Business Challenge Story

将来的な消費電力、スペースの限界をどう克服するか

JALでは現在、トータルで約2,000台のサーバーを所有しています。現在もサービスの拡充に伴い、サーバーは年間100~200台のペースで増え続けており、このままの状態が続けば、近い将来、同社の電算センターの消費電力やスペースが限界に達することが予測されました。こうした事態に対応しながら、同社の企業理念の一つである「地球環境への取り組みを通じて企業市民としての責務を果たす」を具体的に実践するために打ち出した施策、それが仮想化技術を活用したサーバー統合です。

Transformation

システムに応じて三つの統合パターンを創出

サーバー統合が本格的に始まったのは2006年。既存サービスへの影響が少ない新規サーバーから着手し、既存サーバーに関してはシステム更改のタイミングで計画的に統合化することにしました。また、三つの統合パターンを用意し、システムの特性に応じた統合を行うという基本方針を立てました。

統合パターン1は共用サーバー。これは一つのサーバー、OSを複数のアプリケーションで共有しようというもので、いわば『共同生活型』です。それほど可用性を問われないシステムは、このパターンに集約しています。

統合パターン2は仮想化サーバー。これはMicrosoft Windows、AIXの二つの環境があります。VMware、Logical Partition (以下、LPAR)、Virtual I/O Server(以下、VIOS)などのハードウェア資源を仮想する技術により、一つの物理サーバー上で複数の仮想サーバーを稼働させるもので、いわば『マンション型』です。それぞれの部屋(サーバー環境)は独立していますが、ネットワークなど一部の環境は共同利用していこうという考え方です。

統合パターン3がブレード型サーバー。これはWindows系サーバーに使い、消費電力やスペースなどファシリティー面の効果を狙います。

システムをパターン分けする基準の一つになっているのが、統合させるシステムの可用性です。可用性が低いシステムはコストのかからないパターン1にし、高い可用性が求められるシステムは他のシステムからの影響を受けないよう、コストがかかっても仮想環境や物理環境を分けるパターン2やパターン3にする、というようにコストと可用性のバランスを考えてパターン分けを行っています。また、システムダウンが許されないミッションクリティカルなシステムに関しては、あえて統合をしないというポリシーを立てました。統合できるものと、できないものを見極めることも統合を成功させる重要なポイントである、と同社は考えています。

統合の重要な要件であるサーバー選定は数社の見積もりを取って行いました。Windows系システムは、さまざまな観点から検討し、最終的にIBM BladeCenterとIBM System x3650を、ストレージ製品はIBM System Storage Nシリーズを採用しました。その理由をJAL ITセンター マネジャー 藤嶋博氏は次のように話しています。

「Windows系サーバーは、統合化の製品や技術に関して、ベンダー間の差はほとんどないものと考えています。トータルな運用やサポートも含めて総合的に検討した結果、IBMに決めました」

また、UNIX系システムでは、AIXが多数採用されていたことから、IBM Power Systemsの採用が早い段階で決まりました。「IBMは仮想化技術の実績が豊富なため、LPARについても、安心して採用できると判断しました。ネットワークとStorage Area Network(SAN)を仮想化する新しい機能であるVIOSの導入に関しては、検証しながら使うという冒険的なところがありましたが、IBMの協力により、スムーズに進めることができました。投資対効果の検証において、このVIOSによるコスト削減効果が非常に大きいことが判明したため、結果的に最新技術のVIOS採用判断が正しかったと評価しています」(藤嶋氏)。

JALにITサービスを提供する株式会社 JALインフォテック(以下、JALインフォテック)エアライン事業本部 システム基盤事業部 分散基盤構築グループ 課長 荒川透氏は「VIOSやWindows統合のVMwareなどの新しい機能を盛り込んでの構築作業でしたが、JALインフォテックにIBMのSEが常駐しているなど、常にIBMと共同で行えるので大変心強く思っています」と感想を述べています。

Benefits

トータルのコスト削減率は最大50%、構築工数も大幅減

統合化を推進して2009年で3年目を迎えます。現段階で統合化したすべてのシステムと、統合しない場合の想定とを比較した場合、トータルのコスト削減率は最大約50%になるとJALでは算出しています。

その内訳はハードウェア費用、ソフトウェア費用、構築費用と多岐にわたります。消費電力は共用サーバーで40~60%、仮想サーバーで70~80%、ブレード・サーバーで10~30%の削減率を達成しています。パターン1の共用サーバーでは、統合化環境の基本部分が既に構築済みであるため、システム基盤の構築・検証の工数が減少しました。また、新規のシステム環境構築の工期は最大で3カ月も短縮しており、納期の短縮に寄与しています。今回の統合で、同社は特に費用対効果にこだわっています。見込みの効果だけではなく、システムを運営して実際にどれだけ効果が出たのかを定期的に確認し、効果の検証を実施しています。

 

将来の展望

既存サーバーの統合を進め、次期統合のスムーズ化も検討

今後も、増え続けるサーバーをいかに効果的に統合するかが、JALの次の課題となっています。「統合化を進めていく上で、統合したサーバーが老朽化していった際に、どれだけスムーズに次の統合環境に移行できるかのシステムの柔軟性についても、検討を開始しています」(藤嶋氏)。また、さらなるコスト削減を進めていく上で、2,000台を数える既存サーバーの統合をどう行うかも課題となっています。「既存サーバーの統合では、アプリケーション移行の検証費用がかかるという問題がありますが、移行コストを下げるために、ネットワークやストレージの仮想化などの新技術採用を検討しており、さらなるコスト削減を推進しています」と藤嶋氏は語っています。

 

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