壮大なミシシッピ川は米国と国際経済の生命線であり、その堤防の間では年間5億ショートトンの米国製品と輸入製品の積み降ろしが行われています。ルイジアナ州バトンルージュにあるTricon Steamship Agency社は、さまざまな国の生活を支える製品の配送と輸出において極めて重要な役割を果たしています。同社の船上エージェントは船とその貨物を先導し、2,350マイルの航路と、数十の停泊地、ドック、ターミナル、エレベーターにわたる米国税関港、沿岸警備隊、サービス提供企業からなる複雑なシステムの中を巧みに渡っていきます。この船舶サービスエージェントのオペレーションハブは、船舶がミシシッピ川に入り、航行し、そして川を去るまでの間、補給品の要求および配送、政府、税関、貨物関係の書類作成、船舶の保守管理、貨物保護サービスなど、船舶のロジスティクスとエンドツーエンドのサービス提供を手がけます。
Tricon社は海事サービス代理店として非常に高い評価を得ています。その一方、水面下では、40年の歴史を持つこの企業は小規模ながら力強いチームの組織的知識と、しばしば幹部級社員によるオペレーションプロセスのマイクロマネジメントに依存した運営・管理システムの舵取りを行っていました。従業員が定年退職や転職で会社を去ると自社の知的資本が失われるという認識があったことから、Tricon社は業務とプロセスに関する必要不可欠な知識の共有を可能にし、新たなオペレーションやコミュニケーションの効率化を促進するための次善の策として、文書化・自動化されたプロセスを必要としていました。
最近、Tricon社は生成AIに注目し、この最先端のテクノロジーが同社の固有の課題にどのように対処できるのかを検討しています。これまでのところ、Tricon社は自社の事業全体、さらに海運業界にも波及する可能性のある仕方での業務の変革を見込んでいます。
IBMのビジネス・パートナー、ThisWay Global社によるテクノロジー教育セッションの間に、Tricon社の経営幹部は生成AIと自動化の取り組みを開始しました。ThisWay社の担当者はIBM watsonx Orchestrateを使用して、このソリューションが人事タスクを自動化できることを実証しました。追加機能に対するオーディエンスの渇望はほとんど尽きることがありません。ThisWay Global社の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるAngela Hood氏は次のように説明しています。「予定されていたセッションの後、参加者と3時間かけて、watsonx OrchestrateとThisway Globalで利用できるデータとモデリングの機能を検討しました。
ThisWay社がTricon社の提示するビジネス要件と運用要件のサンプル収集をした際、Tricon社の経営陣はIBM watsonx Orchestrateの変革的なビジネス機能を認識することになりました。「当社にとっては、品質や有効性を損なうことなくレポート作業を簡素化する方法を知ることが重要でした」と、Tricon Steamship Agency社のCEO、Mike Brown氏は付け加えます。「watsonx Orchestrateのデモでは、手動によるデータ入力を排除し、エラーを最小限に抑え、複数の部門にわたるプロセスの速度を向上できることがわかりました。それぞれの船上エージェントが必要な書式を手動で入力するには、週に4時間かかりますが、watsonx Orchestrateを使用すると、同じ書式を30分で自動入力できます」。船上エージェントとオペレーションスタッフのメンバーは、単調な担当業務ではなく、重要なカスタマー・ケアの取り組みに時間を費やすことができます。
最初の提案依頼から、ミシシッピ川を出た後の最終インボイスの処理まで、船会社と船舶の間の迅速なコミュニケーションは不可欠です。「Watsonx Orchestrateの『ネクスト・ベスト・アクション』(NBA)機能により、Tricon社はデータにアクセスし、過去に実行したタスクやアクションに基づく適切なコミュニケーションを生成できます。これは、会社が指定した運用プロセス、標準、テンプレートへの一貫した準拠を確保しつつ、Tricon社内のより多くの人が簡単にワークフローに参加できるようになるため、非常に重要です」とHood氏は言います。
さらにwatsonx Orchestrateは、プログラマーを必要とせずに、Tricon社独自の要件を満たすように調整可能な事前構築型の機能を提供します。ユーザーは機械学習アルゴリズムを利用して自身の能力をトレーニングし、成長させることができるため、新しい機能の導入もよりスムーズに進みます。このシステムはクラウドベースであるため、ユーザーはいつでもどこでもシステムにアクセスでき、リモートワークや船舶ベースのレポートとコミュニケーションが容易になります。
社内全体にwatsonx Orchestrateのインスタンスを導入することで、Tricon は時間と費用を節約し、効率を高め、生産性を向上させ、従業員のエンゲージメントを向上させました。従業員は現在、人間の創意工夫と思考を必要とするより高いレベルの業務に集中できるようになり、結果として仕事の満足度と組織のパフォーマンスが向上しています。
「私の主な悩みの1つは、毎日の単調な作業に時間をかけすぎていたことでした」とBrown氏は言います。「watsonx Orchestrateを導入してからは、戦略とイノベーションにはるかに多くの時間を費やすことができています」。経営陣はまた、ルーティン作業に費やす時間が大幅に減少したことにも気づいています。Brown氏は「当社の従業員は市場の変化により迅速に対応できるようになり、以前よりも高いレベルのサービスを提供できるようになりました」と続けます。
「私たちは船の種類、特定の貨物、顧客ごとに運用ベースラインを作成し、それぞれにワークフローを作成しました。私にとって、これは今後プロセスを合理化するのに役立つでしょう。これにより従業員は、あらゆる出来事や行動の商業的な影響と、それを適切に報告する方法をより深く理解できるようになります」Brown氏はそう述べています。
「財務面では、業種・業務、公的機関、船舶についての信用報告書に記載されていない具体的なデータに基づいて、海運会社の信用力とリスクを分析できます。これにより、特に外国船に当社がサービスを提供する場合に、船会社から確実に適切な金額の前払いを受けることができます。現在は、これまで60〜90日かかっていた請求書を7日で処理することを目指しています」。
Tricon社のビジネスに対する最も強力なメリットのいくつかは、必ずしも定量化できるものではありません。「私たちが経験する時間の節約は計り知れないほどです。それが本当のメリットですらないのです。当社のデータ分析とプロセスは飛躍的に向上するでしょう」とBrown氏は結論付けています。「watsonx Orchestrateは、タスクを自動化するだけではありません。単にワークロードを移動するだけではありません。誰も想像していなかった、業界でも想像されていなかった方法で私たちはビジネスを前進させています」。
Tricon社(リンクはibm.comの外部にあります)は、米国メキシコ湾岸地域に寄港する船舶に対して信頼性が高く効率的な輸送ソリューションを提供する、一流の船舶代理店です。卓越性と顧客満足度の向上に務め、同社は業界のリーダーとしての評判をています。40年を超える経験を活かしながら、変化する市場状況に合わせて進化と適応を続けています。
高い評価を得ているIBMビジネス・パートナーのThisWay社(リンクはibm.comの外部にあります)はAI企業として知られており、最高水準のコンプライアンスを維持しながら、顧客企業がイノベーションを推進できるよう力を尽くしています。ThisWay社は企業がテクノロジーと人的能力の相乗効果を活用できるようにすることで、効率を高め、価値ある洞察を明らかにし、有意義な成果をもたらす変革的なソリューションを提供しています。
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