Business Challenge story

予実管理の強化とともに新たな付加価値提供を目指す

“つなぐ”テクノロジーを通じ、顧客の価値創造と社会に貢献することをミッションとし、各事業分野の研究・開発・製造で世界のマーケットをリードするフジクラグループは、国内外の外部環境の変化に対応し、継続的な成長を実現するための機構改革の一環として、2013年4月に社内カンパニー制を導入しました。具体的には従来の事業部門を「エネルギー・情報通信カンパニー」「エレクトロニクスカンパニー」「自動車電装カンパニー」「不動産カンパニー」の4つの社内カンパニーに再編。営業・技術・製造・開発の一貫した事業運営を行う体制を築き、経営の効率化を目指しています。

そうした中で求められたのが、グループ経営の経営情報が“見える”仕組みです。

同社 コーポレート企画室 IFRS推進室の室長を務める北村 嘉浩氏は、その背景を次のように話します。

「当社では、売上や利益、経費などのデータを全社から集約し、予実管理やその分析を行うための基盤として、1997年にビジネス・インテリジェンス(BI)・ツールを導入。財務・経理部門を中心に活用を図ってきました。しかし、導入から15年が経過 した現在、さすがにそのツールも技術的に陳腐化してきました。そこでこの機に基盤を刷新し、手薄だった部分(連結の予実管理など)を強化するとともに、これまでにない付加価値を提供したいと考えたのです」。 北村氏が目指した“付加価値”には、大きく2つの観点があります。1つは、経営陣や各事業部門に対する経営情報の“見せる化”で、Webを活用したよりユーザーフレンドリーなBIの利用環境を整えます。連結予実管理などのより多くの情報をデータとして提供して、事業分析をよりきめ細かくサポートします。

もう1つは、オペレーションの改善です。

これまでフジクラでは、国内外の200を超える部門からMicrosoft Excelを介してデータを収集し、集計基盤となるキューブ(多次元データベース)に入力していました。このワークフローをWeb化することで、各部門のデータをダイレクトにキューブに反映できる仕組みにすることで入力の手間を省きたいと考えました。

また、従来は、キューブにデータ投入後、集計計算やキューブ間連携をバッチ処理する必要がありましたが、インメモリーで、高速な自動集計とリアルタイムなキューブ間連携機能を提供するIBM Cognos TM1を採用することで、バッチ処理を待つ必要がなくなったのです。

「これにより、従来よりも短期間で新年度予算などの計画を立てられるようになります。また、各カンパニーの実績や進捗状況もリアルタイムに把握できるようになり、スピード経営に貢献することができます」と北村氏は話します。

Transformation

自分たちが使いこなすツールとしてIBM Cognos TM1を導入

2012年3月、先述のようなBI環境刷新の構想に基づき、フジクラはいくつかのベンダーのBI製品をリストアップし、比較検討に着手しました。その結果、導入を決定したのが、IBMの財務パフォーマンス・マネージメント(PM)ツールのIBM Cognos TM1です。

「IBM Cognos TM1の分かりやすさ、使いやすさが、採用の決め手となりました」と話すのは、同社 経理部 利益管理グループのグループ長を務める二宮 茂氏です。

「正直なところ、私自身はITシステムやBIに関する深い専門知識を持っているわけではありません。しかし、こうしたBIツールは私を含め、財務・管理部門のエンドユーザーが率先して活用に乗り出してこそ、はじめて全社に対して価値をもたらすことができます。そうした観点からさまざまなベンダーのBI製品を比較したとき、『これなら自分たちにも使いこなしていけそうだ』と直感したのが、IBM Cognos TM1でした」。

こうして同年7月、フジクラにおけるIBM Cognos TM1導入プロジェクトがスタートしました。

なお、同プロジェクトには、IBMから紹介を受けた株式会社クロスキャット(以下、クロスキャット)も参加しています。クロスキャットは、コンサルティングからIBM Cognos TM1の実業務への適用まで、BIビジネスに関する豊富な実績とノウハウを持つIBMのパートナー企業であり、今回はキューブの構成設計をはじめ、さまざまな技術サポートや構築・運用ノウハウのトランスファーを行いました。

「クロスキャットのコンサルタントやSEは、私たちと一体になってプロジェクトをアシストしてくれました。おかげで外部のSIベンダーに頼ることなく、社内人材で編成されたチームが主導権を持ってIBM Cognos TM1の導入を進めることができました」と二宮氏は、クロスキャットによる貢献を高く評価します。 また、インフラ構築の立場からプロジェクトに参加した株式会社フジクラビジネスサポート ITサービス事業部 開発改善部の菅野 幸一氏が、このように話します。

「キューブを仮想化環境で運用すること、さまざまなデータマートをメモリー上に展開して操作することなど、当社にとって初めての試みとなる運用形態に対して、最初のうちは少なからず不安を感じていたのも事実です。しかし、クロスキャットならびにIBMから的確な情報提供をいただいたことで、サービス・レベルやデータ保護もまったく問題がないことを理解することができ、安心して導入を進めることができました」。

Benefits

社内カンパニー制への移行直後の予算策定にも迅速に対応

導入作業は年内にほぼ完了し、フジクラは2013年初頭よりIBM Cognos TM1をベースとした新たなデータ集計・分析基盤の運用を開始しました。

当初からの課題であった、経営陣や各事業部門に対する経営情報の“見せる化”は、出荷採算や発生費用、月次PL(損益計算書)などを収めた明細データベースとIBM Cognos TM1の連携によって実現。単体PL、連携PLおよび連結BS(貸借対照表)、ROIC(投下資本利益率)にいたるまで、自由な切り口でKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を参照するほか、必要に応じて対象項目をドリルダウン(掘り下げ)したり、明細データにドリルスルー(集計値のもとになった明細データを表示する)したりといった操作も可能となりました。

一方のオペレーションの改善についても、IBM Cognos TM1によるWeb化が大きな成果をもたらしています。フジクラ 経理部 利益管理グループの係長を務める境 悦史氏は、このように話します。

「社内ネットワークに接続できる環境さえあれば、どこからでもデータの入力や閲覧ができるようになり、各部門の担当者の作業負荷を軽減することができました。Microsoft Excelシートを添付してやり取りしていたメール件数も激減しました。もちろん、私たち経理部自身の業務効率も大幅に向上しています。グループ各社の単体分については、データ入力の締め切り後、30分程度で集計することが可能となっています。集計が短時間で完了するようになって時間ができるはずでしたが、IBM Cognos TM1導入によって、さまざまな分析ができるようになって便利になったため、利用部門から新たな情報提供の要望を受けて、むしろ忙しくなってしまいましたが」。

また、データが変更された場合、これまではキューブごとに対応が必要でした。これに対してIBM Cognos TM1では、1つのキューブに行われた変更を一括してすべてのキューブに反映することができます。このような容易な操作によるデータの一貫性の保持も、運用上の大きなメリットとしてとらえられています。

こうしてIBM Cognos TM1は、短期間のうちにフジクラの社内に浸透していきました。

まさに、そのタイミングで行われたのが、冒頭で述べた事業部制から社内カンパニー制への移行だったのです。

「組織変更が一般社員に知らされるのは直前のことですので、事前に準備することはできません。もしIBM Cognos TM1を導入していなかったら、2013年度の予算策定作業は間に合わなかったかもしれないと、胸をなでおろしています」と北村氏は話します。

IBM Cognos TM1はキューブに取りこんだローデータ(処理を行っていないもとのままのデータ)に変更を加えることなく、ディメンションの階層を自由にコントロールして、組織変更や製品カテゴリー変更などを行い、柔軟、かつ、迅速に集計対象を変更することができます。この機能を利用することによって、事業部制から社内カンパニー制への移行という組織の大変革に対応した予算策定作業をスムーズに行うことができました。

 

将来の展望

本格的な財務パフォーマンス・マネージメントで経営陣や各カンパニーの意思決定を支援

IBM Cognos TM1の利便性とリアルタイム性を生かし、フジクラは予実管理のさらなる精度向上を目指していく考えです。

「従来のような通年の予算策定だけでなく、四半期や月単位といったスパンでの予算策定も充実していければと思います。また、より詳細なメッシュで実績値を収集し、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4段階から成る業務管理プロセスであるPDCAサイクルを素早く回す中から、経営情報を正確に速く伝えていきます。これを通じて、経営陣やカンパニーの事業責任者の意思決定に貢献できればと考えています」と北村氏は話します。

なお、現時点ではIBM Cognos TM1の利用は、予実管理をはじめ財務・経理部門の業務が大半を占めているのですが、「製品の納期や在庫量、売れ筋など、自分たちのビジネスにとってのKPIにつながるデータを、同じキューブに集めることはできないか」といった声が、他の事業部門からも聞かれるようになりました。

「将来的にはこうした要望にも対応し、より広範な業務での分析や意思決定、全社規模の情報共有を支えるBI基盤に発展させていければ理想的ですね」と二宮氏は話し、今後に向けた構想を膨らませています。

 

お客様情報

1885年の創業以来、電線・ケーブルの研究・開発・製造で培ってきた先進テクノロジーを、「情報通信」、「エネルギー」、「エレクトロニクス」、「自動車」の4つの事業分野で展開。光ファイバー、通信ケーブル、光関連機器、フレキシブルプリント配線板、各種コネクター、自動車電装品など、高品質の多様な製品を提供している。「2015中期経営計画」を通じて、社員の一人ひとりの変革、企業の変革、グループの変革を推進し、「収益率の重視」、「新技術・新商品の継続的創出」、「選択と集中によるリソースのシフト」、「ものづくり力の強化」といった取り組みを強化している。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud