Business Challenge story

クラウド基盤への三つの期待 「仮想化」「標準化」「自動化」

東芝では、スマートコミュニティを支えるクラウド基盤に対する期待を見直しました。ICTクラウドサービス推進部を統括する香川 弘一部長は、クラウド基盤には次の三つの期待があると言います。

「一つは仮想化、二つ目は標準化、三つ目が自動化です。スマートコミュニティは広域に分散するので、システムはどんどん複雑になっていきます。そうした複雑な物理環境を論理的にシンプルに管理したり、変更やピークの波を柔軟に吸収するのが仮想化技術であり、仮想化に対する期待は非常に大きいです。また、グローバルでビジネスを展開するスマートコミュニティを安定的かつ迅速に運用するには、従来のように個別に対応するのではなく、標準化・自動化は欠かせません。システムやアプリケーションの標準化・自動化にどこまで取り組めるかというのは大きな課題であり、クラウド基盤への期待は、これら三つの技術的な可能性に集約されると考えます」

東芝がクラウド基盤を構築するに当たり、最初に取り組んだのはサービス・カタログ化でした。

「クラウドを進めていく上で非常に重要なことが、サービスをカタログ化して利用者に見せるということです。カタログにはさまざまなメニューが必要です。例えばパブリック・クラウドで対応可能なもの、プライベート・クラウドでしっかり管理するものといった選択肢を用意し、その中から利用者に選んでいただく、あるいはこちらから最適なものをお勧めすることができることが重要です」

東芝では、既にプライベート・クラウド基盤をデータセンターに用意し、パブリック・クラウド・サービスを利用したシステムも一部で運用してきました。サービス・カタログ化に際しては、個々のサービスごとに最適な基盤を利用しており、結果的にプライベート・クラウドとパブリック・クラウドの両方を利用するハイブリッド・クラウド環境で稼働するサービスも用意しています。

Transformation

オープン技術でクラウド環境を作るIBMと連携

クラウド基盤構築に取り組むなかで、IBMとの連携を模索したのは、2013年春のことでした。

「我々の目標は、あくまでもスマートコミュニティ事業を支えるクラウド基盤を作るということです。そこを出発点にして、事業の出口部分でベストな解は何かという視点で、さまざまなベンダーや技術の動向を常にリサーチしてきました。そうした中、グローバルでスマートコミュニティの案件があったときに、IBMと東芝が一緒に組むとベストな場合もあるのではないかと考え、IBMが提供しているクラウド技術をどう活用できるかという意見交換を行ったことが、IBMと連携するきっかけでした」

これまでクラウド基盤構築に携わってきた技術者をIBMに派遣し、議論を深めた結果、IBMを正式なパートナーとして選択したわけですが、その決め手となったキーワードがPaaS(Platform as a Service)でした。

「我々のクラウド基盤には、各事業体からそれぞれ異なる要求があります。その要求に対し、限定的なサービスを押し付けることはできません。利用者が求める事業の出口こそが大切であり、それを実現することが課題の本質だと考えていました。そうした中、IBMから紹介されたのが、『IBM SmarterCloud Orchestrator』です。IBMがSCOを通じて提供するものは、完成されたクラウド環境ではなく、クラウド環境を作るためのフレームワークと、その開発ツールなのだということが分かりました。東芝でもPaaSを用意してアプリケーションの標準化を進めるところに注目していましたから、私たちが欲しいと思うクラウド基盤であるPaaSを作るための開発ツールを入手できるという理解に至ったことのが、IBMと契約した最大の決め手でした」

さらに、東芝が注目したのは、IBMがオープンな仕様の技術を採用している点でした。IBMでは、クラウド基盤を構築する「OpenStack」、PaaSの標準仕様「OASIS TOSCA(Topology and Orchestration Specification for Cloud Applications)」といったオープン・スタンダードのソフトウェアを使った「オープン・クラウド」を提唱しています。

Benefits

パブリック・クラウドには「SoftLayer」を推進

オープン・クラウドを先取りするIBM製品を採用したことにより、スマートコミュニティを支えるクラウド基盤では、東芝グループ共通のサービスメニュー、運用の統一化、開発手法と開発環境の共通化、アプリケーションの標準化、迅速なアプリケーション配信などを実現しました。次に取り組もうとしているのは、IBMのパブリックIaaS「SoftLayer」を利用したサービスの提供です。SoftLayerは、グローバルに展開するデータセンターとユーザーが利用可能な高速なネットワークが特徴で、後者は世界の主要地域に接続点を持つ大規模なオーバーレイ・ネットワークです。

「我々はこれまで、パブリック・クラウドを利用者ニーズに応じて使い分けをしてきましたが、今後はSoftLayerの採用を推進していく計画です。SoftLayerを採用する一つの理由が、単純な仮想環境だけでなく、物理サーバーそのものを利用できるベアメタルに対応していることです。当社のアプリケーションの中には、例えば安定的な性能が必須など、仮想環境では稼働させづらいものも少なくありません。そうしたアプリケーションは、独立したサーバーで動作させたいので、ベアメタルを払い出せるSoftLayerを高く評価しました」

いきなり仮想環境を利用するのではハードルが高いアプリケーションを、まずはベアメタル上にいったん移行し、その後に仮想環境へ移行するといったように、ステップ・バイ・ステップでシステムを進化させることを想定しています。

 

将来の展望

共通クラウド基盤が理想形になるのは2020年が一つの目安

最後に、東芝グループの共通クラウド基盤に関する将来の展望を伺いました。

「クラウド基盤の構築は、2020年くらいの先を見据えての活動だと思っています。東芝グループの五つの事業体は、それぞれ異なるステージにあり、クラウド基盤に求めるスピードも異なります。例えば、コンシューマ系では既にクラウドの活用が始まり、ヘルスケア系ではこれからまさに始まろうとしているところです。当然、早ければ早いほどよいのですが、現在はちょうど過渡期だと考えています」

「そして、重要なのは事業の出口です。出口で役に立つクラウド基盤でなければ駄目なのです。その視点がぶれることのないように、今選択した手段を続けていけば、2020年には理想を現実のものにできると確信しています」

 

お客様情報

世界屈指の電気・電子・通信の複合メーカー。「人と、地球と、明日のために。」をスローガンに、グループが持つ技術力、商品開発力、モノづくり力を結集した商品・サービスを展開。近年では、ICTを活用して社会全体をスマート化する「スマートコミュニティ」の実現に向けた数々のプロジェクトを世界中で推進しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

ソリューション

  • IBM SmarterCloud Application Services(SCAS)
  • SoftLayer

Solution Category

  • IBM Cloud