ニューヨーク電力公社におけるデジタル化への取り組み
NYPA、車両管理をIBM Maximoシステムに移行することでVISION2030戦略を推進
路上で停車中のNYPAの車

ニューヨーク州電力公社(NYPA)は米国最大の州営電力組織です。同公社は国内初の完全デジタル公共電力会社になることを目指しています。この意欲的な目標は、気候変動に対するニューヨーク州の積極的な取り組みを支援するために同公社が策定した戦略計画、VISION2030を支える柱のひとつです。VISION2030が示すロードマップでは、今後10年間で州のエネルギー・インフラを、クリーンで信頼性が高く、強い回復力を持ち、手頃な価格のシステムに変革するとしています。

NYPAはデジタル・トランスフォーメーションに対応するために、使用する資産管理システムを、市場をリードするエンタープライズ資産管理(EAM)システムであるIBM® Maximo製品に統一しました。

NYPAの資産情報担当ディレクターであるLen Caputo氏はこう話しています。「私たちは、情報に基づいた意思決定を資産管理システムでサポートするために、適切なテクノロジーを用いて、適切な情報を、適切な人に、適切なタイミングで提供しています。私たちが利用するIBM Maximoプラットフォームは、そこで大きな役割を果たしています」

またNYPAは、ニューヨーク州ホワイト・プレーンズの本社に、前例のないデジタル化された電力資産監視・診断センターである統合スマート・オペレーション・センター(iSOC)を開設しました。さらに、優れた資産管理の国際的指標である国際標準化機構(ISO)のISO 55001認証を、北米の電力会社として初めて取得しました。

NYPAの資産戦略担当ディレクターであるBrian Liu氏は言います。「ISO 55001認証の取得はNYPAの全職員にとって重要な成果です。非常に誇りに思っています」

NYPAは、資産、在庫、計画、予防保全、作業指示書の各モジュールなど、複数のMaximoソリューションを以前から使用して、発電事業と送電事業の管理に役立てていました。また、これらのモジュールは、SAP ERPやその他のコア・アプリケーションと緊密に統合していました。NYPAはこのシステムを利用することで、約60,000の発電設備と送電設備、その状態や場所、および関連する作業工程を包括的に把握し、最適な計画、制御、監査、コンプライアンスを実現していました。

リアルタイムの意思決定

 

約1,600台の車両資産をリアルタイムで可視化することで、資産への投資の意思決定を強化

二酸化炭素排出量の削減

 

ニューヨーク州の脱炭素化に向けたNYPAのクリーン・エネルギー目標に寄与

デジタル化

 

米国初の完全デジタル電力会社というNYPAの目標達成を支援

私たちは、情報に基づいた意思決定を資産管理システムでサポートするために、適切なテクノロジーを用いて、適切な情報を、適切な人に、適切なタイミングで提供しています。私たちが利用するIBM Maximoプラットフォームは、そこで大きな役割を果たしています Len Caputo氏 資産情報担当ディレクター ニューヨーク州電力公社(NYPA)

しかし、車両部門は依然として、別のスタンドアロン・ソフトウェアを使用して車両を管理していました。このため、車両の情報を全組織横断で把握することはできませんでした。NYPAは、電線工事用の高所作業車などのトラック、施設メンテナンス用のクレーンなどの重機、電気自動車を含む業務用自動車など、無数の車両を保有しています。事前の計画にせよ、突発的な作業への迅速な対応にせよ、作業に使用できる車両、使用中の車両、修理中の車両など、個々の車両の状態や履歴を組織全体の従業員がリアルタイムで安定的に把握することが求められていました。

事業継続性と効率性を確保し、顧客満足度を維持するために、NYPAの幹部は車両管理をMaximoソリューションに移行することを優先事項としました。

パンデミック下でも着々と前進

NYPAはIBM Maximo for Transportationモジュールの統合について、IBMビジネス・パートナーであるStarboard Consulting, LLC社に支援を依頼しました。NYPAとStarboard社は長年の関係があり、現在Starboard社はNYPAにMaximoの包括的なサポートと機能拡張を提供しています。最近では、Maximo Asset Managementをバージョン7.6にメジャー・アップグレードする作業や、組織全体でのソリューションのフットプリントの拡大などを担当しました。

Caputo氏のチームは、Starboard社のコンサルタントがNYPAのオペレーションを深く理解していることや、優れたカスタマー・サービスを提供していることを評価しています。Caputo氏は次のように話しています。「私たちはMaximoを最大限に活用したいとよく言っています。Starboard社は、テクノロジーの観点からも、また当社のビジネスでMaximoを最善の形で活かす方法を理解しているという面でも、当社の取り組みを支える中心的な役割を果たしてきました」

Maximo for Transportationのプロジェクトの指揮を執ったのは、Starboard社のファンクショナル・アナリストであるLani Trotter氏でした。「NYPAはMaximoの活用に力を入れている熱心なユーザーで、Maximoのフレームワークの中で資産管理業務を次第に確立し、導入を進めていました」と同氏は言います。「車両部門のデータ、業務、プロセスをそちらのシステムに移行するにはよいタイミングでした」

Starboard社のチームはNYPAのソリューションの要件定義と開発開始をオンサイトで支援しました。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生してからの数カ月は、NYPAは従業員の健康と安全を優先し、プロジェクトを一時中断しました。プロジェクトの再開後は、利害関係者はバーチャルで集まり、古いシステムから新しいシステムへのスムーズな移行に一致団結して取り組みました。

NYPAの資産情報アナリストで、この導入のプロジェクト・マネージャーでもあるRaihana Azad氏は言います。「新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生で遅延が生じたことから、その時間を使ってUAT(ユーザー受け入れテスト)を延長し、スムーズな移行とMaximoの導入に向けて、テストを増やしました」

「関係者全員の努力の賜物です。Starboard社のチームに加え、NYPAの資産情報、情報技術、車両の各グループが力を合わせ、成功を目指しました」と、NYPAのテクニカル・トレーニング・インストラクターであるGeorge Perry氏は話しています。同氏はMaximo Utility Working GroupとNortheast Maximo User Groupのマネジメント・チームのメンバーでもあります。

Perry氏はTrotter氏と協力して、NYPAの2,300人の従業員に対するソリューション・トレーニングと変更管理を編成しました。対象には、整備士やその他の車両スタッフに対する詳細な指導も含まれています。この取り組みでは、組織のニーズに合わせた継続的な適応が必要となりました。Perry氏とTrotter氏は、トレーニングを新型コロナウイルス感染症の安全ガイドラインに準拠させる必要があり、かつ季節的業務にも対応する必要がありました。例えばナイアガラ川の氷を砕く現場作業担当員は、その時期は数週間不在になることがあります。最終的にTrotter氏はトレーニングの大部分をオンラインで実施し、Perry氏と、NYPAの車両システム・アナリストであるBrian Everetts氏は、いくつかのセッションをオンサイトで実施しました。

現在では、従業員が仕事用の車両を予約するときや修理作業の予定を立てるときに、車両部門に電話して空き状況を確認する必要がなくなり、リアルタイムの情報をオンラインで確認できるようになりました。「設備をいつどこに配置するかや、修理の状況、予防保全が必要な時期を会社全体で可視化することは、計画立案の重要なポイントです。設備の可用性は当社の成功の鍵です」とPerry氏は言います。

また、車両の予防保全記録や関連コストなど、時系列の一連の履歴を従業員が1つの画面上で簡単に確認できます。「適切な資産管理のためには、資産のライフサイクル・コストに注目し、今後の投資を判断する必要があります。Maximoプラットフォームでの可視化は、そのプロセスを進める上で非常に役立ちます」とCaputo氏は言います。

「設備をいつどこに配置するかや、修理の状況、予防保全が必要な時期を会社全体で可視化することは、計画立案の重要なポイントです。設備の可用性は当社の成功の鍵です。 George Perry氏 テクニカル・トレーニング・インストラクター ニューヨーク州電力公社(NYPA)
全組織横断での可視化と効率化

NYPAの車両部門はMaximo for Transportationソリューションを使用して約1,600台の車両の最適な管理を実現できるようになりました。一元化されたソースを基にして、業務のダウンタイムとコストを削減し、従業員の生産性を向上させることができます。

「NYPAのMaximoにおいて既にエンタープライズ・レベルで確立されていたユーザー・ロール、ポリシー、手順を基にして、標準化されたビジネス・プロセスとデータ・プロセスを車両部門に確実に導入したいと考えました。これらを活用しながら車両管理の機能をMaximoに移行しました」とAzad氏は言います。

これはNYPAの顧客満足度の向上に役立ち、さらにはニューヨーク州に新たな企業を誘致するうえでもプラスになります。「私たちの効率性が向上すれば、お客様へのサービスも向上します」とCaputo氏は言います。

NYPAの共通のEAMシステムに車両管理を統合したことで、資産情報グループはデジタル化をはじめとするNYPAのVISION2030戦略をいっそう効果的に推進できます。さらに、ISO 55001で規定されている継続的プロセス改善の機会を特定しやすくなります。

Caputo氏のチームには、車両部門や経営陣から、この移行について肯定的なフィードバックが寄せられています。「この導入プロジェクトはどのタイミングで行っても重大なものになったはずです。これがパンデミックの中で完了したという事実は、Starboard社、資産情報チーム、そしてプロジェクトに関与したすべての人にとって、まさに誇りです」とCaputo氏は話しています。

ニューヨーク州電力公社のVISION2030のロゴ
ニューヨーク州電力公社について

ニューヨーク州電力公社(NYPA)(ibm.com外部へのリンク)は米国最大の州営電力組織です。16カ所の発電施設と、1,400マイルを超える送電線網を運営しています。NYPAが発電する電力の80%以上は、クリーンで再生可能な水力発電です。NYPAは税金や州クレジットを一切使用していません。NYPAの運営資金は、債券の発行や、電力販売が大部分を占める売上で賄われています。詳細については、nypa.gov(ibm.com外部へのリンク)をご覧ください。

Starboard Consulting, LLC社について

米国のフロリダ州ロングウッドに拠点を置くIBMビジネス・パートナーであるStarboard社(ibm.com外部へのリンク)は、IBM Maximoソリューションに特化した技術コンサルタントおよびシステム・インテグレーターです。資産管理のリーダーとして、業界知識、技術的専門知識、実証済みのアプローチを活用し、現実の問題の解決を支援します。Starboard社の顧客には、公益事業、運輸、政府機関が含まれています。

次のステップ

この記事で紹介されているIBMソリューションの詳細については、IBMの担当者またはIBM ビジネス・パートナーにお問い合わせください。

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© Copyright IBM Corporation 2022.IBM Corporation、IBM WatsonIoT、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

2022年4月、アメリカ合衆国で制作。

IBM、IBMロゴ、ibm.comおよびMaximoは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。その他の製品名およびサービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、Web 上の「著作権および商標情報」(ibm.com/legal/copyright-trademark)で入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMビジネス・パートナーは独自の価格を設定しており、価格は異なる場合があります。 IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。IBM製品およびプログラムを使って他社製品またはプログラムの動作を評価したり、検証する場合は、お客様の責任で行ってください。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。