AIがもたらすメリット — ワークフローの可視化と最適化
IBM Process Miningソリューションを使用してOrder-to-Cashプロセスを合理化します。
海の風力タービン、背景にヨット

5大陸で施設を運営し、数千マイルにもおよぶサプライチェーンでビジネスを展開する企業では、Order-to-Cash(O2C)プロセスのどの手順が中断されても、製品の配送に遅延が発生する可能性があります。しかし大手のMultinational Manufacturing Company(MMC)社ともなれば、そのビジネスは複雑でかなりの広範囲にわたるため、物流で発生する遅延の根本原因を解明するには困難を伴います。

「顧客ごとに平均リード・タイムと配送コストに著しい違いがあることには気づいていましたが、その理由については十分に理解できていませんでした」と、MMC社の物流管理VPは述べています。「また、多くのオーダーが保留状態に置かれていることも分かっていましたが、誰がブロックしているのか、なぜ標準的なプロセスに準拠していないのかについて、判断できないことも少なくありませんでした」

MMC社の物流管理マネージャーはこうした遅延を最小限に抑えるよう何度も努力しましたが、取得できる情報が不完全で統一が取れていなかったため、是正措置が適切に機能しませんでした。標準プロセスからの逸脱はモニタリングされていなかったため、こうした逸脱がどのように配送スケジュールやコストに影響を与えているかを把握する方法もありませんでした。

「システム内で遅延が発生している場所とその理由を確認できなければ、逸脱を訂正するために必要な措置を取ることはできません」とMMC社のVPは語ります。「また、実際に行われているプロセスを詳細にかつ包括的に視覚化できれば、より多くのプロセスを自動化して手動プロセスを減らすことができると考えていました」

MMCの物流管理マネージャーは、面談や普段の会話などで得た情報からO2Cプロセスをマッピングし、ボトルネックを特定して異常を修正しようとしましたが、これは成功しませんでした。「ですがERPプラットフォームを導入していた時に、当社のシステム統合パートナーが新しいツールを推奨してくれました」と、MMC社のVPは打ち明けます。「このツールにより、O2Cに関わるすべてのプロセスと担当者を詳細に視覚化できただけでなく、当社のERPシステムから得られる実データをモデル化できました。当社はそのツールの可能性に非常に興味を持ちました」

コスト削減

 

配送日変更の回数を削減し50,000米ドルのコスト削減とリード・タイムの3日間短縮を実現

配送作業の自動化

 

再作業を削減するためにRPAソリューションを採用し、75%の配送作業を自動化し、60,000米ドルのコスト削減を実現

競合他社に対しては、常に優位に立たなければなりません。IBM Process Miningを使用してビジネス・プロセスを自動化することで、当社は競合他社に差をつけられると考えています。 物流管理VP Multinational Manufacturing Company社
深く掘り下げて洞察を獲得

PoC(概念検証)を検討した結果、MMCはIBM® Process Miningソリューションを選択し、IBM Cloud Pak® for Business Automationソフトウェアでこのソリューションを展開しました。IBM Process Miningは、IBM Cloud Paks for Automationソリューション・ポートフォリオの基本機能としても含まれています。MMC社のVPは「当社の物流管理組織の”デジタルツイン”を見たかったのです」と言います。「O2Cのプロセスのボトルネックを特定し、自動化できる箇所を見つけられるようになりました」

マッピングされたO2CのプロセスをMMCの経営幹部の皆さんが初めて見たときの反応は、AIを活用したシミュレーション・テクノロジーに初めて接した人達の反応と同じでした。「私たちの最初のリアクションは、『これ、あなたが作ったんでしょう。これがデータから自動的に生成されたなんて、信じられませんよ』でした。そして次のリアクションは、『いや、これは嘘ですよ、データが誤っています』です」と、MMC社のVPは述べています。「しかし、シミュレーションを詳しく見ていくと、このモデルが当社のERPプラットフォームの実際のデータに基づいて完璧に構築されたものであるとすぐに分かりました。まさに、唖然としました」

O2Cプロセスに関わっているすべてのアクティビティー、タッチポイント、従業員について、このツールで詳しく調べたところ、MMC社の物流管理チームは以下のような成果が得られました。

  • プロセスでの行動を分析し、規格適合外のアクティビティーを検出し、改善できるポイントを特定する
  • コストの影響とリード・タイムの長期化が懸念される重要なアクティビティーを特定する
  • プロセスの主要なユーザーを特定し、職務分掌について確認する
  • 再作業をモニタリングすることで、誤りや不適切な手順により配送スケジュールに影響を与えている箇所を発見する
  • 手作業でのアクティビティーにかかるコストと、自動化できる可能性のあるプロセスを特定する

 

特定の従業員の行動を分析することで、さまざまな洞察を導き出すことができます。一例を挙げると、ある物流管理マネージャーは、工場の生産目標達成を支援するために、スケジュールを手書きで変更していました。「マネージャーは善意で助けようとしてくれていたのですが、実際には遅延させていました」とMMC社のVPは話します。「私たちはマネージャーと話をし、チームのメンバーはマネージャーの助けがなくても、ずっと良い仕事をしていたのだと説明しました」

シミュレーションを詳しく見ていくと、このモデルが当社のERPプラットフォームの実際のデータに基づいて完璧に構築されたものであるとすぐに分かりました。まさに、唖然としました。 物流管理VP Multinational Manufacturing Company社
自動化のオポチュニティー

IBM Process Miningツールによって作成されたO2Cプロセス・モデルを分析し、そのツールのダッシュボードを使用してアクティビティーをモニタリングすることで、MMC社の物流管理マネージャーは以下のような成果をあげられました。

  • 配送日の変更回数を減らし、5万米ドルのコスト削減と3日間のリード・タイム短縮
  • 顧客リード・タイムの変動性を継続的にモニタリングすることで、物流ブロックの解消と配送日変更のアクティビティーのKPIアライメントを25%増加
  • 物流ブロック解消アクティビティーを削減すべくプロセスを再設計し、10万米ドルのコスト削減と2日間の平均リード・タイム削減

 

IBM Process Miningプラットフォームにより、MMC社の長期目標であったロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ツールの導入が可能になりました。RPAのパフォーマンスをモニタリングすることで、同社には以下のような成果がありました。

  • 配送アクティビティーの75%を自動化し、6万米ドルのコスト削減と再作業の大幅な削減
  • ライン作成アクティビティーの75%を自動化し、5万米ドルのコスト削減と3日間のリード・タイム短縮

 

「可能な限りプロセスを自動化することで、当社には大きなチャンスが生まれます」とMMC社のVPは語ります。「物流業務は仕事量が多いため、人的リソースの割り振りに苦労することがあります。今ではオーダーのブロックやスケジュール変更の回数を減らすことにより、当社のスタッフは他のタスクに取り組む時間を割けるようになりました」

「今後はIBM Process Miningを使用して、お客様の行動を理解するとともに、お客様の行動が業務プロセスの遅延や関連コストをどの程度増加させるのかを理解したいと思います」と、MMC社のVPは述べています。「このツールがあれば、お客様のこうした行動に変化をもたらし、配送スケジュールの短縮や、より高い費用対効果が実現できると考えています」

大手グローバル・エンタープライズであるMMC社は、パフォーマンスのモニタリングと計画立案のために、各種のビジネス・インテリジェンス・サービスをサブスクライブしています。「当社にはすでに分析すべき多くの情報がありますが、IBM Process Miningを使用してモニタリングすると、他のツールでは得られないようなビジネス上重要なKPIがいくつも見つかります」とMMCのVPは話します。「競合他社に対しては、常に優位に立たなければなりません。IBM Process Miningを使用してビジネス・プロセスを自動化することで、当社は競合他社に差をつけられると考えています」

Multinational Manufacturing Company(MMC)社について

100年以上前に設立されたMMC社は、50カ国で100 以上の工場を運営し、20,000人以上の従業員を擁しています。通信、エネルギー伝送、建設、および運輸業界における主要なサプライヤーです。このケース・スタディーで取り上げたお客様は、当初はmyInvenioと提携していましたが、myInvenioは2021年8月1日にIBMに買収されました。このケース・スタディーに登場するmyInvenio製品、myInvenio Process Miningは、現在IBM Process Miningとして知られています。

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脚注

© Copyright IBM Corporation 2022. 日本アイ・ビー・エム株式会社 〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21

2022年3月、米国で作成。

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Cloud Pakは、世界の多くの国々で法的に登録されているInternational Business Machines Corp.の商標です。その他の製品名およびサービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、ウェブ上の「著作権および商標情報」 https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。