共有ビジネス・サービスの合理化
国防省がエンタープライズ・アプリケーションと分析でイノベーションを実現
ノートPCを使っている男性

国防について考えるとき、軍隊の軍人の勇敢さと献身に注目するのは自然なことです。英国国防省(MoD)は、英国陸軍、英国海軍、英国空軍、戦略司令部で19万人以上を雇用しています。とはいえ、国防省の5万8,000人の文民職員が、国家の安全維持のために膨大な支援サービスを提供していることを忘れてはなりません。

現代のすべての大組織と同様に、国防省も、財務、調達、人事など多くのビジネス・サービスの効率性に依存しています。MoDは、同省と各軍がそれぞれ独自の経理、購買、人事といった部門を運営する代わりに、防衛ビジネス・サービス(DBS)部門が提供する中央共有サービス・モデルを運営しています。

DBSは、専門家スタッフや適切に設計されたビジネス・プロセスだけでなく、基盤となるテクノロジーも含めて、これらのサービスをエンドツーエンドで提供する責任を担っています。長年にわたり、DBSの任務が拡大するにつれて、大規模なエンタープライズ・アプリケーションやデータベースから、小規模なカスタム・メイドのツールやスプレッドシートに至るまで、多くの異種のITシステムとデータ・ソースを国防省内のさまざまな機関から引き継ぎました。

DBSチームはこの複雑さを管理することにすべての時間を奪われつつあり、保守の負担のために、サービスを改善することが困難になってきました。同組織は、より近代的で効率的な運営モデルへの移行を望んでいました。そのためには、ITを取り巻く環境の標準化と収束が、所有コストの削減、保守の軽減、ビジネス・リスクの低減に役立つ重要な第一歩であることを認識していました。

「DBSは、さまざまな理由からシステム環境の簡素化を検討しています」とDBSのCIO Finance& Commercial LeadであるJames Courtney-Holt氏は説明します。「これにより、中核となるOracleとIBM Cognosのソフトウェアを最大限に活用し、DBSのリソースを有効に活用できるようになります。また、社内のDBSチームは、システムのサポートと変更に対して全責任を負えるようになります。そして、将来的なクラウド・サービスへの移行に備えることができます。

よりスマートな共有サービス

 

よりスマートな共有サービスは、国防省が19万人の軍人をサポートするのを支援しています

レガシー・システムからエンタープライズ・システムへの移行

 

新しいプラットフォームは、4つのレガシー・システムを1 つのエンタープライズ・アプリケーションに置き換えます

[システム環境の簡素化により、]社内DBSチームがシステムのサポートと変更に全責任を負えるようになります。これにより、将来的なクラウド・サービスへの移行に備えることができます。 James Courtney-Holt氏 CIO Finance & Commercial Lead, Defence Business Services Ministry of Defence
ITを再考してビジネス・サービスを合理化

DBSは、システム環境を合理化し、新たな効率性を推進するために、複数年にわたる大規模な取り組みを開始しました。DBSは、IBM® ConsultingとDeloitteの支援を受けて、ITの3つの主要な分野を変革することを目指しました。その3つとは、契約・購買・財務(CP&F)プロセスをサポートするエンタープライズ・アプリケーション、計画・予算編成・予測(PB&F)をサポートする財務システム、MoD全体のユーザーに経営情報(MI)を提供するデータベースと分析ツールです。

契約・購買・財務

DBSは、商業および財務プロセスの効率を高めるため、多数の個別のシステムを、エンドツーエンドのワークフロー全体を処理する単一のOracle eBusiness Suiteアプリケーションに置き換えることを決定しました。DBS、IBM、Deloitte、およびその他のMoD部門で構成される共同チームは、4回のメジャー・リリースにわたって緊密に協力し、新しいシステムにシームレスな調達から支払いまでのサイクルを実装しました。さらに、契約管理のための追加機能と、多くの英国政府省庁で採用されている新しいサプライヤー・カタログであるGovernment eMarketplace(GeM)との統合機能を追加して、システムを強化しました。

CP&Fを単一のシステムに移行することで、DBSは既存の3つのERPプラットフォームと、多数の小規模な補助システムおよび手動プロセスを廃止することができました。これにより、システムの保守が根本的に簡素化され、運用コストが削減されるとともに、DBSスタッフはサービス品質の向上と新機能の開発に集中する時間を確保できるようになりました。また、このプロジェクトはデータ・クレンジングの機会も提供し、データ品質が大幅に改善されたことで、意思決定者はシステムにより大きな信頼を寄せるようになりました。

計画・予算編成・予測

数年前、DBSはサポート終了を迎えた事業計画システムを、IBMソフトウェアをベースとした新しいプラットフォームに置き換えました。それ以来、DBSとIBMの両チームは、 IBM® Planning Analyticsソフトウェアの最新バージョンへの最近のアップグレードを含め、機能強化のためのアップグレードを数回行ってきました。現在、PB&Fソリューションは、現会計年度の予算と予測の年度内管理と、長期計画のための10年間を視野に入れた年次予算編成サイクルの両方をサポートしています。

計画や予測データに加え、システムには現在の財務データも含まれており、ユーザーは予想と実績の差異を分析することができます。DBSは、組織のさまざまなレベルのユーザーがこのデータを活用できるよう、さまざまなツールへのアクセスを提供します。それは、部門マネージャーが予算データを提供するためのワークフローから、財務チームのパワーユーザー向けの強力なスプレッドシート統合分析ツールまで、多岐にわたります。

経営情報

これらのプロジェクトと並行して、DBSは、会計業務、CP&Fシステム、PB&Fプラットフォーム、その他複数のデータソースからデータを収集し、経営情報のための集中型データ・ウェアハウスを構築しました。

IBM® Cognos Analyticsソリューションを使用することで、ユーザーは財務および業務情報にアクセスして視覚化し、部門横断的なデータに関するレポートを自動的に作成することができます。このプラットフォームはデータのサイロ化を解消し、スプレッドシート・ベースの手動レポートの必要性を排除するため、省全体のアナリストの時間の節約につながります。

MoDの意思決定者は、適切に管理されたソース・システムから堅牢に制御されたデータを提供するデータ・ウェアハウスをますます信頼するようになっています。これにより、部門が独自の数値を管理する必要性が減り、一貫性のある正確な情報に基づいて意思決定が行われるようになります。

「私たちは財務および商業分析機能を拡張したいと考えています」とCourtney-Holt氏は言います。「今後12カ月以内に、人事、給与、プロジェクトのデータを含むウェアハウスを拡張する予定です。また、APIを介して他の防衛MIシステムとデータを共有し、DBSのデータが最終的にどこで利用されるとしても、『信頼できる唯一の情報源』として当社のウェアハウスから取得されるようにすることも検討しています。」

DBSとIBMチームの関係は、当社の成功において非常に重要でした。DBSとIBMの双方が戦略的パートナーシップとしてこれを実現できたことを嬉しく思います。 James Courtney-Holt氏 CIO Finance & Commercial Lead, Defence Business Services Ministry of Defence
困難な時期に価値を提供

DBSの変革イニシアチブの直近の段階は、新型コロナウイルス感染症の危機の最中に実行されました。英国の最初のロックダウン中には、プロジェクト・チーム全体が在宅勤務に切り替える必要があり、システムへのアクセスに関して課題が生じました。それにもかかわらず、DBS、IBM、Deloitteの共同チームの柔軟性と献身的な努力のおかげで、プロジェクトが勢いを失うことはありませんでした。DBSはすべての主要業績目標を達成し続け、新しいソフトウェアと機能の各リリースを予定どおりに提供してきました。

「DBSとIBMチームの関係は、私たちの成功にとって本当に重要でした」とCourtney-Holt氏は述べます。「プロジェクト単位で仕事をしていても、私たちが達成しようとしているより広範で長期的な目標を見失うことはありませんでした。DBSのリソースが私たちが実現した変化において十分な役割を果たすよう、共同作業を採用してきました。DBSとIBMの双方が戦略的パートナーシップとしてこれを実現できたことを嬉しく思います。」

結果として、IT管理と保守の大幅な節約に加えて、システムのパフォーマンスと可用性が向上し、報告されるインシデントの数と計画外のダウンタイムが減少しました。安定性の向上により、DBSスタッフがITの問題の解決に費やす時間が減り、既存のサービスの強化や新機能の開発のための時間をより多く確保できるようになりました。

「これまで、私たちはシステムの長期的な持続可能性を犠牲にして変化を追求するという間違いを犯してきました」とCourtney-Holt氏は言います。「定期的なシステム・アップグレードと市販機能の活用を重視した「エバーグリーン」アプローチへの移行により、お客様が活用できるより強固な基盤が提供され、主要なOracleおよびCognosシステムへの投資が最大化されます。」

MoDのロゴ
英国国防省について

国防省外部リンクは、英国政府の中で最大かつ最も重要な部局の1つであり、19万人以上の軍人と5万8,000人以上の文民職員を雇用しています。国内外の英国国民、領土、価値観、権益を守ることで、国家の安全と繁栄を維持し、世界的な影響力を維持するために活動しています。

次のステップ
Freedom Powersportsは、事業全体の財務要因に関するタイムリーな洞察で成長を促進します Gov Facility Services Ltdは、OracleとIBM Consultingの協力により、わずか3カ月でHer Majesty’s Prisons(イギリス刑務所)の財務管理を保護しました Raymond Chabot Grant Thorntonは、クラウドへの移行により、成長に対応しています
法務

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2021年3月、米国で作成。

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