Business Challenge

次世代の成績証明プラットフォームの開発

ソニー・グローバルエデュケーションは、学習する人々の好奇心を刺激する、新たな教育体験の提供を目指す企業です。 日本では、教育や学習に関する事実を記録するための、包括的かつオープンな信頼できるシステムを構築する必要があると認識されていました。実証実験を含めた今回の取り組みのなかで、同様のシステムの構築が日本だけでなく、世界の様々な国で求められているということも把握できました。 例えば、高等教育機関への入学希望者、あるいは専門技術を要する職業への求職者の教育・学習のデータを例に考えてみます。これらの教育履歴データは、組織単位でそれぞれが別々に保存されており、 その孤立したシステムのデータを検証するためにはそれぞれ異なるプロセスが必要です。ソニー・グローバルエデュケーションの構想は、 これらバラバラに管理されたシステム内の各教育履歴データを一つのシステムに取り込み、正確に記録したうえで、その情報へのアクセスを制御・管理する、というものです。これにより、企業や教育機関は、候補者がもつバックグラウンドの全容を把握することができるため、雇用や学習プログラムの要件を最も満たす候補者を選び出すことができます。

協力団体のコンソーシアムとの連携

ソニー・グローバルエデュケーションが成績証明プラットフォームのテクノロジーを選定するにあたり、公共機関と民間団体のコンソーシアムが一つのシステムにより連携し、教育データの格納や検索ができるようにするために、必要な機能がいくつかありました。 最も重要なのは、情報の一部を非公開状態に維持できる機能とデータ・ アクセス権を管理できる機能でした。 これらの機能により、次の3つの分野への適用が可能になります。

  1. 教育機関が教育データをこのシステムに提供できる。
  2. 各人の教育・学習データをすべて一つにまとめて、検証可能にする。
  3. データへのアクセス権限を持つ団体が、教育・学習の傾向を特定するためにデータを分析し、さまざまな教育プログラムの有効性を評価できるようにする。

Transformation

段階的なアプローチによる 本番運用のための準備

ソニー・グローバルエデュケーションは、成績証明プラットフォームの構想を実行に移すために、東京のIBM Cloud Garageと協力することを決めました。 ソニー・グローバルエデュケーションは、許可型ブロックチェーン・ テクノロジーに関する十分な知識と経験、そのテクノロジーに対する将来への深いコミットメント、またブロックチェーンを IBM Cloud上のサービスとして提供できるという理由で、IBM Cloud Garageを選びました。

ソニー・グローバルエデュケーションとIBM Cloud Garageは、日本国内でも、そして海外でも展開できる成績証明プラットフォームの開発を目指し、段階的な取り組みを行ってきました。 第1段階として、協力団体のコンソーシアムを支援できる許可型ブロックチェーンの調査を行いました。 データ・アクセス権の管理、データ・パーティショニング、オープン・ ソース・プラットフォームのために、スマート・コントラクトを利用する必要があることが浮き彫りになりました。データ・パーティショ ニングは一部の情報をある協力団体には表示しないようにし、別の団体には公開するために必要となります。また、ベンダーによる囲い込みを回避するためにオープン・ソース・プラットフォームの利用が必要であることも明らかになりました。

第1段階の終了時には、ブロックチェーン・フレームワークであるHyperledger Fabricの採用が決定しました。このフレームワークは、The Linux FoundationがホストするHyperledgerプロジェクトの一つです。

ブロックチェーン技術評価チームがHyperledger Fabricを採用したのは、それが汎用ビジネス・プラットフォームであり、かつオー プン・ソース・プロジェクトであること、そしてチェーンコードを 介したスマート・コントラクトとチャネルを介したデータ・パーティ ショニングをサポートできるという点からでした。 他のプラットフォームも検討しましたが、データ・アクセス制御などのセキュリティー面の懸念や、本番稼働に耐えられるかという懸念があり、見直しを行った結果、選択肢から外されました。

Hyperledger Fabricが採用されたもう一つの理由は、他のブロックチェーン・ソリューションと比較して、データ・モデルとビジネス・ ロジックの柔軟性が高いという点でした。Hyperledger Fabric v1.0がリリースされると、評価チームはすべての要件を満たすことができるという確信を深めました。さらに、Hyperledger Fabricはソニー・グローバルエデュケーションの代表取締役社長である礒津政明氏をはじめとする役員からの強い支持を得ました。

「さまざまなブロックチェーンを検討してきましたが、Hyperledger Fabricを精査したところ、協力団体のコンソーシアムとの連携や 非常に安定したブロックチェーンの提供を目指していた私たちの 計画をサポートしてくれるものであることがわかりました」(ソニー・ グローバルエデュケーションの代表取締役社長 礒津 政明氏)

第2段階で、ソニー・グローバルエデュケーションとIBM Cloud Garageは、Hyperledger Fabricを使用した成績証明プラットフォームのプロトタイプを短期間のうちにIBM Cloud上に構築し ました。要件を柔軟に組み込み、さまざまなユース・ケースを実装するために、IBM Cloud Garage Methodが採用されました。 今回開発したプロトタイプを通じて、評価チームは、次世代の成績証明プラットフォームを構築するために必要な機能すべてを、このテクノロジーで実現できると判断できました。

現在は第3段階にあり、世界算数世界大会の参加者25万人分のデータから生成された教育データを管理するテストを成績証明プ ラットフォームで実施します。ソニー・グローバルエデュケーションが主催するこの大会は、IBMによるサポートの下、オンラインで開催されています。世界算数は、今年で4年目を迎え、世界規模で数多くの地域から参加できる世界初の算数コンテストです。 成績証明書、世界ランキング、テスト分析などのデータが生成され、 参加者は自分の思考プロセスに対する独自の分析と、能力を伸ばす方法に関するアドバイスを得ることができます。生成される成績証明書の信頼性は、成績証明プラットフォームでチェックされます。

Benefits

総務省とのイノベーションの 実証事業に採択

ソニー・グローバルエデュケーションは、今回実施したプロトタイプ・ 実証実験によってブロックチェーン・ソリューションを提案、総務省スマートスクール・プラットフォーム実証事業『次世代学校ICT 環境』に採択されました。 このプロジェクトが目指すのは、成績情報の信憑性を保護し、信頼できるネットワーク内でそれらを安全に共有できるようにすることです。 このプロジェクトの目指す主な機能は次のとおりです。

● 信頼性の高いデータ・ストレージ

● 学習履歴の正確な記録 (改ざん防止)

● 複数の組織とのデータ共有

● 柔軟なアクセス制御

このプロジェクトでは、教育・学習データへの統合アクセスの価値を実証する点で日本が主導的な役割を果たしており、諸外国が日本のリードに続くことができます。 「これは日本で始まった試みですが、他の国でも活用可能です。 私たちは向こう300年を見据え、包括的で信頼できるデータを基に教育と学習を改善できるようなシステムを構築しています」と、礒津氏は述べています。

 

株式会社ソニー・グローバルエデュケーションについて

ソニー・グローバルエデュケーションは、ソニー株式会社とソニーコンピュータサイエンス研究所の子会社です。2015 年に設立された同社のミッションは、「来るべき社会の教育インフラを創造する」。世界中の学習に対する情熱を刺激し、その情熱に動かされて行動するための機会を与える、従来とは違う統一的なサービス、つながりを持つ社会を生み出す新しい教育インフラストラクチャーの提供を実現するために、ソニー・ グローバルエデュケーションは引き続き、学習者の好奇心を刺激する新しい教育経験を展開し、教育に対する情熱を共にする他者とのパー トナーシップを積極的に追い求めていきます。

 

Hyperledgerについて

Hyperledgerは、業界共通のブロックチェーン・テクノロジーを推進するためにつくられたオープン・ソースのコラボレーション・プロジェクトです。 このグローバル・コラボレーションには、金融、銀行、モノのインターネット、サプライ・チェーン、製造、技術など、各種業界の大手企業が参加しています。HyperledgerはThe Linux Foundationによってホストされています。 詳細については、https://www.hyperledger.org/ (外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

IBM Cloud Garageについて

IBM Cloud Garageは、Design Thinking、アジャイル開発、 およびリーン・スタートアップのベスト・プラクティスを結合する起業のDNAを持ち、アプリケーション開発とクラウド・ イノベーションを加速するグローバル組織です。 東京をはじめ、シンガポール、メルボルン、ニース、ロンドン、 ニューヨーク、トロント、オースティン、サンフランシスコなど、 世界各地を拠点としています。 詳細については、https://www.ibm.com/cloud/garageを ご覧ください。

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