Business Challenge story

4つのCRMシステムの統合と可用性、柔軟性の向上が課題

三菱東京UFJ銀行では、複数の銀行が合併したことや、制度対応の必要性から、個人のお客様を対象とした「RMS」「FIRST」「S-CRM」「お客さまナビ」の4つのCRMシステムが運用されており、そのためにいくつかの課題がありました。システム部 基盤第三グループ 情報・フレームワーク基盤チーム 上席調査役である井澤淳一氏は、次のように語ります。

「業務面では、各CRMシステムのユーザーインタフェースが異なるために使い勝手が良くないこと、同じ情報を2つのシステムにそれぞれ入力しなければならないこと、バッチによるシステム連携のため、即時にデータが反映されないことなどが課題でした」

一方、システム面では、保守運用サービス期間の終了(End Of Service:EOS)が課題でした。たとえばRMSは2004年の運用開始から既に7~8年が経過し、保守期間を延長して運用しており、新たな製品バグが発生しても製品の改修ができない為、回避策による対応を行わなければならない状況でした。

井澤氏は、「実際に業務上の問題は発生していませんが、常にリスクを抱えた状態でした。ハードウェアの性能も限界に来ていましたし、本番稼働した当時はSLA*1 1要件を満たす可用性を実現していましたが、時代とともに業務要件が高度化し、障害発生時はSLA要件を満たせないリスクがありました」と話します。

また、システム部 基盤第三グループ 情報・フレームワーク基盤チーム調査役の山本勝久氏は、次のように語ります。「営業の最前線で、来店したお客様に投資信託などの運用性商品を提案する時にも利用する為、絶対に止められない重要性の高いシステムです」。

そこで、障害が発生しても業務を止めない可用性がシステムには必要でした。山本氏は、「旧システムでは、ハードウェア障害などの復旧に10~15分程度、データベースのハングアップなどの復旧に1時間弱を要していました。営業店ではお客様が目の前にいらっしゃることから、障害復旧時間を数分に短縮する必要がありました」と話します。

さらに三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 基盤第三部 情報フレームワーク基盤課の平田辰徳氏は、「各CRMシステムでは、DB2やOracle、オープンソースなど、さまざまなデータベースが利用されていました。また、運用部門が管理しているものや、ユーザー部門が管理しているものが混在し、管理が煩雑なことも課題の1つでした」と話します。

*1:SLA(service level agreement)サービスの利用者と提供者との間で交わされるサービス品質に関する合意

Transformation

可用性など総合的な判断でpureScaleを採用

CRMシステムの統合と、より高い可用性、拡張性、性能の実現という課題を解決するために三菱東京UFJ銀行では、2010年初旬より新しいCRMシステムとなるRMSの構築プロジェクトをスタートし、2010年春にpureScaleの採用を決定、検証を開始しました。

pureScaleを知ったきっかけを平田氏は、次のように語ります。

「日本IBMの“ユーザー中心設計(User-centered design:UCD)”のプロセスに早い時期から参画していたので、製品がリリースされる前からpureScaleが開発されていることは知っていました。RMSにいかに適用するかを常に考えながらpureScaleの動向を確認すると共に製品開発チームとの検討を続けてきました」。

三菱東京UFJ銀行では、2010年12月より約1年をかけてpureScaleを採用したRMSを構築。2011年12月に本番稼働しています。 pureScaleの導入に関して平田氏は、「これまでもDB2を使っていたので、pureScaleの基本的な機能は理解していました。しかし最初のバージョンであることから初期不良などのリスクは考えておく必要がありました」と話します。

そこで日本IBMと共に、グローバルレベルでレビューを行ったり、製品開発チームとディスカッションを繰返すなど、事前の検証、調査、評価に、十分な時間を割くことで、リスクの軽減を図りました。

事前の検証について平田氏は、次のように語ります。

「pureScaleによる2ノードから4ノードまでの検証を実機で行い、リニアにスケールすることを実証できました。それ以上のノード数に関しては、製品開発チームで検証が行われていたので、スケーラビリティーに関しては、心配していませんでした」

今回、RMSの構築プロジェクトでは、行内で実績のある他社製品も検討されていました。その中で、pureScaleが採用された理由を井澤氏は、「これまでの実績から、pureScaleが新システムに求められる可用性を実現するのに最適である、という判断になりました」と話します。

井澤氏はまた、「RMSとFIRSTの業務アプリケーションを修正することは品質やコスト面での影響が大きいので、業務アプリケーションの修正が不要な点もpureScaleを採用した理由の1つでした」と語ります。

一方、Oracleデータベースを利用して開発されているお客さまナビは、データベースをDB2に移行するために、業務アプリケーションを修正する必要がありました。平田氏は、「お客さまナビでは、Oracle互換機能を利用していますが、90%以上の互換が確認できています。これにより高い開発効率も期待できました」と話します。

井澤氏は、「当行は信頼性に対する要求水準が高い為、通常は、国内で大規模な導入実績がある製品を導入しています。

pureScaleに関しては、先陣を切って、まったく先例のない状態で導入した特別なシステムでした」と話します。

「日本IBMとは、製品導入や製品開発チームとの検討などを通じて、共に取り組んできた実績があり、信頼関係が構築できています。もし何かあれば、必ず対応してくれるという安心感がありました」(井澤氏)

Benefits

業務や運用の効率化を実現しTCOを大幅に低減

pureScaleを導入した効果を山本氏は、「統合前は、4つのCRMシステムで約22台のサーバーを運用していましたが、統合後は、サーバー数が半分程度に削減されます」と話します。

また、「これまでは4つのCRMシステムを運用していたので、何か障害が発生した場合に、対処の手順が4通り必要でした。RMSではシステムが1つに統合されたことで、対処方法も1つになりました。これにより運用の負荷も大幅に軽減されています」。

さらにIBMのオートノミック機能を活用することにより、システムに障害が発生した場合でも人手を介することなくリカバリすることも可能です。山本氏は、「今回、ダウンタイムを限りなく小さくしたいという思いがありました。まずは数分を目標にしています」と話します。

三菱東京UFJ銀行では、pureScaleによるデータベースの可用性向上だけでなく、アプリケーションサーバーであるIBM WebSphere Virtual Enterprise(WVE)やハードウェアも含めたシステム全体での可用性向上を実現しています。平田氏は、「WVEは、行内での実績がありましたが、pureScaleとの連携は他社を含めた先例が無かったため、試行錯誤はありました」と語ります。 

「しかし、可用性の高いシステムが実現できたので非常に満足しています。一般的なサーバーのダウンなどであれば、サービスへの影響は発生しません。深刻な問題が発生したとき以外はモニタリングをしていればいいので、運用管理も非常に楽になりました」(平田氏)

井澤氏は、「データベースからアプリケーションサーバー、そしてハードウェアのレベルまで、オートノミック機能を利用しているので、すべてのレイヤーでインテリジェントなシステム運用管理が可能になっています。これによりTCO(総保有コスト)を大幅に削減できたこともpureScaleを導入した効果でした」と話します。

また、月末処理、月初処理、期末処理などのピークにあわせてチューニングすると、平日にはムダなリソースが発生してしまいます。オートノミック機能を活用することで、余裕を持たせてリソース設計を行い、後はオートノミック機能に任せて運用することで、リソースの有効活用も可能になりました。

山本氏は、「RMSではデータベースは1つに統合されています。そのためデータの2重エントリなどの無駄な作業がなくなり、業務を効率化できました。またピーク時には、夜間処理が翌日の業務ぎりぎりまでかかることもありましたが、現在では十分な余裕を持って終了するようになりました」と話します。

さらにプライベートバンキングを利用する富裕層を対象としたお客さまナビやS-CRMは、データベースが別々であったため、対象顧客を別々に登録する必要がありました。しかしRMSでは、データベースに登録されているすべての顧客情報から対象顧客を抽出できるので、サービスの提供範囲を拡大することが可能になりました。

そのほか井澤氏は、「以前は5年先のトランザクション量やデータ量を予測して、リソースに先行投資していました。pureScaleは拡張性が高いので、1年後を見越した投資で十分対応できます。これにより4年分の先行投資が不要になり、運用管理コスト、保守料なども低減できました」と話します。

将来の展望

BCP強化など今後の日本IBMの提案力に期待

今後の展望について平田氏は、次のように語ります。「当行が採用したpureScale(DB2 9.8)は初期バージョンですが、DB2 10では多くの機能が追加されています。特にワークロードマネージャー機能には期待しています」。 「DB2のワークロードマネージャー機能は、別のシステムで使用していますが、OLAP*2とOLTP*3が混在する環境では、非常に効果的にレスポンスとスループットを管理してくれます。RMSとFIRSTは完全なOLTPで、S-CRMとお客さまナビはOLAPなので、pureScaleのワークロードマネージャー機能を利用することで、より効果的な運用が期待できます」(平田氏)

また井澤氏は、「今後、事業継続性計画(BCP)の強化を検討していく中で、pureScaleの活躍の場は多いと考えています。DB2に加えてNetezzaなど多くの製品が存在する為、今後、日本IBMには、システム全体としてどの組み合わせが最適なのかを提案してもらえることに大きな期待を寄せています」と話します。

*2:OLAP(online analytical processing)多次元分析処理

*3:OLTP(online transaction processing)オンライン・トランザクション処理

お客様情報

株式会社三菱東京UFJ銀行は、2005年10月に創設された、信託、証券、カードなど約300社で構成される三菱UFJフィナンシャルグループの中核会社です。資産規模は国内最大級、個人口座数約4,000万、国内法人約50万社と取引しています。同行のシステム部は、経営目標を実現していくためのさまざまな施策をIT面から支え実現していく役目を担っています。

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • DB2 for Linux, UNIX and Windows
    • FSS: Banking - Front Office - Multi-Channel Transformation