Business Challenge story

IBM Power Systemsで事務作業の省力化と商品開発への注力を実現

そんなKINCHOは、業界でも早くからITを導入し、積極的に活用してきた企業としても知られています。同社のIT基盤を支えているのは「IBM Power Systems」。その利用の歴史は古く、約30年前にPower Systemsの前身である「System/36」を導入して以来、バージョンアップを繰り返しながらずっと同社のIT基盤を支え続けています。

殺虫剤業界は、KINCHO以外にも有力メーカーがひしめく、非常に競争が激しい世界です。そんな中でも、同社が常にトップクラスのシェアを維持し続けてきた背景には、ITがもたらす力が大きかったといいます。KINCHOのIT戦略や宣伝・広報活動を率いる立場にある、同社 専務取締役 上山久史氏は、次のように述べます。

「ITを導入して一番効果的だったと思うのは、単純な事務作業やデータ収集作業をコンピュータにすべて任せることで、商品開発業務によりお金や人的リソースを投入できるようになった点です。特にわれわれのように、あまり規模が大きくなく、商品開発に割けるリソースが限られている会社にとって、これは極めて大きなメリットです」

現在、KINCHOのほぼすべての基幹系システムがPower Systems上で稼働していますが、同社 情報システム部 開発課 課長 尾崎恭裕氏によれば、Power Systemsは運用コストの面でも非常にメリットが大きいと言います。

「Power Systemsは、機種をバージョンアップしてもプログラムがそのまま使える点が非常に気に入っています。System/36からSystem/38、AS/400と、これまで5、6回のバージョンアップを経ていますが、それこそ2日程度の作業でマシンの入れ替えを終えることができます。今でも、20年以上前に開発したプログラム資産が、最新の機種の上で動き続けています」

また、同社の研究開発部門でもITを積極的に活用しているほか、営業部門においても各営業マンに1台ずつノートPCを支給し、社外での安全なモバイルワーク環境を整備するなど、あらゆる業務で積極的にITを導入・活用しています。

Transformation

各地域ごとに異なる殺虫剤のニーズを販売データから割り出す

同社のもう1つの特徴的なITへの取り組みが、VAN(付加価値通信網)を使ったEDIです。現在同社では、卸売業者との取引のかなりの部分を、EDIを介して行っています。こうした取り組み自体は、今となっては特に目新しいものではないのですが、KINCHOでは卸売業者が小売業者に商品を販売した際の販売データを、VAN経由で受け取る仕組みを構築しています。こうして取得した販売データを基に、同社の営業部門では各月、各エリアごとの販売戦略を検討しています。

また一部の量販店からは、POSデータも取得しています。このPOSデータを、全国の気象データなどと掛け合わせて分析することで、より精緻で具体的な販売施策の提案を行なっています。

こうした取り組みの背景には、日本の殺虫剤業界ならではの特殊性があると上山氏は説明します。

「殺虫剤のニーズは、時代と環境によって変遷していきます。例えば、もともと除虫菊はノミとり粉として欧米から日本に導入されましたが、古来日本では飛翔昆虫である蚊が大きな課題だったので、弊社の創業者が蚊取り線香を発明しました。その後、ハエやゴキブリ用が増え、現在はコバエやダニなどに対象が拡がっています。また、地理的な条件によっても殺虫剤のニーズは異なります。例えば外国であれば、アジアの熱帯地域と涼しいヨーロッパとでは気象条件がまったく異なりますから、発生する虫の種類や発生時期もまったく違います。従って、それぞれの地域に適した商品を投入すればいいわけです。しかし日本には、北海道から沖縄まで、様々な気象条件の地域が含まれています。従って、各地域ごとのニーズにきめ細かく応えられるよう、多様な製品ラインアップを揃えて、適切な場所とタイミングで投入する必要があるのです」

そのためにも、販売データの分析は欠かせないと上山氏は指摘します。実際のところ、蚊取り製品だけでも蚊取り線香、リキッドタイプ、そして近年ではワンプッシュ式と、さまざまなタイプの商品が各メーカーから発売されています。そしてこれら多様な商品は、日本国内だけを見ても、各地域や店の立地ごとに売れ筋が大きく異なるといいます。そうした地域別の売れ筋を正確に把握し、市場に適切な商品をタイミング良く投入することが、販売店での機会ロスをなくすためには不可欠だと同氏は言います。

また、地域ごとの売れ筋の把握は、販売戦略のみならず、商品開発やプロモーション活動にも生かされています。例えば、ゴキブリがあまり発生しない北海道エリアではゴキブリ駆除剤のCMは流さず、その代わりに売れ筋商品のCMにプロモーション予算を集中させる。あるいは、防寒コートが必要ない沖縄では防虫剤のニーズが少ないので、防虫剤商品のプロモーションは行わない、といった具合です。 こうした施策は、やはり販売データを基に売れ行き傾向が把握できていればこそ可能になると上山氏は言います。

「日本の量販店の殺虫剤売場は、『世界でも最も競争が激しい殺虫剤の棚』と言われています。競合メーカーの多種多様な商品がずらりと並ぶ中、いかに自社商品を差別化して売っていくか。そのためには、やはり異なる地域や時系列での売り上げ傾向の"差異"を、データを基につかむことが重要です。私自身は、マーケットの性質や動向は、最終的にはデータで正確に証明できるはずだと考えています」

Benefits

今後はビッグデータ分析でさらに高度なデータ活用も

このように、ITを使ったデータ活用を積極的に企業戦略に取り入れているKINCHOですが、上山氏によれば同社のこうした取り組みは、まだまだその途上にあると言います。

「殺虫剤は、虫が発生するピーク時期に一斉に売れます。しかし虫の発生時期は、毎年の気候状況などにより少しずつ異なります。従って、最も売れる時期に不足なく商品を供給し、逆に売れない時期に在庫を積み上げないためには、店頭での売れ行きをリアルタイムに把握し、その結果を生産計画や在庫調整に迅速に反映できる仕組みが必要だと考えています。現状の仕組みでは、まだデータが入ってくる“時差"が大きいですね」

また、このようなビジョンを実現する上でのキーポイントとして同氏は、リアルタイム性とともに「予測」を挙げます。さまざまな種類の虫が発生する時期の予測、またそれに伴い発生する需要の予測などが、ITの力で実現すれば、過不足ない生産計画と適正在庫を常に保てるようになり、ひいては企業の体力を強化すると同氏は言います。こうした取り組みは、まさに昨今大きく取りざたされている「ビッグデータ」のソリューションにほかなりません。

同社 情報システム部 部長 中嶋永氏も、同社のビジネスを成長させていくための施策として、ビッグデータには大いに注目していると述べます。

「現状では、収集した販売データやPOSデータを、各営業マンが月次ごとに、しかも自分が担当するエリアや店舗の範囲に限って活用し、全社的に共有するまで至っていません。しかし、データ自体は社内に大量に蓄積されていますから、本当は地域別や剤型別といったさまざまな切り口で、もっと多様な分析を行えるはずです。事実、現場からは徐々にそうしたニーズが上がってきていますから、今後はそうしたビッグデータ分析の取り組みにもぜひチャレンジしていきたいと考えています。その際には、IBMさんのこの分野における知見や技術力に大いに期待しています」

さらには、ITを使った事務作業の合理化と、商品開発業務へのより一層のリソース集中にも、まだまだ取り組む余地があると上山氏は述べます。

「例えばEDIをとってみても、お客さまの中にはまだネットワーク経由ではなく、電話やFAXで注文してくる方もいらっしゃいます。われわれの方でも、より多くのお客さまにEDIを使っていただけるよう、VANだけでなくWeb経由でのEDIも用意していますが、それでもまだ電話やFAXでの注文を受け付ける作業は残っています。しかし、今後われわれの業界でIT技術がより広く普及していけば、お客さまの利便性は向上しますし、同時に弊社もさらに事務作業が合理化でき、より付加価値の高い業務にリソースを投入できるようになるはずです」

 

お客様の声

KINCHO 専務取締役 上山(うえやま)久史氏

「IBM Power Systemを長年使い続けてきた過程で事務作業が大幅に省力化され、より多くのリソースを商品開発に投入できるようになりました。また同時に、販売・プロモーション戦略策定の基となる販売データやPOSデータも簡単に収集できるようになりました」

KINCHO 情報システム部 部長 中嶋永氏

「家庭用殺虫剤の市場としては世界中で最も競争が激しい日本市場で他社製品との差別化を図り、ビジネスを成長させていくためには、IT基盤の活用がもはや欠かせません」

KINCHO 情報システム部 開発課 課長 尾崎恭裕氏

「IBM Power Systemはソフトウェア資産を長く使い続けられるため、弊社のような規模の企業にとっては大変助かっています。今後は、ビッグデータ分析にもぜひチャレンジしていきたいと考えています」

 

お客様情報

  1. お客様名:大日本除虫菊株式会社 (KINCHO)
  2. 所在地:〒550-0001 大阪市西区土佐堀1-4-11
  3. URL:http://www.kincho.co.jp/

家庭用殺虫剤、衣料用防虫剤、家庭用洗浄剤、防疫用殺虫剤、トイレタリー製品の製造および販売

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

Solution Category

  • Systems Hardware