Business Challenge story

徹底した無駄の排除をコンセプトに一からシステムを構築

グリーンフロント 堺では情報インフラの共有化をはじめ、業務やシステムのシェアリングをすることとしました。「このシステムのコンセプトは、『徹底して無駄を排除し、スピードアップを図り、経営効率を最大化すること』でした。それを実現するために、従来のシステム構築の発想を脱ぎ捨てて一からシステムを構築し直すことを決定したのが、2007年11月のことです」と話すのは、シャープ ITシステム推進センター 第三IT推進部 部長 江頭 圭介氏です。

無駄をなくしスピードアップするためには、自動化が鍵となります。従来の生産現場でも工程を管理するComputer Integrated Manufacturing(以下、CIM:コンピューター統合生産)という仕組みは持っていましたが、そのCIMから発生する生産データは手作業による伝票処理でERPシステムへとデータを流していました。そこで、これを自動化することでスピードと精度の向上ができると考えたのです。「従来の生産システムでは、その日に発生したデータを夜間にバッチ処理をして翌日に結果が見られるという日次報告でした。しかしグリーンフロント 堺で目指すコンセプトを実現するためには、すべてのデータをリアルタイムで見られることが求められます。そのためには、一連の流れを自動化しなければいけません。そこで、CIMで発生したデータをERPと連携して“見える化”できるようにすることが、最初の目標となりました」と、エスアイソリューションズ株式会社 第一サービス事業部 取締役 事業部長 谷本 太氏は話します。

Transformation

SAP ERP 6.0とSAP NetWeaver PIを中核にSOAによる開発に取り組む

グリーンフロント 堺のシステムは率先して先進的な技術を導入。SAP ERPは、最新バージョンであるSAP ERP 6.0が採用されました。そして、ERPの調達業務においては、注文書を廃止して棟間搬送を支援する「電子かんばんシステム」を導入。関連企業へ納入依頼を自動生成できるようにしました。

また、CIMとERPの間には、生産現場の人、業務、モノ、設備などの生産資源を最適化する工程管理システムEnterprise Manufacturing Execution System(以下、Enterprise MES)が存在しますが、それらをつなげるために導入されたのは、システム間連携機能を持つSAP NetWeaver PIです。

「ユーザーの判断を必要としないビジネス・プロセスの自動化を実現するSAP NetWeaver PIにより、データはCIMからEnterprise MESへ。そして、そのデータはEnterprise MESからERPへ。さらにはその上のレイヤーであるSCMへとデータの流れを自動化することができました。例えば、液晶パネルのガラスが投入されると、そのデータはCIMからSCMまで自動的に流れるのです」(谷本氏)。

ここまではタテ軸のデータ連携ですが、関連企業とグリーンフロント堺の液晶パネル工場を運営するSDP(シャープディスプレイプロダクト)株式会社、そしてシャープ本体とをつなぐヨコ軸のデータ連携も同時に実現しました。

また、先進的な試みとしてSOA開発にも着手しました。SAP ERPとSAP NetWeaver PIを中核として、IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社のSOAチームとエスアイソリューションズとの連携により、シャープとしては初めてSOAに取り組むこととなったのです。

「簡単に言ってしまえば、SOA化とは自社に存在しているシステムを部品化して並べていくだけです。ただ、SOAは他社の導入事例がほとんどなかったため、開発当初は大変苦労しました。しかし、工場拡張やビジネス・スキーム変化の影響を受けやすい業務機能(生産計画や調達計画、販売など)を部品化し再利用できるように設計することで、中長期でのシステム投資の効率向上につながるというメリットがあり、積極的に取り組んでいったのです」(谷本氏)。

Benefits

リアルタイムで見ることができる情報のスピード化を実現

グリーンフロント 堺が本番稼働してから約3カ月余り。すでに導入効果は目に見える形で表れています。

「最大の導入効果といえば、情報のスピード化です。在庫金額、売上、会計情報など、すべてがリアルタイムで見られるようになったことは、以前の日次や週次とは比較になりません。これにより、経営効率の最大化も実現できました。また、商流と物流の革新によって、従来型の生産拠点と比べると大幅に在庫削減ができたほか、伝票処理の自動化により人的ロスがなくなったことや、入力ミスがゼロになったことでデータ精度が向上したという導入効果も挙げられます」(江頭氏)。

「従来の工場では、調達計画や生産計画は工程別にバケツリレー方式で立案していたのですが、グリーンフロント 堺では一貫したシステム管理により、リードタイムを3分の1へと大幅に短縮することができました」(谷本氏)。

 

将来の展望

新システムを他の拠点へと展開さらに各拠点のシステム統合へ

先進的な最新システムの導入にチャレンジしたグリーンフロント 堺。すべてが経験のないことばかりだったため、「苦労はしましたが、それが結果的に実となりました」と話す江頭氏。今後はグリーンフロント 堺のシステムのノウハウを他の拠点へフィードバックしていきたいと考えています。「精度の高い情報をリアルタイムに『見える化』して生産計画に生かすことはできました。そこで次の段階として、経営層向けの情報提供をすることでマネージメントを支援していくシステムを構築することを考えています」(江頭氏)。

エスアイソリューションズとしても、大半が初めての新しい技術を採用して構築するシステムでした。「今後は、このシステムを商材として外販していくことを考えています。また、SOAの導入経験は他社でもほとんどないと思いますので、今回経験したノウハウを生かしてSOAの導入コンサルティングをすることも考えています。SOA化するにあたっては私たちが直面した課題と同じところで悩むはずですので、その点で大きな力になれると考えています」(谷本氏)。 グリーンフロント 堺システムの成功によって、シャープはシステムインテグレーターとしても、さらなる飛躍を遂げようとしています。

 

お客様情報

1912年創業。1915年に現在の社名の由来となった金属繰り出し鉛筆「エバー・レディー・シャープペンシル」を発明。発売後は一世を風靡する。1953年には国産第1号テレビを発売し総合家電メーカーへ。1973年に液晶を初めて実用化した後は液晶事業を拡大し、2001年には液晶カラーテレビ「AQUOS」を発売。創業以来、常に「オンリーワンの経営」「オンリーワンの技術」を追求してきた同社では、2012年の創業100周年に向け、さらなる未来への挑戦を目指しています。

 

パートナー情報

シャープと日本IBMが共同出資して2001年3月に設立。シャープの情報システム部門で培われたERP、SCMなどの業務ナレッジと、日本IBMの先進技術力、マーケティング力が融合し、高度なITソリューションを実現。一般企業ユーザーの業務革新(BPR)を支援するコンサルティング集団として高い評価を得ています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

IBM System p 595

ソフトウェア

SAP ERP(外部サイトへリンク)

SAP NetWeaver Process Integration(外部サイトへリンク)

ソリューション

IBM Global Integrated View

Solution Category

  • Global Business Services
  • Systems Hardware