Business Challenge story

シェアード・サービス化していた間接業務の再編と効率化が必要に

東燃ゼネラルは2012年6月、エクソンモービルとの資本関係を見直し、東燃ゼネラル石油株式会社の下で、精製・製造・販売が一体化した事業グループとして新たなスタートを切りました。外国資本が過半数を占めるグループから、日本資本を主体とする新体制に移行することで東燃ゼネラルの独立性が高まり、国内の事業環境の変化に即応できる、効率的な経営が可能になりました。

一方、東燃ゼネラルでは、エクソンモービルのグローバルでの方針に基づき、過去10年以上にわたり、経理や人事、購買の業務の一部をバンコクにあるエクソンモービルのシェアード・サービス・センターに移管し、効率的に運用してきました。しかし、エクソンモービルとの資本関係の変更で連結会社ではなくなったため、今後はそのサービスを自前でやることになりました。東燃ゼネラルでは品質を落とさずに、他の場所で同等の業務を行うための検討を開始しました。

業務の移管について、東燃ゼネラル石油執行役員経理担当桑野洋二氏は次のように話します。「エクソンモービルのシェアード・サービス・センターを利用できるのは、新体制発足後1年以内という期限がある上、外部委託の場合は、社内で行っていた業務を直接移管するのではなく、エクソンモービルから新たな移管先へと、私共の関与を含め3者間で引き継ぐ必要がありました。加えて、バンコクでおよそ100人規模の体制で処理されてきた業務内容は、データ入力などのトランザクション業務にとどまらず、経理で言えば、繰延税金資産・負債の計算なども含めた決算業務に及びます。そのため、難易度の高い業務を行える体制をいかに短期間に構築し、遺漏なく円滑に運用を開始できるかが大きなチャレンジとなりました」

Transformation

グローバルBPOのノウハウや実績、日本語対応などからIBM大連センターへの移管を決定

移管先の検討過程と採用理由

課題解決に向けて東燃ゼネラルは、間接業務を日本に戻して自社で行うか、アウトソーシング先を探して移管するか、さまざまなオプションを含めて比較検討しました。その結果、社内リソース等の観点からアウトソーシングする方針とし、IBMのBPOサービスを採用しました。

決め手となったのは、グローバルでBPO事業を展開する企業として豊富なリソースとノウハウがあること。特に、石油業界での経験や知見があり、さらに専門的な会計知識も含めて、東燃ゼネラルが求める高い水準で業務を遂行できる点が評価のポイントになりました。

東燃ゼネラル石油執行役員人事担当佐々木英明氏はこう説明します。「一般的な業務のアウトソーシングであれば、お願いできるベンダーは他にも存在します。しかし、私たちが依頼するのはコア業務なので、経験やノウハウの有無を考慮の上、選考しました。例えば、人事では従業員からの問い合わせに最後まで答えきるエンド・ツー・エンドのサービス提供が求められます。グローバル・カンパニーであるIBMは業務をよく理解しており、エクソンモービルを母体とする私たちとプロセスの処理についても親和性が高く、最初に会った時から話がすぐに通じました。また、将来的にグローバルで磨かれたプロセスを継続していくという点でもウィン・ウィンの関係を築けると感じました」

移管場所は、アジアを中心に複数の拠点を検討し、日本語での業務が可能な点や、地理的に近いことなどから、IBM BPO大連デリバリー・センターが選ばれました。IBMとの契約も含めて、購買支払いの業務を担当した、EMGマーケティング購買統括部長鈴木裕司氏も次のように補足します。

「選考段階で、IBMのBPOサービスを利用している企業から話を聞いたり、大連のセンターも実際に見学した結果、日本語対応ほか、我々の期待するサービス・レベルに応えられると判断しました」

 

スケジュール

アウトソーシング契約は2012年6月末に締結され、準備が始まりました。プロジェクトの最初の目標はバンコクで行われていた業務を現行のまま大連に移すことです。まずIBMが大連でスタッフを採用し、基礎的なトレーニングを実施。その後、スタッフにバンコクの業務を習得させ、大連で試行を重ねつつ本番稼働へとつなげます。確実かつスムーズに移行するために、人事と購買の支払い、経理業務の約半分は2013年1月に、残りの経理業務は2013年3月に、それぞれサービスインすることにしました(図参照)。サービス開始時期は分かれたものの、各業務ともテストを含めて約6カ月で移管を完了させなければなりません。そのため大連のスタッフがいかに短期間で効率的に業務を習得できるかが鍵となります。2012年9月から10月中旬までの1カ月半で、ナレッジ・トランスファー(ナレッジ移管)として、専門知識を持つ大連の主だったスタッフがバンコクへ行き、業務知識を習得。次にそのスタッフが、10月中旬から11月いっぱいの1カ月半で、ナレッジ・カスケード(ナレッジ展開)として、大連のスタッフ全員に業務を教えるかたちで移管作業を行いました。そして、12月1カ月間のテスト運用を経て、計画どおり2013年1月から大連で業務を開始することができました。

移管過程で最も苦労したのは言葉の問題だったと、桑野氏は振り返ります。「『日本語で大丈夫』と聞いて、大連のスタッフがバンコクに行ったところ、英語でなければ業務の引き継ぎがうまくいかないこともありました。代わりのスタッフを手配するにもビザの手配が間に合わず、IBMに英語ができる人を急遽他国から手配してもらうなどして、予定どおりに進めることができました。そうした臨機応変な対応もグローバルでBPO事業を展開するIBMだからこそ、可能だったと思います」

プロジェクトを短期間で完遂できたことについて、プロジェクト・コーディネーター松延真一氏は次のように説明します。「IBMのプロジェクト・マネジメント力が非常に優れていた上に、経理、人事、購買支払いを担当するキーパーソンが期限までに必ず成功させると明確に示していました。その強いリーダーシップと、同時並行で行う3つのプロセスの進め方を柔軟に使い分けたことが、計画どおりに進んだ最大の要因だと思います」

Benefits

6カ月で移行を完了させた後、3カ月で定常状態に経験を要する高度な判断も実行

こうして、東燃ゼネラルの経理、人事、購買支払いの各業務は、2013年3月からすべてIBM大連センターで行われるようになりました。単純比較はできないものの、コスト面を含め、同社が期待したとおりの効果が上がっていると鈴木氏は評価します。

「大連のスタッフはミスを共有して予防策を立てたり、品質保証に対して非常に積極的です。かつてエクソンモービルのシェアード・サービス・センターに業務を移管した際には、安定までに2年ほどかかりました。それに比べて、今回はナレッジ・トランスファーを開始したのが9月ですから、実質わずか4カ月で移行し、その後3カ月で業務がかなり安定してきているのを見ると、習熟のスピードは非常に速いととらえています」

先にサービスインをした業務では、早くも改善に向けた取り組みが始まっていると、佐々木氏は話します。「人事の業務では、すでにIBMから改善提案が出されています。取り組みが極めて速い背景には、IBMのグローバル・レベルでのベスト・プラクティスが活かされていると感じます」

また、バンコクでは基本的な業務は標準化され、マニュアルに基づいて行われていました。しかし、経理や人事の業務の中にはマニュアル化が難しく、担当者が経験から判断しなければならない部分もありました。今回、そうした判断が求められる部分も含めて移管され、大連のスタッフが行っています。桑野氏は次のように話します。

「経理のデータ上で、例えば原油の在庫残高が異常な数値を示すことがあるのですが、その原因究明の手順はマニュアルには書かれていません。慣れているスタッフはおかしいと考えた部分から順番に見ていき、原因を突き止めます。大連では最初の2-3回はバンコクにやり方や内容を問い合わせたようですが、短い期間で判断できるようになりました。エクソンモービルでは経験を積んだスタッフが属人的に業務をこなしていた部分が少なくなかったのですが、IBMでは経験をナレッジ・データベースにして共有しているため、属人化せず、業務が行えるのだと思います」

 

将来の展望

長期にわたる良きパートナーとして業務改善と品質向上に共に取り組む

大連での業務の安定稼働を受け、東燃ゼネラルでは今後、業務プロセスの改善と品質の向上、そしてコストのより一層の低減を目指していく考えです。今回の移管は、エクソンモービルのグローバル・スタンダードをそのまま移行してきた状態のため、今後は国内事業を中心に展開する東燃ゼネラルの実情に合う形にプロセスを変えていく必要があります。そのため、東燃ゼネラルが望むサービスのあり方とIBMが考えるサービスのあり方を付き合わせて、最適化していく計画です。

IBMとの関係について、佐々木氏は次のように期待を語ります。「IBMとはサービスを受ける側と提供する側という枠を超えて、より高い次元で共に知見を寄せ合い、業務の改善に取り組みたいと考えています。また、大連のスタッフまで含めた『人の力』で支えられているBPOサービスですので、スタッフとの連携も含めて、ひとつのチームで継続的なイノベーションを実現できる関係を作り上げていきたいと思います」

その上で、東燃ゼネラルではBPOによって社内に蓄積されたノウハウの喪失を防ぐために、IBM大連センターのスタッフとの間で人事交流を行うなど、一般的なアウトソーシングの関係から一歩踏み込んだパートナーとしての関係をIBMとの間で築いていくことも検討しています。

「決算業務のようなコア業務にまで踏み込んだBPOサービスを提供するのは、日本IBMとしても初めての経験だったのではないかと思います。私たちとしても大変な決断だったのですが、予想以上に早いスピードで業務に習熟しているのを見ると、IBMにお願いして本当に良かったと思います。いいスタートが切れたので、今後も良きパートナーとして、長期にわたる関係を築いていきたいと考えています」と桑野氏。

業務改善の進行とともに、東燃ゼネラルとIBMとのパートナーシップは一層強固なものになっていきます。

 

お客様情報

東燃ゼネラル石油株式会社を中心に、EMGマーケティング合同会社、東燃化学合同会社を含む複数の子会社・関連会社で構成される。1893年より日本で石油製品を扱い始めて以来、120年にわたって、原油の輸送、精製・生産、物流、販売のサプライチェーン全般を担ってきた。今後も、良質な石油製品をはじめとする各製品を安定的に供給するとともに、付加価値の高いサービスを提供し、日本を未来へと動かすエネルギー・カンパニーになることを目指す。

 

テクノロジープラットフォーム

ソリューション

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  • Global Business Services