Business Challenge story

より確実な災害対策と連続稼働を低コストで実現

「今回の災害対策/連続稼働環境の構築では、大きく3つの要件を重視しました」株式会社ティージー情報ネットワーク(以下、ティージー情報ネットワーク) 基盤戦略推進部長の沢田 和昌氏は当時を振り返ります。ティージー情報ネットワークは東京ガスグループの情報システムを担当するシステムインテグレーション企業であり、東京ガスの業務と、多岐にわたるIT技術に長けたプロフェッショナルの集団です。

「第1にデータ鮮度の確保が挙げられます。メインのデータセンター内に設置された2台のシステム間では完全にデータ同期をさせています。災害対策センターに設置されているシステム間のデータ・コピーも、ごく短い間隔で実施し、万が一問題が発生した場合にも最新のデータを確保できることを狙いとしました。第2にバックアップ・システムが確実に機能することでした。特に災害対策システムは、災害発生時の速やかな切り替えが行われることが重視されました。そして第3に低コストによる実現でした。災害対策や障害対策は保険のようなもので信頼性の向上には貢献しますが、業務効率向上や収益拡大に直結するわけではありません。最小限の追加コストで実現できることが要求されました」(沢田氏)。

Transformation

IBM System zの実績ある災害対策ソリューションにより高可用性システムを実現

東京ガスの高可用性要件に応えるべく、IBMのソリューションが検討され採用されました。データの鮮度に関しては、センター内に2台のSystem z ECを設置し、System z9 ECとz/OSの機能である並列シスプレックスによる冗長化構成を行い、IBM System Storage DS8100の機能であるメトロ・ミラーでデータの完全同期を実現しています。System z9 EC上では多数のCustomer Information Control System (CICS)が稼働していますが、これらを待機状態からごく短い時間で立ち上げ、システムを切り替えることができます。「新しいシステムを構築することによって、システムの可用性が向上しました。予期せぬ問題が発生した場合であっても、利用者に与える影響時間が10分を切れば影響を最小限にして業務を続けられます」と山上氏は説明します。

災害発生時のバックアップ・システムへの切り替えは、広域分散並列シスプレックス(Geographically Dispersed Parallel Sysplex : 以下、GDPS)を採用しました。GDPSは世界中の多くのお客様において実績ある災害対策ソリューションで、遠隔地に設置されたシステムへの切り替えを支援します。さらにz/OS グローバル・ミラーにより、災害対策センターのDS8100にごく短い周期でデータを送信し、整合性の取れた高いデータ鮮度を実現しています。

低コストによる実現についてはIBM System z9 ECの機能であるキャパシティー・バックアップ(Capacity BackUp : 以下、CBU)を使用することにより、従来の方法と比較してコストを大きく低減することができました。バックアップ機に搭載されるプロセッサーを災害発生時にのみ活性化させることにより、災害対策用のハードウェアはもちろんのこと、ソフトウェアのコストも低減可能になりました。今回の東京ガスのケースでは、CBUをはじめとしたIBMの災害対策ソリューションを活用することにより、従来のシステムの約10分の1の追加ランニングコストで災害対策環境が運用されています。

Benefits

システムの連続稼働の強化により、サービス停止時間を大幅に短縮

「今回構築した災害対策・連続稼働環境によって、システムに問題や、地震などの災害が発生した場合でも、サービス停止時間を大幅に短縮できるようになりました」と語るのは株式会社ティージー情報ネットワーク 基盤戦略推進部 情報通信基盤グループの阿曽 裕之氏です。「以前は毎週テープにデータを書き出し、それを遠隔地に搬送して保管していたため、バックアップ機にリストアを行うだけでかなりの時間を要していましたが、今回のシステム構築により、災害対策環境への切り替えも業務継続に大きな影響を与えない範囲で行うことができるようになりました」(沢田氏)。

今回のシステムにおいて要件の1つであったデータの鮮度について阿曽氏は語ります。「データの鮮度を保ったままシステムの切り替えができるようになったことも大きなメリットです。東京ガスでは年間約250万件のお客さま情報が追加もしくは更新されますが、これは1週間当たり平均で5万件のデータ変更に相当します。週次のデータのバックアップでは、この差分を正しく反映させる必要が発生しますが、現在ではディスク間のコピーにより、データの鮮度は著しく改善されています」

今回は並行して周辺機器の統廃合も行われており、これによるコスト削減効果やパフォーマンス向上効果も得られています。災害対策・連続稼働環境をスムーズに構築する上でも、このような取り組みは重要な意味を持っていると阿曽氏は説明します。統廃合によってシステム構成がシンプルになり、同じような構成のシステムをバックアップ・センターに構築することが容易になるからです。

「まだ基盤ができたばかりであり、今後はアプリケーション側の対応も必要になりますが、システムの信頼性は飛躍的に高まっており、経営層からも高く評価されています」と山上氏は語ります。「今回は災害対策、連続稼働、周辺機器統廃合を並行して実施した難しいプロジェクトでしたが、短期間かつ低コストで満足のいく環境が構築できました。提案力とシステム構築力の高いIBMの提案を採用し、当社のシステムと業務要件に熟知したティージー情報ネットワークが全体のプロジェクトマネジメントを行ったことが、大きな成功要因だと考えています」(山上氏)。

将来の展望

より堅牢な情報システム実現を目指して

東京ガスでは今後はこのシステム基盤を有事の際の業務継続に対応できるよう、アプリケーション側の対応を進めていく計画です。現在はメインフレーム上で稼働しているお客さま情報データベースと料金計算システムの対応を行っておりますが、今後は順次現在分散系システムで稼働している各種アプリケーションの対応を実施する予定です。

「お客さま情報システムは今後も信頼性の高い基盤を使い続けることになりますが、今回のシステム構成でその価値はさらに高まりました。これからもより堅牢な情報システム実現への取り組みを推進し、お客さまへのより良いサービス向上を図りたいと考えています」(山上氏)。

「ITの重要性が高まる中、今回の新しい取り組みはよりお客さまに安心とご満足をいただくことにつながると考えています。私たちは東京ガスのITを支える実績と経験を基に、さらに新しい価値を提案・提供して行きたいと考えています」(沢田氏)。

お客様の声

東京ガス株式会社 IT活用推進部長 山上 伸氏

「お客さまに安全で安定したエネルギー供給とサービスを行うことは、公共性の高い事業者の責務であると同時に、私たちが最も大切にしていることです」

株式会社ティージー情報ネットワーク 基盤戦略推進部長 沢田 和昌氏

「災害対策や連続稼働は重要な課題ですが、業務効率向上や収益拡大に直結するわけではありません。最小限の追加コストで実現できることが要求されました」 

株式会社ティージー情報 ネットワーク 基盤戦略推進部 情報通信基盤グループ 阿曽 裕之氏

「新システムの構築にあたり、システムの見直しを行い周辺機器の統廃合も行いました。これによるコスト削減やパフォーマンス向上などの効果も得られています」

お客様情報

1885年10月の創立以来、120年余の長きにわたり、首都圏を中心とした地域への都市ガス供給を通じて、1000万件を超えるお客さまの豊かな暮らしや産業の発展に貢献。従来の天然ガスに加えて、太陽光・太陽熱、バイオマス、清掃工場の排熱などを組み合わせた「スマートエネルギーネットワーク」を提案し、低炭素社会の実現に向けた取り組みを展開。「安心・安全・信頼」の企業ブランドを基に、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献し続けています。

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM System z9 Enterprise Class
  • IBM System Storage DS8100

ソリューション

Solution Category

  • Systems Hardware