Business Challenge story

スキルの高い人材をいかに育成するか

電話やウェブ、電子メールなどで企業の顔としてお客様からの問い合わせ対応を行うコンタクトセンターの課題のひとつが、人員の確保と教育です。頻繁に人員の入れ替えが発生してしまうために、いかにスピーディーかつ効果的にスキルを修得させるかが解決すべき問題のひとつでした。

宜野座コンタクトセンターを統括する日本アイビーエム・ビジネスサービス株式会社(以下、IJBS)沖縄センターの長谷川久センター長は、「当初はベテランのエージェントの経験や勘に頼った問い合わせ対応や研修カリキュラム作成を行っていました。そのためベテランのエージェントが離職してしまうとお客様の対応や人材教育にムラが発生してしまうという課題がありました」と話します。

その一方で、「エージェント」と呼ばれるサポート担当者は、高いスキルを持ったITエンジニアを採用できることが稀であることから、あまり深い知識を持たないIT未経験者を採用し、いかに効率的に教育できるカリキュラムを開発するかが大きな課題になっていました。

日本アイ・ビー・エムPC Software Help Center宮里和幸グループリーダーは、次のように話します。「FAQをベースとした研修は約3カ月で終了しますが、その後の実務で受ける複雑で幅広いお問い合わせにまで対応するような、効率の良い研修ができていませんでした」。

Transformation

分析のプロだけではなく、担当者が楽しみながら分析

いかに効率的な人材育成を行うか。この問題を解決するためにIBMのテキストマイニング製品の採用を決定しました。このテキストマイニング製品は、日本IBMの東京基礎研究所(神奈川県大和市)で研究されてきた機械翻訳の技術が製品化されたもので、高度な日本語処理機能を搭載しています。テキスト情報として蓄積されたコンタクトセンターへの問い合わせ内容を効果的に分析できる機能などを提供します。

コンタクトセンターでは、エージェントがお客様からの問い合わせの電話対応にどれくらいの時間をかけているかといったハンドリングタイムなどの数値データとコールログのテキスト情報が大量に蓄積されています。これらの情報は、1回の電話対応に対し、エージェントが5分程度の時間をかけて入力しています。

長谷川センター長は、「IBMで約20年、ITアーキテクトとしてデータベースを専門に担当してきたので、常にデータをいかに有効活用するかを考えていました。その後、コンタクトセンターに赴任して、どんなデータがあるのかを調べてみましたが、これだけ時間をかけて入力しているデータですから、もっと積極的に活用しなければならないと考えました」と話します。

ただ、一般的なデータベースシステムでは、テキスト情報を効果的に分析するための機能がありません。このため、過去に、IBM PCヘルプデスクにおいて大きな効果をあげていたテキストマイニング製品の採用を決定しました。

2007年10月よりテキストマイニングの導入プロジェクトをスタートし、2008年1月より利用を開始しています。

「専門の分析担当者を配置するのではなく、日々お客様と接するエージェント自身が使用するため、使いやすさは重要でした」と宮里グループリーダー。また日本で研究開発された日本語の言語解析技術が搭載されていることで、高い日本語処理能力を発揮できることも評価されました。

Benefits

人材育成だけでなく品質向上にも効果

宜野座コンタクトセンターでは、問い合わせ数の増大やエージェント不足を解消するために、比較的簡単な問い合わせに対応する一次対応エージェントと難しい問い合わせに対応する二次対応エージェントというサポート体制を確立していました。しかし、一次対応エージェントが多くの問い合わせを二次対応エージェントに引き継いでしまい、二次対応エージェントの作業負荷が増大していました。

そこでテキストマイニングを利用して、二次対応エージェントに引き継がれた案件の傾向を分析。そこから導き出された弱点を補う研修カリキュラムを作成、一次対応エージェントの研修を実施します。研修前の2008年10月には、二次対応エージェントに引き継がれた案件数は202件でしたが、2008年11月に研修を実施した後の2009年5月には16件にまで減少しました。

また、一次対応エージェントの自力回答率は、2008年9月には40%以下でしたが、研修後の2009年5月には60%以上、最高で75%以上にまで改善しています。

この結果についてIBM PC Software Help Centerの久保田エージェントは、次のように語ります「一次対応エージェントの行動を分析することで、各自の苦手分野を把握し、その苦手分野を確実に克服できる研修プログラムを作成したことが、劇的な効果につながりました」

長谷川センター長は、「これまでテキストマイニングといえば、コンタクトセンターでは製品の問い合わせに関する分析が多かったのですが、エージェントの育成にフォーカスした分析を行ったというのは新しい分析の利用方法だと思います」と話します。

他にも、製品の障害に対する問い合わせの傾向を分析し、そこから導きだされた障害発生の条件を特定することに成功しました。問題を改善するための分析結果や障害条件の改善要望を開発部門へフィードバックしています。それまで障害に対する問い合わせが66件寄せられていましたが、フィードバック後は8件と減少しました。久保田エージェントは、「この結果は、お問い合わせの入った件数でみているが、ユーザーの多さから考えると、大きな成果に繋がったことに大変満足しています」と話しています。

 

将来の展望

他のテキスト分析にも期待

 

テキストマイニングの導入で人材育成の効率化を実現した宜野座コンタクトセンターでは、他にもテキストマイニングが活用できないかを検討しています。長谷川センター長は、次のように語ります。「宜野座のメンバーがテキストマイニングに慣れたので、今後は他の分析にも展開していきたいと思っています。また、まだ個人的なアイデアですが、将来的には他社のデータ分析を請け負うサービスが提供できないかと考えています」。

また久保田エージェントは、「私たちは、製品購入後のテクニカル・ヘルプデスクですが、販売促進に向けた分析も行っています。このように、お客様からの問い合わせ対応以外の分野にも、どんどんテキストマイニングを活用していきたいと思っています」と話します。

最後に宮里グループリーダーは、「2年間、エージェントの弱点分析やスキル向上のためのデータ活用や、お客様の声を製品開発にフィードバックするための分析などを行ってきました。コンタクトセンターにおける取り組みにおいても、まだまだ新しい価値を生み出せるのではないかと思っており、よりお客様の声に応えるためのテキストマイニングを活用していきたいと思っています」と今後の展望を語ってくれました。

 

お客様情報

日本IBMのグループ企業として、IBMグループ内外のビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング(BTO)事業を推進。電話やWeb、e-mailなどを通じてお客様からの問い合わせ対応を行うオンデマンド・コンタクト・センター事業と、契約書類の管理を中心とするバックオフィス事業を、沖縄、札幌、幕張の拠点で展開しています。沖縄県那覇市から北東に約60キロ。宜野座コンタクトセンターは、宜野座村のオーシャンフロントに位置し、日本IBMの関連事業所の中で最も美しい場所に立地すると言われています。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

ソフトウェア

Content Analytics with Enterprise Search

サービス

Software Services for ECM

ソリューション

M&E: Customer Sales and Service Transformation

Solution Category

  • Other
    • M&E: Customer Sales and Service Transformation