Business Challenge story

短期間かつ容易な導入でタイムリーに計数を把握したい

住信SBIネット銀行では、インターネット専業銀行の特性を生かし、普通預金や定期預金、外貨預金などの預金業務はもちろん、完全に非対面の住宅ローンや個人ローンなどの融資業務、日本で初めての証券決済サービスなど、顧客のニーズに応えるフルバンキングサービスを提供。2009年7月には口座数が50万口座を超えたほか、預金総残高も7000億円を突破しています。 

開業にあたり住信SBIネット銀行では、IBMのNEFSSを活用した勘定系システムを構築しましたが、同時にASPACのentrance DWHを採用した情報系システムも構築しました。システム第1部長、小川隆司氏は、「インターネットでビジネスを行うためには、一般的な店舗系の銀行に比べ、よりタイムリーに数字を追いかけ、顧客のニーズに応えていかなければ競争に打ち勝てません。そのためにはデータウェアハウス(DWH)システムは不可欠です」と話します。

ただし銀行業務をスタートするためには、まず勘定系システムの稼働が不可欠であり、DWHシステムを含む情報系システムの開発に関しては優先順位が低いのが実情でした。そのため開発のための人的リソースを確保することが難しく、短期間かつ人手をかけることなく導入できる仕組みが必要でした。こうした厳しい条件下でいかにDWHシステムを実現するかを検討した結果、採用されたのがentrance DWHでした。

Transformation

まずはデータを蓄積し将来的にBIに拡張できる仕組みを実現

entrance DWHを採用したDWHシステムは、2006年11月より開発が開始され、1年弱で本番稼働を迎えています。構築されたDWHシステムは、営業計数管理、リスク管理、経理関連、マーケティングなどの業務で活用されています。例えば業務企画部では、いくつ口座が開設され、どの商品にどれだけ残高があるのかなどを把握するための計数管理に利用されています。

業務企画部長、中塚秀和氏は、「開業当初からレポート内容を確定することは困難であり、かつレポート内容を柔軟に変更するため、必要なデータをDWHシステムに蓄積するだけにとどめています。そこから必要なデータを抽出し、Microsoft Access などで加工して日々の計数を把握しています」と話します。

また、銀行業務では、経理関連、与信関連、外為計数など、さまざまな係数を当局に定例的に報告しなければなりません。そのためのデータ検証にもDWHシステムが利用されています。さらに事務的な使い方として、DWHシステムのデータを活用し郵送物作成することが可能な仕組みもAccessなどで構築しています。

中塚氏は、「手作業でデータを入力すると、どうしても入力ミスが発生してしまいます。そこでなるべく手作業でデータを入力することなく、必要な情報を得ることができる仕組みを実現することを考えました」と話しています。

一方、マーケティング推進部 ゼネラルマネージャー、弘川剛氏は、「インターネット専業の銀行なので、店舗系の銀行に比べて柔軟なキャンペーンを展開することができるのが強みです。この強みを生かし、キャンペーンを実施した結果、どれくらいの効果があったかを分析するための仕組みとしてDWHシステムを利用しています」と話しています。

住信SBIネット銀行がentrance DWHを採用した最大の理由は、数多くの金融機関に導入された経験やノウハウが適用された“データモデル”が提供されることでした。当初は他社製のBIツールを導入するという選択肢もありましたが、BIツールを導入するには、ある程度定義されたデータマートをあらかじめ作っておく必要があります。しかし開業前で利用者のニーズも固まっていなかったこともあり、BIツールの導入は断念しています。

小川氏は、「データの定義を一からするのはたいへんな作業ですが、entrance DWHではデータモデルと呼ばれるひな形が提供されるので短期間でのデータ定義が可能でした。これにより、勘定系システム構築のワークロードに影響を及ぼすことなくDWHシステムを構築できる点は高く評価しました」と話します。

「データさえ蓄積されていれば将来的にどんな分析でも可能になります。そこでまずはデータを蓄積し、そのデータを容易に抽出できるインタフェースがあれば大丈夫だと考えました。entrance DWHでは、実績のあるデータモデルが提供されており、必要なデータを勘定系システムからマッピングするだけでDWHシステムは実現できるので、短期での開発が可能になりました」(小川氏)

Benefits

一つのDWHから必要なデータのすべてを抽出可能

entrance DWHを導入した効果を小川氏は、次のように語ります。「利用者は必要なデータを複数のシステムから抽出するのではなく、一つのDWHシステムから取り出すことができるので作業効率を大幅に向上することができました。今後は使い勝手など、各部門のニーズを把握しながら対応していきたいと思っています」と話します。

また中塚氏は、「まだまだ試行錯誤の段階ですが、蓄積されているデータは非常に有効に利用できています。担当者から話を聞くだけでなく、自分の目で状況を把握することができるのも大きなメリットの一つです。ただ使い勝手の向上に関しては、今後の課題でもあります」と話しています。

さらにシステム面での効果について小川氏は、「DWHシステムでは、ハードウェア、OS、ミドルウェアのすべてでIBM製品を使用しています。また勘定系システムでは、IBMのアウトソーシングサービスを利用しており、勘定系システム、情報系システムの基盤をIBM製品で統一することで総合的なサポートを受けることができるのも大きなメリットの一つでした」と話しています。

「短期間で導入でき、簡単にデータを蓄積して、将来的にBIシステムに拡張できる仕組みを導入するという目的においては想定していた効果を十分に実感しており、entrance DWHには非常に満足しています」(小川氏)

 

将来の展望

より一層の顧客サービス向上を目指しBIやCPMに拡張

今後、住信SBIネット銀行では、各部門のニーズを把握して、データマートを作成、必要に応じてBIツールを導入することを計画しています。これにより現在、各担当者がDWHシステムのデータを手作業で加工し、作成しているレポートを、BIツールにより自動生成することを目指しています。

中塚氏は、「勘定系システムから取り込むデータ以外にも、外部から取り込むデータが増えていますが、これらのデータはファイルサーバやAccessで管理されているのが現状です。そこで、別に管理されているデータもDWHシステムで統合管理し、分析できる仕組みが必要になります」と話します。

河口氏は、「レポート作成の自動化は非常に重要です。手作業で帳票を作っている時間は無駄な時間であり、担当者が帳票を作ることが仕事だと思ってしまうことが非常に危険です」と話しています。

また、経営管理部門としては、企業パフォーマンス管理(CPM)を実現したいという希望もあり、今後の検討課題となっています。河口氏は、「大きな銀行であれば、CPMの仕組みはすでに構築していますが、われわれの規模の銀行がCPMをいかに実現するかは重要で、IBMとも相談しているところです」と話します。

「われわれはインターネット専業の銀行なので、その特性を生かしたIT投資を引き続き継続していきます。ただし、無駄な投資はできないので、コスト管理や投資利益率の管理はきちんと行っていきたいと思っています。ITを活用することでコストを削減し、顧客サービスを向上していくことが最大の目的です」(河口氏)

 

お客様情報

住友信託銀行株式会社とSBIホールディングス株式会社を出資会社とするインターネット専業の銀行。最先端のITシステムを駆使した金融取引システムを安定的に提供することで、顧客との強固な信頼関係を築き、社会に貢献する新しい価値を創造することを目指しています。

 

パートナー情報

独立系システム開発、ソリューションサービス企業として、システム・インテグレーション事業、ソリューション・サービス事業、アウトソーシング・サービス事業の3つの柱を中核に、金融、通信、製造、運輸、流通など、幅広い業界に対し、汎用系・基盤系はもちろん、オープン系、ネットワーク系など幅広い分野で、業務システムの開発、運用、サービス提供、アプリケーションパッケージの開発などのソリューションを提供しています。

 

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