。そこで重要となるのが、結果ベースの意思決定から予測ベースの意思決定への転換です。従来の予算管理のような詳細把握ではなく、さらには勘定科目ベースでもない、アクティビティーにフォーカスしたドライバー ベースの予測を行うことが求められています。こうした考えから行き着いたのが、ビジネス・フォーキャストの導入なのです」と能戸氏は話します。

Transformation

ビジネス・フォーキャストによりタイミングを逃さない意思決定を支援

日本アムウェイがビジネス・フォーキャストを推進するにあたり、基盤ソリューションとして位置づけているのが、IBM Cognos TM1です。

能戸氏は、その利用面における大まかな仕組みを次のように説明します。

「まず、毎月中旬に直近の情報をもとに、ビジネス部門がイベントやプロモーションなどの主要アクティビティーについての予測をMicrosoft Excel形式で作成します。これらの情報を財務部門がIBM Cognos TM1上で集約して、毎月の第4週にフラッシュ・レポートにまとめて報告します。これをもとに経営陣は、今後のアクション・プランについて意思決定を行うことが可能となります」

こうしたビジネス・フォーキャストが、実際にさまざまなビジネスの戦術変更に結びついていくケースは少なくありません。例えば、2011年の11月から年末にかけ、アムウェイの代表的なサプリメント・ブランドである「ニュートリライト」のTV広告が集中的に放映されました。この背後にあったのも、ビジネス・フォーキャストに基づいた経営陣の意思決定だったのです。

もともと日本アムウェイでは、同時期にTV広告のほか、イベント、セミナー、プロモーションなど、さまざまな施策を予定していました。しかし、この中のいくつかの施策に、キャンセルせざるをえない状況が発生しました。一方でいくつかの施策については、各担当部門のコスト削減努力が奏功し、支出見込み額の減少が予見されました。

「財務部門では、ビジネス・フォーキャストを通じてこの状況を月次で把握しており、経営陣に対して迅速に報告することができました」と能戸氏は話します。

これを受けて経営陣はリカバリー・プランを策定し、特に戦略的重要度ならびに優先度の高いTV広告への予算の再配分を決定。先に述べたように、2011年第4四半期における大規模なTV広告キャンペーンを展開することになりました。

「仮に各ビジネス部門から第3四半期の予算修正情報が出そろうのを待ち、これまでどおりの結果ベースで意思決定を行っていたとすれば、おそらく今回のTV広告キャンペーンは間に合わなかったでしょう」と、能戸氏は振り返ります。

Benefits

より的確な切り口を持った情報提供へ

ビジネス・フォーキャストの導入で大きな手応えをつかんだ日本アムウェイは、さらなるチャレンジに向けて動き始めました。

「状況に応じて戦術や施策を柔軟に変化させていく過程では、意思決定のベースとなる情報に対する要件も変化していきます。そこで私たち財務部門としては、より的確な“切り口”を持った情報提供に努めなければなりません」と能戸氏は話します。

そうした中で日本アムウェイが徹底しているのが、「ビジネス・フォーキャストに関するあらゆるデータを財務部門自身で管理することで、変更や修正のたびに情報サービス部門へ依頼するといった待ち時間をなくす」という方針です。

これに基づき、日本アムウェイにおけるIBM Cognos TM1の運用体制は、情報サービス部門と財務部門の間で明確な役割分担が行われています。

ハードウェア(サーバー)のバックアップ管理やセキュリティー管理のみを情報サービス部門が担当。一方、データの集計や分析に用いるキューブ(多次元データベース)の新規構築や構成変更、データのアップロード、定型レポートフォーマットの作成、非定型分析のためのデータ抽出といったアドミニストレーター業務については、そのほとんどが財務部門内のスタッフによって遂行されています。

「現在、財務部門内の10名のスタッフがアドミニストレーター権限を保有し、キューブの作成や修正にあたっています」と話す能戸氏は、それを可能としたIBM Cognos TM1の使い勝手の良さにも言及します。

「私たち財務部門にとって、最も負担の大きい作業の1つが予算策定です。かつてはExcelのマクロを組んで処理を行っていたのですが、属人化によって中身はブラックボックスになりがちで、ちょっとした修正や変更を行うにも大変な手間と時間を費やしていました。これに対してIBM Cognos TM1では、基幹システムに蓄積されたGL(総勘定元帳)データや売上情報、在庫情報、顧客情報、各ビジネス部門から寄せられるローリング・フォーキャスト(いったん立案した業績予測を短いサイクルで柔軟に見直す方法)などのプロセス・ファイルの取り込みからデータの加工・修正、レポートのアウトプットまで、すべてのプロセスを一貫して標準化し、簡単に行うことができます。また、データ集計のレスポンスも非常に良好です。ユーザー・フレンドリーな特性を備えたIBM Cognos TM1によって、作業を大幅に簡素化することができました」

また、「より的確な切り口を持った情報提供」という新たなテーマに向けては、プロセス・ファイルに組み込んだ条件式によって、キューブに新たな軸(属性)を動的に追加するという工夫を行っています。

例えば、「プロモーション費用の中でA部門が実施するB製品に関するものは、重要施策である」(If “プロモーション費用&部門A&製品B” Then “重要施策”)という条件式を満たすデータが読み込まれた場合、キューブには“重要施策”という属性が追加され、それを切り口とした集計ならびにレポート作成を行うことが可能となります。

「経営陣やビジネス部門のニーズに即して、データの切り口を自在に切り替えたり、新たなフラグを立てたりといった操作を容易に実行できるのは、IBM Cognos TM1ならではのメリットです。また、データの2次加工が容易になることで、新たなレポート作成をスピディーに実行し、ひいては情報提供のリードタイムを短縮することができます。ITの専門知識を持たないユーザー部門ゆえに壁に直面することもありますが、社内で解決できない製品上の技術的な問題に関してはIBMのビジネス・パートナーである日本ラッド株式会社へ問い合わせをしてサポートを受けており、IBM Cognos TM1は業務に不可欠のツールとして、組織全体に深く浸透しています」と能戸氏は話します。

 

将来の展望

財務部門のあるべき姿はビジネスを共にドライブするパートナー

ビジネス・フォーキャストに向けた取り組みをさらに前進すべく、日本アムウェイでは現在も継続して財務部門内の人材のスキルアップに注力しています。

「新入社員や人事異動によって新たに財務部門に加わった人材に対して、IBM Cognos TM1の入門テキストを手作りしてトレーニングを行っています。また、キューブの構築や変更などアドミニストレーターが担当する基本操作についても、ドキュメントの充実を図ってきました。16年間にわたってIBM Cognos TM1を運用し続ける中で培ってきたこれらの資産に加え、OJTを通じて幅広いユーザーに知識を伝えていくというのが、私たちの人材育成の基本方針です。今、会社の中にどんな情報が存在しており、それに対してどんな切り口を用意すべきなのか、自らデザインできることが重要です。そうしたスキルや感性を持った人材を、一人でも多く育成していくことを目指しています」と能戸氏は話します。

そして、その先に描いているのが、「これからの財務部門は、ビジネスをドライブするパートナーになる」というビジョンです。

「ディストリビューターやショッピング・メンバーの潜在的なニーズや機会を察知して施策を提案する、あるいはビジネス・フォーキャストの信頼性をより高めていくためには、経営陣やビジネス部門とのコミュニケーションの頻度と密度を向上させていくことが非常に重要となります。また、より有益なインサイトを提供するため、財務部門におけるアナリティクスの能力を高めていかなければなりません。そこで必要となる時間や組織としての機動力を生み出していく意味からも、伝票処理や帳簿管理に代表される経理機能重視の財務部門からの脱却が急がれており、私たちのチャレンジはこれからが真価の問われる本番です」と能戸氏は、今後の取り組みを見据えています。

 

お客様情報

日本アムウェイは、1979年5月に日本で営業を開始して以来、30年以上の歴史を持つダイレクト・セリング(直接販売)業界のリーディングカンパニー。日用品、化粧品、栄養補助食品など、毎日使うものを中心に200以上の製品をラインナップ。自社工場や自社農場を所有し、ほとんどの製品を自ら研究開発し、製造から流通までを一貫して行うことで高品質を追求。多くのお客様に愛用され続けるよう、上質な製品を生活の場に広く届けていくことを目指している。

 

パートナー情報

1971年の創業時からシステム受託開発事業を中心に事業展開しているシス テム・インテグレーター。2010年末から商用開始した新型データセンターを 活用したクラウド事業の拡大を図るとともに、プロダクト販売、組み込み系 システム開発、ビジネス・ソリューション提供などの事業でも業績拡大を 目指している。

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ソフトウェア

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  • IBM Hybrid Cloud