Business Challenge story

営業力強化に必要だった情報共有の徹底。分散していたDBを1つのシステムへ

営業支援の新しい仕組みを導入して、営業力をこれまで以上に強化すること。これは厳しいビジネス環境の中で生き残っていく上で、避けて通れない課題だといえます。しかしIT投資の制約によって、新規システム導入に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

このジレンマを解決するための手法として注目したいのが、OSSの活用です。中堅企業の中にはすでにIBM iを導入しているところが少なくありません。このハードウェア資産をそのまま活用し、OSSとして提供されている営業支援システムを動かせば、最小限の投資で新規システムを構築できる可能性があります。

これを実際に行い、着実に成果を上げつつあるのが株式会社テスクです。

同社は小売業・卸売業向けのITソリューション提供を主力ビジネスとするシステム・インテグレーター。20年以上にわたって400社以上の顧客企業にソリューションを提供し続けており、この分野ではトップクラスの実績を持っています。IBM iをベースにしたシステムも数多く手掛けており、同社自身もIBM iを基幹業務やシステム開発等で活用。このIBM iの上でOSSの営業支援システムである「SugarCRM」を動かし、営業活動の改革を推進しているのです。

「SugarCRMを導入する前は、顧客情報やコンタクト履歴を複数のDBで管理しており、営業日報も他システムに入力していました」と振り返るのは、株式会社テスク 取締役 副社長の梅田 源氏。当時は3つの営業部があり、それぞれ顧客情報DBとコンタクトDBを持っていたため、これだけでも合計6つのDBが存在していたといいます。「このように情報が分散していたため、誰がどのお客様にどのようなアプローチを行っているのか、見えにくい状態になっていました。このままでは営業力を強化することは困難です。営業関連の情報を集約し、営業部門がより戦略的に動ける仕組みが求められていました」

テスクはこの課題に対応するため、2010年4月に新たな営業支援システムの導入検討を開始。5月末にSugarCRMをベースにした株式会社イグアスの「PHP営業支援パック」の採用を決定します。その後わずか1カ月余りでIBM iへの導入とデータ移行を完了。2010年7月12日から本番稼働を開始しています。

Transformation

初期投資リスクを最小化するため、IBM iとOSSの組み合わせを選択

今回のシステム構築で最も重視されたのが、できる限り導入コストを抑えることでした。「営業支援システムは効果が得られるまでに時間がかかることが多く、最初から大きな投資を行うのはリスクがあります」というのは、システム構築を担当した株式会社テスク 製品企画・技術支援部 主任システムズエンジニアの丹下 正憲氏。初めのうちは最小限の投資でシステムを導入し、必要に応じてアップグレードするのが、無理のない導入方法だと説明します。「そのため今回は、すでに社内で使用していたIBM iを活用し、その上でOSSを動かすことにしました。実はクラウド・サービスの利用も検討したのですが、長期的に利用することを前提にした場合には、社内でシステムを構築した方がTCOが優れている、との結論が出ました」

構築されたシステムは図に示す通りです。ハードウェアは開発業務で使用しているIBM Power 520をそのまま使用。専用環境を作る必要なく、普段使っているIBM i 上に他システムと同時にSugarCRMの稼働に必要なMySQL、Apache、PHPを動かしています。

「IBM iの上でオープンソースを動かすのは今回が初めてですが、予想以上にスムーズでした」と丹下氏。SugarCRMの導入作業はわずか1日で完了したといいます。その後、既存の顧客情報DBとコンタクトDBの名寄せ作業等を1カ月かけて実施。クレンジングされたDBの構造に合わせてSugarCRMのDBを3日程度でカスタマイズし、データを移行しています。

さらに、以前は他システムに入力していた営業日報もSugarCRMへと移行し、パッケージ商品の出荷履歴DBも新たに追加。7月1日にはテスト稼働を開始しています。新規システムの導入案件としては、極めてスピーディーな展開だといえるでしょう。

テスト稼働期間はシステムそのものの稼働テストだけではなく、ユーザーが新しい環境に慣れるための期間としても位置付けられていましたが、ユーザーがこの環境になじむまでそれほど時間はかかりませんでした。特別なユーザー教育を行うことなく、1週間程度で使いこなせるようになったといいます。

Benefits

見える化が高める社員のモチベーション。営業スタイルも仮説・提案型へと変化

現在のテスクの営業組織は2部門に集約されており、約20人の営業担当者と部門長がこのシステムを使用しています。顧客情報、コンタクト履歴、パッケージ出荷履歴、営業日報が統合され、すべてのユーザーが同じ情報を共有できるようになっています。

「お客様の名前をクリックすれば、そのお客様がどのようなお客様なのか、これまでにどのようなパッケージを導入されているのか、誰がいつどのような営業活動を行ったのか、すべて“横ぐしを通した状態”で把握できます」と梅田氏。これによってお客様訪問前の情報収集も、短時間で行えるようになったといいます。しかし導入効果はこれだけにとどまりません。情報入力に対する営業担当者のモチベーションも高まっています。テスクでは以前から営業日報の入力が義務付けられており、それが社内文化としても定着していました。しかしSugarCRMを導入してからは、営業日報に入力される情報量が以前の1.5倍になっているというのです。

これは「自分の営業日報が見られている」という意識が高まった結果だと、梅田氏は説明します。新しいシステムでは他の営業部の日報にもアクセスでき、日報にコメントを付けたり、個々の日報へのアクセス数を見ることもできます。そのため日報入力の意義を、営業担当者が実感しやすくなっているのです。「最近では『日報にコメントが付かないと寂しい』という営業担当者もいます。もはや日報は単なる“報告書”ではなく、コミュニケーション・ツールとしての役割も果たすようになっています」

提案書などのドキュメント共有も、これまで以上に活発化しています。ドキュメント共有は以前からLotus Notes/Domino上で行われており、これは現在も変わっていませんが、ドキュメント蓄積のペースは2~3倍になっています。これも営業活動の“見える化”がもたらした成果の1つだといえるでしょう。何らかの提案をしたことを営業日報に記載し、それが多くのユーザーに閲覧されれば、当然ながら「提案書の内容を見てみたい」という要求が出てきます。このような要求に対応していった結果、ドキュメント共有が加速していったのです。

営業スタイルも急速な勢いで変わりつつあります。以前は「何か困ったことはありませんか」という“御用聞き”型の顧客訪問が多かったのですが、最近では事前に情報を集め、仮説を立てた上で提案を行うケースが増えています。その一例として挙げられたのが、既存顧客に対するクロス・セリング型の提案です。テスクでは2010年9月~10月にかけて「テスクのパッケージ製品を導入しているがオプション・パッケージは未導入」という顧客を抽出し、オプション・パッケージの提案を行っています。その結果、複数の受注を掘り起こすことに成功したといいます。

新規顧客開拓のケースでも、過去のアプローチに対する反応を蓄積してくことで、隠れたニーズを発見しやすくなっています。「営業トークの質もこれまで以上に高まりました。定量化は難しいのですが、十分な投資効果が得られていると感じています」

将来の展望

今後はこのシステムを自信をもって顧客企業にも提案。短期間・低リスクで導入できる魅力的な選択肢に

今後はSEの保守情報もSugarCRMに取り込んでいく計画です。またSugarCRMに蓄積された情報をIBM i上のIBM DB2に抽出し、統計レポートを自動作成することも検討されています。これにより営業活動の全体像を、具体的な数値として把握しやすくなると期待されています。

OSSによる営業支援システム構築を、ソリューションの1つとして顧客に提供することも視野に入っています。「営業支援のパッケージ製品を新規導入すると、製品によっては数千万円程度の投資が必要になりますが、IBM iの上でOSSを動かせば数十分の1の投資で導入が可能です」と梅田氏。テスクの顧客にはIBM iのユーザーが多く、既存のIBM iにSugarCRMを導入できるケースは多いはずだといいます。「すでに一部のお客様への提案を開始しているのですが、短期間・低リスクで導入できる点が高く評価されているようです」

その一方で「今回は初期投資抑制のために既存のIBM iを使用しましたが、IAサーバーに比べて信頼性が高く、運用の手間がかからない点も、IBM i活用の大きなメリットだといえます」というのは丹下氏です。営業支援システムのような情報系システムも、使い続けていけば業務に不可欠な“止められないシステム”になっていきます。このような状況まで考えれば、プラットフォームとしてIBM iを選択することの意義は非常に大きくなると指摘します。

OSSを導入するのであればIAサーバーでなければならないという“常識”は、必ずしも正しくありません。テスクの事例はOSSを盤石のプラットフォーム上で稼働させることの価値を明確な形で示しています。技術支援が受けられる環境も整っており、短期導入できることも実証されています。運用まで含めたトータルコストを最適化したいのであれば、IBM iとOSSの組み合わせは大きな魅力を持つ選択肢だといえるでしょう。

 

お客様の声

「営業支援のパッケージ製品を新規導入すると、かなりの投資と開発期間がかかります。しかしIBM iの上でオープンソースを動かせば、数十分の1の投資、かつ短期間で実現出来ます」

株式会社テスク 取締役 副社長 梅田 源 氏

「IBM iの上でオープンソースを動かすのは今回が初めてですが、予想以上にスムーズでした。SugarCRMの導入作業はわずか1日で完了しました」

株式会社テスク 製品企画・技術支援部 主任システムズエンジニア 丹下 正憲 氏

 

お客様情報

1974年に経営コンサルティング・受託計算業務を目的に設立。1983年にチェーンストア基幹業務システムの開発・販売を開始し、それ以来一貫して流通業に特化したITソリューションを提供し続けています。流通業向けMD基幹システムの出荷実績は業界トップクラス。経営課題に直結する最適な提案を行うことで、顧客企業の経営課題解決に貢献し続けています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM i

ソリューション

  • SugarCRM

Solution Category

  • Systems Hardware