Business Challenge story

複雑な国内線運賃から最安値運賃の空席を探す煩雑さを解消

JALが国内で初めて「空席・運賃情報を時間帯順に表示する方式」をインターネット予約に導入したのは2002年。これが業界標準の運賃表示法として利用されてきましたが、複雑な運賃から条件に合った空席を探すには慣れが必要で、予備知識の少ないユーザーにとっては分かりにくい場合がありました。2000年の航空法改正に伴う事実上の航空運賃自由化で、割引運賃が一段と複雑になったこともあり、ユーザーの条件にあった最安値運賃の航空券を簡単に検索できる新しいシステムが望まれていました。この課題を克服しようと2009年2月に導入したのが、日付と区間など必要情報を選択すれば、瞬時に最安値運賃の空席を検索する国内初のインターネット検索システムです。

Transformation

高速処理とユーザーフレンドリーな操作性を整合

航空券の最安値検索機能は、外国の航空会社も提供していますが、従来は心臓部の検索エンジンを外部ベンダーにアウトソースし、そこに航空ルートや運賃、割引条件などを整合させたものがほとんどでした。しかし、外部ベンダーが提供するエンジンは、国内線で必要とされるルール検証を行えない、検索対象運賃が4種類程度と限られており10以上ある国内線の種別数をカバーできないといった制約があり、サービス向上につながりにくい側面がありました。このためJALでは、2年以上前から独自の検索エンジンの開発に着手し、IBMと共同で自社の運賃体系に最適なシステムを構築しました。

新システムの開発は、ユーザーの検索開始から予約完了まで徹底的にシミュレーションするところからスタートしました。従来の運賃表では、考えうる料金をすべてリストアップし、ユーザーに判断いただいていました。新しいシステムでは、多くの制約条件・適用条件の中からユーザーの条件に沿った最安値の空席のみを表示するため、そのルールの適用可否を自動的に、瞬時に判断する必要があります。そこで、従来は外部のサーバーなどに割り当てていた演算処理部分を内蔵し、システムのチューニングではマイクロ秒単位で高速化を目指すなど最先端の技術を反映させました

開発した検索エンジンは、検索結果の表示までわずか1~2秒とサーバー内処理において従来比10倍近く高速化し、大幅なパフォーマンス向上を果たしました。外国の航空会社が提供している同種の機能と比べても、通常表示される「お待ち下さい(処理中)画面」を必要としないほど高速化しています。この速度がネット予約の利便性を高め、ユーザーへのサービスを飛躍的に向上させました。

さらに、このような機能をユーザーフレンドリーな画面にまとめる作業にも力を注いでいます。サービス・インの直前まで外部コンサルタントも交えて表示画面の微調整を続けました。また、携帯電話向けページでも同様のチャレンジを重ね、操作性を大幅に高めました。その結果、大変分かりやすい明解な操作が実現でき、大きな差別化のポイントとなっています。

新システムでは、操作が難しいというユーザーの声にお答えして、2009年5月にグラフィック表示を中心にした「簡単モード」と呼ぶ操作体系を導入し、カレンダー上で搭乗日を選び、区間や往復の日時、搭乗クラスなどを指定するだけで、瞬時に最安値の空席を提案する仕組みを実現しています。その中で、往路・復路の日の組み合わせによる運賃合計をマトリックス形式で表示する「カレンダー機能」は、出発の候補日が複数ある場合など、旅行プランの比較検討にも活用できます。また、運航区間を知らないユーザーにも便利にご利用いただくために、出発地と「北海道方面」「九州方面」などおおよその方面を指定するだけで、最安値の運賃を表示する機能も備えました。さらに、最安値運賃の提案に加えて、より高いグレードの空席をお薦めするアップグレード機能のほか、逆に運賃ルール上の制限があればファーストクラスの提案を避けるなど、高度な提案機能も盛り込みました。これも国内では初めての試みです。

Benefits

プライベート利用が大幅増、女性が4割に

導入から半年が経過し、新システムはさまざまな年齢層のユーザーに広く支持されています。特に最近数カ月のアクセスの伸びは著しく、2009年6月末の利用件数は同3月末時点の10倍に達しました。ユーザーからは「他社に比べて格段にレスポンスが速い」「予約のフローがわかりやすい」「最安値運賃が簡単に分かって便利」「旅行計画に役立った」などのご意見が寄せられています。

ご利用のユーザー層を分析したところ、従来の検索システムでは利用件数全体に占める割合が2割前後にとどまっていた女性ユーザーが、新システムでは4割に倍増したことがわかりました。年齢別に見ても、これまでの30~40代中心から、20~60代の幅広い層にご利用いただいています。

ユーザー層の変化は行き先にも表れています。新システムにおいて、東京~沖縄線の予約数が東京~伊丹線を上回ったことは、ネット予約の目的がビジネス利用からプライベート旅行へと広がったことを示しています。また、携帯電話でのアクセスが急増していることも、プライベートでの利用増を裏づけています。

 

将来の展望

よりスマートな、旅のワンストップサービスへ

引き続き幅広いユーザー層を想定し、操作性を一段と洗練させていきます。並行して、観光情報と連携させ、旅行プラン全体の企画にも活用できるようにします。また、アフィリエイトサイト向けモジュールの提供や、実際に使っていただいた感想のブログでの紹介など、ウェブマーケティングにも力を入れていきます。さらに、今回構築した検索エンジンを、法人客様向けサービスサイト「JAL ONLINE」や旅行会社、コールセンターなどに流用することも構想しています。 今後もIBMのコンセプトである「New Intelligence」、「BAO」に同調しながら、"データを分析・予測してProactiveなアクションにつなげる"試みを重ね、よりスマートな旅行をご提供していきます。その延長線上には、IBMの提唱するA Smarter Planetが実現していくものと期待しています。

 

お客様情報

2011年4月1日、商号を、株式会社日本航空インターナショナルから、 日本航空株式会社に変更しました。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

ソフトウェア

  • IBM WebSphere Application Server
  • IBM WebSphere MQ

Solution Category

  • Other