Business Challenge story

日・米・欧の3極で販売物流管理システムを刷新し、グローバル・レベルで統合

グローバルでのシステム統合を進める中、刷新を検討されたのが販売物流管理システムです。販売物流管理システムは、日本精工グループの中核となるシステムであり、同社のビジネスにおいて根幹とも言えるものです。同社でコンピューター化を進めた40年前から最重要視されてきたシステムですが、いくつかの課題がありました。

NNS アプリケーション第一部長 アプリケーション第一部 RAS推進室長 佐竹等氏は、課題について次のように説明します。「日本精工グループの事業自体がグローバル化する中で、販売物流管理システムも当然それに対応してきました。しかし、より一段上のグローバル化を推進するとなったとき、標準化・統合化という点で疑問がありました。現在のシステムはコンセプトは共通ですが、日・米・欧の各地域で個別のシステムとなっており、今日のビジネス・ニーズに対応するには、グローバルなレベルでの統合化が不可欠と考えていました」。

従来の販売物流管理システムでは、運用・保守においても課題を抱えていました。開発から年数を経るにつれ、システム開発に携わった担当者の異動などで、システムのブラック・ボックス化が進んでいました。基盤として使用してきたハードウェアも古くなり、更新が検討されていました。

また、システム統合されていない現状では、重要なサプライチェーン情報が完全に可視化されていないという課題もありました。「システム統合することでこれが正確に把握できるようになり、ワールドワイドな事業運営がより効率化され、企業全体としての競争力が上がる」と佐竹氏は語ります。「例えばアメリカで受注した製品の在庫がなかった場合、いずれかの工場で製造することになります。製造を日本の工場が行っていたとすると、受注したアメリカの営業は、現在の製造状況や出荷時期を知りたいと思うはずです。一元化されたサプライチェーンの中で、自分の受注が、今、どこでどのような状態にあるのかが分かれば、その情報を生かした営業活動なども行えます」(佐竹氏)。システムが統合されていれば容易にそれを知ることができますが、現状では複数のシステムをまたがなければならないため、こうした仕組みが実現できていません。アメリカと日本のシステムの間ではデータ受け渡しにマニュアル作業が発生するなど、タイムリーな情報を得ることも困難になっていました。

グローバル・レベルでのシステム統合、運用・保守負担の軽減、技術基盤の刷新、これらを解決するため、販売物流管理システムの再構築がスタートしました。

Transformation

IBM zEnterpriseを基盤にzLinuxやWebSphere Application Server等の最新テクノロジーを採用。運用・管理も容易なオープン・システムへ   

販売物流管理システムを再構築するにあたり、ハードウェア基盤として選ばれたのがIBM zEnterprise(以下、zEnterprise)です。今回の基盤選定では、堅牢性、信頼性が非常に重視されました。「弊社は、多くの企業へ部品を確実に供給するという重要な使命を担っています。その業務を支えるITシステムは絶対に止められないのです」(井上氏)。

zEnterprise選定の理由についてNNS IT基盤ソリューション部 マネージャー 小沼秀之氏は次のように話します。「長年の経験から、System zの堅牢性が非常に高いことは実証されていると考えています。ハードウェア障害でのシステム停止は、ここ20年以上有りません。堅牢性だけでなく、IBMのしっかりとしたサポートが受けられるところも大きな魅力です」。

また今回のシステムでは、堅牢性、信頼性に加えて、処理能力にも高い水準が求められました。この理由について、NNS 取締役 IT基盤ソリューション部長 管理部長 森谷誠氏は、次のように特長を挙げています。「当社は、製造業としてはトランザクションが非常に多いということです。多くのお客様とさまざまな形式のデータをやり取りしていますし、また国内外の多くの製造拠点ともデータが行き来しています。1日数百万以上にものぼるトランザクションを遅滞なくさばけることが重要でした」。

加えて、将来にわたる安定したサポートへの安心感。また管理ツールが充実しており、運用・管理が容易であること。従来の基幹システム環境と新システムのオープン環境の両方を1台でサポートしているなども決め手となり、新システムの基盤として、zEnterpriseが採用されました。またシステムの統合化という観点では、ERPパッケージを利用することも検討されましたが、最終的には自社での開発が選択されました。

「ERPを使うメリットを出すには、ある程度、業務をソフトウェアに合わせる必要があります。我々がこれまで作り上げてきた販売物流管理システムには、業務の流れも含め、日本精工グループのノウハウが詰まっています。そして、そのノウハウこそが、企業としての競争力につながっていると考えています。このノウハウを継承することが重要という判断から、自社開発を選びました」(佐竹氏)。

開発においては可能な限りオープンなテクノロジーを採用。アプリケーションの実装は、zLinuxで行われています。

Benefits

サプライチェーンの可視化を促進し、企業競争力を強化

販売物流管理システムの再構築は、まず中国拠点でスタートしました。日本ではIBM zEnterprise 196、アメリカではIBM System z10 Business Class、ヨーロッパではIBM zEnterprise 114を基盤として、順次導入が進められており、2013年度中にはすべての拠点で新しいシステムが稼働する予定です。 

「新システムの稼働によって、グローバルでの在庫や生産状況の『見える化』が進み、より高い競争力を持てるとともに、最終的にはお客様の利益につながることを期待しています」と佐竹氏は語ります。

また、「アプリケーションの開発や管理・運用面や、IT資産の柔軟な活用といった点でも、今回の導入はメリットがある」と森谷氏は言います。「z/VM環境を使って、擬似本番環境はもちろん、必要な検証環境を必要なときに作って自在にテストでき、社内クラウド的な活用が可能となりました。特に運用では、すべての監視と操作が統合監視画面から行えるので、移行前に考えていた、省力化された運用体制が実現されました。またzLinuxを採用したことで、コンピューター・ウィルスの脅威にさらされることもなく、安心して運用できるシステムになったと評価しています」(森谷氏)。  

管理情報システム再構築においてNetezzaを採用。抜群の検索レスポンスで、経営情報のリアルタイムでの可視化が可能に  

また、新販売物流管理システムのプロジェクトと並行して、管理情報システムの再構築プロジェクトも実施されました。日本精工グループ内のさまざまな基幹システムから集められる膨大な量の経営情報。情報の鮮度が厳しく求められるため、管理情報システムには、これをリアルタイムで可視化することが求められます。そのためインフラ選定においては、「検索レスポンス」と「処理時間」が非常に重要なポイントとなりました。さらに、「旧システムからの移行容易性」と「コスト」の観点を加え、他社のデータウェアハウス・アプライアンスと比較が行われました。その結果、群を抜いた処理能力とメンテナンスの容易性、圧倒的なコストパフォーマンスが評価され、Netezzaが採用されました。既にサービスインを迎えた本システムは、特に上位経営層から、レスポンスの大幅な向上に高い評価を得ています。「経営戦略に必要な、より精度の高い情報を、タイムリーに提供できるようになりました」(佐竹氏)。

 

将来の展望

ハイブリッド・コンピューティングやXIVによる「攻めのITシステム」で、さらなる企業成長に貢献

今後、日本精工グループではレガシーシステムからの脱却を目指し、グローバル標準化をより一層進めていく考えです。その一環として、今回のシステム刷新と合わせて他のアプリケーション基盤でも新たな技術やハードウェアが採用され、システムの変更や今後の導入に向けたトライアルなどがすでに行われています。その1つがハイブリッド・コンピューティング環境の適用です。IAサーバで稼働していた周辺システムをIBM zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)へ統合することで、周辺システムと基幹システムの運用基盤を一元管理するという、日本初の試みです。IAサーバを削減し、管理工数の削減を目的に、現在検証作業が進められています。

また、事業継続の観点から、日・米・欧の3拠点に配置されているIBM XIV Storage Systemを活用した、グローバルな相互バックアップの仕組みも検討されています。

「今後も標準化・統合化を進め、システムの利用者やお客様により一層のバリューを提供し、『攻めのITシステム』でさらなる企業成長を支えていきたい」と井上氏は抱負を語ります。

 

お客様の声

日本精工株式会社 執行役 IT業務本部長 兼 NSKネットアンドシステム株式会社 取締役社長 井上 浩二氏

「東日本大震災以降、日本におけるリスクが顕在化しました。第四次中期計画においては、事業継続やリスク分散への対応をさらに上げて、ワンランク上のBCPを目指し、さらなる安定・安全・安心につなげていきたいと考えています」

NSKネットアンドシステム株式会社 取締役 IT基盤ソリューション部長 管理部長 森谷 誠氏

「z/VM環境を使って、擬似本番環境はもちろん、必要な検証環境を必要なときに作って自在にテストでき、社内クラウド的な活用が可能となりました。特に運用では、すべての監視と操作が統合監視画面から行えるので、移行前に考えていた、省力化された運用体制が実現されました」  

NSKネットアンドシステム株式会社 アプリケーション第一部長 アプリケーション第一部 RAS推進室長 佐竹 等氏

「サプライチェーンが、システムとして1つにつながって見えるようになると、各工場での完成予定日や出荷日などを、さまざまなところから見て、その情報を利用できるようになります。可視化が進むことで、単に効率が上がるというだけでなく、社内業務、お客様対応にも自ずと変化が生じてくるのではないかと期待しています」  

NSKネットアンドシステム株式会社 IT基盤ソリューション部 マネージャー 小沼 秀之氏

「長年の経験から、System zの堅牢性が非常に高いことは実証されていると考えています。ハードウェア障害でのシステム停止は、ここ20年以上有りません。堅牢性だけでなく、IBMのしっかりとしたサポートが受けられるところも大きな魅力です」

 

お客様情報

1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を世に送りだして以来、軸受分野での日本におけるパイオニアです。また軸受の加工で培った技術を元に、自動車部品、精密機器、電子応用製品の分野にも進出しています。1960年代以降、海外の事業拠点の設立を進めており、ブラジル・サンパウロ市郊外の生産拠点を皮切りに、北米、イギリス、アジア諸国に新たな生産拠点を設立しています。1990年代以降は、中国、アジア地域での事業展開を加速しており、グローバルなネットワークを通じて、高品質な製品の提供を行っています。

 

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