Business Challenge story

苦情の30%削減を実現する新たな基盤づくりを開始

「お客様から選ばれるために『ちょうどいい』をあなたに」をスローガンに掲げるフコク生命は、一人ひとりの役職員が「もし自分がお客様だったら…」と常に考えながら、心から安心できるサービスや経験を創り出して提供していく「お客様基点」を、すべてのビジネスの原点としている。

同社では、すべてのお客様から寄せられたご意見、ご要望、ご不満などの「お客様の声」を蓄積するためのデータベースを2006年5月に構築。その後も機能拡充に取り組むとともに、お客様からのお問合わせに迅速に対応できるように、CRM(顧客管理システム)や基幹システムなど、関連するさまざまなシステムとの連携を強化してきた。

なかでも大きな課題となっていたのが、申出・苦情対応である。お客様満足度向上のためには、正確かつスピーディーな対応が必要である。また、苦情の増加は、会社の社会的信用の低下につながるため、その削減に向けた継続的な取り組みが欠かせない。

そこでフコク生命では、2010年に策定した中期経営計画において、「徹底した差別化でお客様から最も評価される会社となる」という“ありたい姿(ビジョン)”を掲げた。その後2013年に策定した中期経営計画において「制度・事務に起因する苦情件数の30%縮減」という具体的な数値目標を掲げて対策を開始した。

「苦情の未然防止を図り、さらにはお客様満足度の向上や新規契約の獲得に結びつけていきたいと考えました」と同社お客様センター副長の柴田 浩二氏は話す。

Transformation

お客様の声をテキストマイニングし苦情の判定と分類を実施

お客様から寄せられた声を、どうすればより正確かつ効率的に読み解くことができるか。統計解析ツールやBusiness Intelligence (BI) など、さまざまな分析ソリューションを検討していたフコク生命の目にとまったのが、IBMから提案されたテキストマイニング・ツールのICAである。

「ICAに興味を持ったそもそものきっかけは、自動車の不具合に関するお客様の苦情分析のデモでした。自動車のオーナーから寄せられた情報をもとに、事故や不具合につながる単語を自動的に分類し、車種ごとに集計するというもので、このテキストマイニングの仕組みは生命保険の苦情対応にも応用できると直感しました」と、同社事務企画部主任調査役の齋藤 賢氏は語る。

こうして同社は2011年10月、IBMの協力を受けて検証システム構築を決定。検証システムでは、数年にわたってデータベースに蓄積してきたお客様の声(テキスト情報)をICAサーバーに取り込み、「苦情判定」および「苦情分類」を行った。

「苦情判定」とは、全国から寄せられたお客様の声の中から、苦情を取り出す作業を指す。一般に保険会社では、お客様からの問合わせを「申出」と呼んでいるが、その大半は給付金の申請や証明書の発行依頼などで、苦情は10%以下にすぎない。

従来、担当者が手作業で行っていた苦情判別処理をICAによって自動化することで、大幅な省力化を実現することができた。また、苦情の“漏れ”の防止が可能になると期待された。

一方、「苦情分類」とは、苦情判定によって取り出した苦情を、業界標準に従って契約関係やアフター・サービス関係などの苦情分類37項目に分類する仕組みである。この処理をICAを用いて自動化することで、担当者の業務負荷を軽減するとともに、属人化していた判断基準を全社的な運用ポリシーに基づいて標準化・平準化することで、精度を高めることができる。その後、辞書チューニングなどを経て苦情判定・苦情分類の精度が高められた検証システムの効果は2012年7月までに実証され、苦情判別自動化システムの導入が決定した。

Benefits

苦情判別業務量を90%削減

2013年9月に新システムが稼働を開始し、新システムにおいても年間約60万件にも及ぶお客様からの申出を自動で苦情と判別することができるようになった。その結果、これまで人手に頼っていた苦情判別のための業務量を90%削減(作業工数を3,000件から300件に削減)という大幅な効率化が実現された。また、検証作業のスピードがアップしたことにより、検証で苦情と判定したお申し出に対するお客様対応のスピードアップも図られた。

さらに、お客様から寄せられた苦情の内容を、「契約に関するもの」「アフター・サービスに関するもの」「事務手続きに関するもの」などの業界標準の苦情分類37項目から、更に詳細な分析を迅速に可視化することも可能となった。

この仕組みによって、「営業所Aではアフター・サービスが足りていない」「地域Bでは営業職員の頻繁な訪問によって解約率が改善した」などの、より具体的な状況を把握することができる。また、よくある契約および解約のパターンを明らかにして全員が問題意識を共有することで、「子供が生まれる家庭に商品Cを提案することで、契約率の向上につながる」、「商品Dは契約後3年以内に解約される確率が高いので、必ずフォローの電話を入れる」といった、対応策を打ち出しやすくなる。 「ICAでお客様の申出の傾向をとらえ、アフター・サービスや事務手続きの改善を検討するなど、お客様満足度の向上を目指します」と柴田氏は語る。

 

将来の展望

各部門と連携してお客様への対応を強化

フコク生命はお客様の声の分析結果を活用して、地域の特性にあったアフター・サービスを考案したり、事務手続きの改善に取り組んだりするなど、各部門と連携してお客様へのプロアクティブ(能動的)な対応を強化していく方向である。今後はテキストマイニングとBIツールを組み合わせ、お客様の声とともにデータベース上に蓄積されたさまざまな顧客情報を統合的かつ多面的に分析していくことが検討されており、同社のチャレンジは続いていく。

 

お客様の声

“テキストマイニングの仕組みは生命保険の苦情対応にも応用できると直感しました”

富国生命保険相互会社

事務企画部 主任調査役

齋藤 賢氏

 

“ICAでお客様の申出の傾向をとらえ、アフター・サービスや事務手続きの改善を検討するなど、お客様満足度の向上を目指します”

富国生命保険相互会社

お客様センター 副長

柴田 浩二氏

 

お客様情報

1923年11月に徴兵保険会社としては、わが国初の相互会社組織である「富国徴兵保険相互会社」として設立され、戦後の1945年に再スタートを切った。現在は、全国62カ所に支社、468カ所に営業所を展開している。「ご契約者の利益擁護」と「社会への貢献」という創業以来の経営理念に基づく「お客様基点」をスローガンに掲げ、顧客の目線に立った価値観を追求することで「安心」を提供できる会社を目指す。また、自主独立路線の下で徹底した経営の差別化に取り組み、企業としての質の向上を図るとともに、経営の健全性を高める努力を続けている。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

  • IBM Content Analytics with Enterprise Search (変更後の製品名:IBM Watson Content Analytics)
  • IBM System x3650 M4

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud