Business Challenge story

24時間365日無停止が大前提。高度な信頼性と性能が要求される競馬情報サービス

競馬とは「知的ゲーム」であり、競馬の醍醐味は、過去のレース結果、最新オッズ、調教タイム、血統、ジョッキーなどの情報を参考にしながら、人それぞれの“思考”を楽しめることにあります。

JRAシステムサービスは、こうした推理に役立つさまざまな情報を有料会員に向けて提供する、「JRA-VAN」と総称する競馬情報サービスを運営しています。日本中央競馬会(JRA)が取りまとめた公式データを元にしていることから、中央競馬におけるデータ配信サービスの事実上の標準となっており、一般の競馬ファンはもちろん、競馬関係者やマスコミなどからも高い支持を得ています。

同社 VAN事業部 サービス企画課の課長を務める菅﨑 成利氏は、「すべての情報サービスを、自社内のメインシステムで運用しています」と話します。

そこで求められるのが、極めて高度な信頼性と性能です。同社 VAN事業部サービス企画課 開発係の係長を務める中野 雅啓氏は、「月次メンテナンスを除き、どのサービスも24時間365日無停止で提供することが大前提となります。また、年々増加する会員数とデータ量に対してレスポンス低下を起こしてはならず、常に安定した性能を担保する必要があり、IBM Db2を中核とする基盤が、長年にわたりこのJRA-VAN事業を支えてくれています」と話します。

しかし、そうした中にも徐々に課題が顕在化してきました。新たなサービスを次々に展開していく中でシステム基盤が大規模化し、100台近い物理サーバーが乱立する状況となって、運用や保守などのライフサイクルコストの増大を招く要因となっていました。また、将来の負荷変化に対応する拡張性や性能、可用性を担保することも困難になってしまいます。

Transformation

仮想化を軸にシステム基盤を刷新し、ライフサイクルコストを削減

この課題解決を目指し、JRAシステムサービスは2012年10月頃より今後のシステム基盤のあるべき姿について調査研究を進めてきました。そして踏み出したのが、サーバーの仮想化統合を軸としたシステム基盤の全面的な再構築です。もっとも、過去の経験をすべて捨て去るわけではありません。JRAシステムサービスが強い“こだわり”を持って継続利用を選んだのがIBM Db2です。SIパートナーであるNTTデータからの提案を受け、新システム基盤でも引き続きメインDBサーバーのエンジンに採用することを決定しました。

プロジェクト・マネージメントを務めたNTTデータ 第三法人事業本部 メディア・エンターテインメント事業部 eライフ統括部 eライフ開発担当の課長を務める伴茂樹氏は、その狙いを「現行サービスの機能品質やサービス・レベルを維持しつつ、ライフサイクルコストを低減したいというJRAシステムサービス様の要求に応えていく上で重視したのが、IBM Db2の実績です。データベースは性能面においても信頼性においても肝となるコンポーネントであるだけに、“安心を買う”という意味からもIBM Db2を選定することがベストであると提案させていただきました」と話します。

さらに、今回のシステム基盤の再構築を機に行われるIBM Db2の最新バージョンへのアップグレードで得られるメリットを説くのが、システムの基本設計を担当しているNTTデータ 第三法人事業本部 メディア・エンターテインメント事業部eライフ統括部 eライフ開発担当の課長を務める柳澤 寛朗氏です。

「最新IBM Db2の最も優れているポイントは、システム自身が自動的にチューニングを行い、稼働を最適化していくことです。設計や構築作業を簡素化するのはもちろん、運用フェーズに入ってからもパラメーターの設定変更や構成変更などに手間をかけることはほとんどなくなり、インフラ管理者の作業負荷を軽減できます。また、従来のアクティブ/スタンバイ型のクラスター構成だけでなく並列分散型の構成も組むことができ、将来のデータ量やトランザクション件数の増加に対して、スケールアウトによる対策をオプションとして用意しておくことができます」

また、JRAシステムサービスは、今回のシステム基盤刷新におけるもう1つのコア・コンポーネントとしてIBM XIV Storage Systemを採用しました。IBM Db2で運用するデータ・テーブルや各仮想サーバーのVMイメージ、バックアップ・データなどを保存する共有ストレージ基盤となるものです。「多数のサーバーを集約する仮想化環境でも、IBM XIV Storage Systemはフラッシュ・ドライブを利用したキャッシュ機能によって高速なI/O性能やアクセス性能を発揮し、高いパフォーマンスを実現します」と柳澤氏は話します。

続けて伴氏も、「IBM Db2とIBM XIV Storage Systemの相性は非常に良好です。万が一トラブルが発生した場合でも、IBMからワンストップでサポートを受けられるメリットがあります」と強調します。

Benefits

遠隔サイト間ミラーリング機能を活用し、ディザスター・リカバリーを視野に入れたデータ保護を強化

プロジェクトは順調に進捗しており、2014年8月より各ハードウェア・コンポーネントを順次導入。同年12月にすべての調整作業を完了しました。2015年7月末のサービス開始に向けて、いよいよシステム構築やテストの作業が本格化していきます。

JRA-VANをはじめとする各種のITサービスを「物理サーバーグループ」「高SLAグループ」「中SLAグループ」の3つのカテゴリーに分け、それぞれの重要度や機能特性に応じてバランスのとれた運用を実現する計画です。加えて本番サービスと同じ構成による開発・検証・ステージング環境も構築し、効率的なシステム構築やテストを支えます。

「100台近い物理サーバーが乱立する中では、インフラの運用管理担当チームは常にメンテナンス作業に追われていましたが、仮想化によって物理サーバー台数が削減され、DBサーバーを含めたシステム基盤全体を“見える化”してコントロールできるようになることで、従来よりもはるかに少ない工数で、より安定的かつ高品質の運用を実現することができます。ひいてはVAN事業部全体に対しても、業務効率の大幅な改善に貢献できると考えています」と菅﨑氏は確信しています。

一方で中野氏は、IBM XIV Storage Systemが標準で備えている遠隔サイト間ミラーリング(リモート・リプリケーション)機能に注目し、「現状ではシステムのデータ保護は、テープへのバックアップを行った後に遠隔地に輸送して保管するという体制で行われています。これに代わるディザスター・リカバリー(災害復旧)も視野に入れたデータ保護の強化策として、IBM XIV Storage Systemを活用した遠隔地へのリアルタイム・データ転送を検討しています」と話します。当然、この施策もインフラ管理者の負荷軽減やライフサイクルコストの低減につながっていきます。

 

将来の展望

競馬ファンをつなぐカスタマー・タッチポイントとしての発展を目指す

2015年7月末に全面稼働を開始する新システム基盤のもと、JRAシステムサービスは競馬ファンからもっと喜ばれるサービスにJRA-VANを発展させるべく、さらなる機能強化やサービスの拡充を図っていく考えです。

「競馬に関する単なるデータ提供にとどまらない、さまざまな付加価値を実現していくことが、私たちに課せられた本来のミッションなのです」と話す菅﨑氏は、「これまでもPCから携帯電話、スマートフォンへとJRA-VANのサービスを広げてきましたが、今後も引き続き、特定のデバイスやOS、ブラウザー・ソフトウェアに依存しないマルチなアプリケーション開発を推進していきます。そのプラットフォーム上でレース展開の推理から勝馬投票券のスムーズな購入支援、会員同士のコミュニケーションなど、多様なサービスを提供していきます。これまでなかった競馬の楽しみ方を提案しながら、カスタマー・タッチポイントとしての競馬の発展の一助を担いたいと思っています」と話します。

そこに浮上してくるのが、ビッグデータ活用を見据えた大量かつ多様なデータの分析や、1人ひとりの会員にパーソナライズされたコンテンツ提供といったテーマです。「IBMと連携をとりながら最新アナリティクスのソリューションを提案するなど、今後もJRAシステムサービス様のビジネス発展のために共に歩んでいきます」と伴氏や柳澤氏も、そうしたチャンレンジを支えていく構えです。

将来に向けたさまざまな構想を膨らませつつ、新たなステージに突入したJRAシステムサービスの取り組みが始まろうとしています。

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

ソフトウェア

IBM Db2

ハードウェア

IBM XIV Storage System

Solution Category

  • Other