イタリアのMax Mara Fashion Groupは、「プレタポルテ」の概念を取り入れたファッション企業のパイオニアであり、その先駆的なスタイルは世界のファッション市場で際立った存在感を示してきました。幅広いブランドで数多くのお客様に高品質のファッションをお届けすることに注力した同社のビジネス・モデルは、今日でも変わらぬ成功をおさめています。

そもそもファッション業界で活躍するMax Mara社にとって、顧客との関係を維持してブランド・イメージを守るためには、移り変わるトレンドと顧客の好みから目を離さないことは「de rigueur(必須条件)」です。これはデザイナーや製品の管理者など、最適な製品ミックスを市場に投入することに注力している人たちには欠かせない仕事です。

しかしMax Mara社のビジネス・モデルには、顧客をリピーターにするために不可欠なもう1つの要素があります。同社では顧客に満足していただける購入体験を、10種のブランドのすべてのウェブサイトに加えて、世界中の2300件を超える実店舗でも実現しています。デジタル化とオムニチャネル・マーケティングを活用したことが、同社のビジネスに大きな影響をもたらしました。

他の多くの企業と同様、Max Mara社にとってもパンデミックの到来は一大事であり、その結果生じた購入行動の変化によって、すでに進行中であったデジタル・トランスフォーメーションが加速されました。実際、パンデミック期間中には事業全体においてデジタル取引が占める割合は3倍近くになりました。この劇的な増加を受けて、デジタル・トランスフォーメーション・ジャーニーの初期に設立されたMax Mara社のデジタル・オペレーション部門は、バックエンド・オペレーションの効率化が顧客満足度にこれまで以上に大きな影響を持つことを認識しました。

「プロセス改善のポイントを示す”ヒート・マップ”をイメージしてみましょう、この中で当社にとってレッド・ゾーンとなるのは、OTC(Order-to-Cash)サイクルです。すなわち注文処理からフルフィルメント、支払いサービスや顧客サービスといった一連のサイクルです」とMax Mara社のデジタル・オペレーション責任者は説明しています。「そして、当社の売上が急増する繁忙期(通常は7 月と12月)に、このレッド・ゾーンはさらに赤みを増します」

一連の販売プロセスのうち、特に商品の回収・梱包・配送などの倉庫関連の作業に問題があると、多くのボトルネックが発生します。プロセスを改善する様々な方法を検討する中で、Max Mara社のデジタル・オペレーション・チームは従来型のプロセス再設計アプローチを見直すことにしました。このアプローチでは、ビジネス・アナリストやプロセス所有者、さらにその他のステークホルダーからの情報を参考としたビジネス・インテリジェンス(BI)システムとフロントラインの洞察システムにより、プロセス・フローの根本にある問題に対処していました。

同チームはこの方法をプロセス最適化に必要には違いないと見る一方で、それだけでは不十分であることを認識していました。「BIシステムはプロセスの問題の症状を指摘する点では価値がありますが、問題解決に重要な根本的な原因を診断する機能はありません」と、デジタル・オペレーション責任者は説明しています。Max Mara社が求めていたのは、確かなデータに基づいてターゲットを絞ったアクションを実行する能力です。具体的には、特定の倉庫の人員配置パターンや物流業者の配送業務などで最適化されていないプロセスを正確に指摘するだけでなく、特定のプロセスの変更(プロセス・フローの修正や自動化など)が主要な業務のマトリクスにどのように影響を与えるかをデータドリブンで予測する能力です。

しかしデジタル・オペレーション・チームは、Max Mara社のデジタル・オペレーションが非常に複雑であるために、このようなデータドリブンのビジョンを得ることが困難であることを認識していました。「当社は世界中で商品を販売しています。注文プロセスの”フロントエンド”はかなり標準化されていますが、プロセス・スタックの最下層付近で行われている物理的なプロセス・フローを見てみると、国によってかなり異なっています。ERP やCRMなどのサポート・システムも同様で、現地のニーズに合わせてかなりカスタマイズされています」と、デジタル・オペレーションのリーダーは説明します。

人手によるアプローチとの比較で、カスタマー・サービスの解決までの時間が

90%

短縮

ボトルネックの解消により、問題解決ごとの平均コストが最大で

46%

削減

プロセス・マイニングによりOrder-to-Cashプロセスを改善

Max Mara社はOrder-to-Cash(OTC)プロセスを改善するにあたって、問題が発生した場所だけでなく、どのような修正が最も高いROIをもたらすかを、迅速かつ正確に特定する必要があると認識していました。デジタル・オペレーション・チームはそのための適切なアプローチとして、高度なプロセス・ディスカバリー・ツールに目をつけました。具体的には、実装の柔軟性と強力できめ細かいプロセス・モデリング機能を組み合わせたプロセス・ディスカバリー・ツールを求めていたのです。

多くのツールを検討した結果、IBM® Process Miningソリューションが採択されました。チームはこのソリューションを、「データドリブンのプロセスを最も包括的に最適化する基盤」と評価しています。

ウェアハウスで棚卸をするマネージャーとスーパーバイザー

現在こうした取り組みは、8か月にわたるIBM Process Miningの実装の一環として設立された、プロセス最適化コンピテンス・センターによって実行されています。「こちらのセンターはビジネス・ニーズに応じた技術的なソリューションを提供するだけでなく、ビジネス、実装パートナー、さらに当社の社内ITインフラストラクチャーの間で行われる実装分析を調整する中心的な組織です」とセンターの責任者は説明しています。「コンピテンシー・センターは、プロセス・マイニング・プロジェクトで重要な役割を果たしています」センターのビジネス・アナリストは、「当社のビジネス・サイドと共同で、複雑なマルチソフトウェアやマルチデータ・ソースのシナリオ全体から、当社の既存のOrder-to-Cashフローを詳細に分析しました」と話しています。

このレビューから得られる質的な洞察は、プロセス再設計の取り組みの方向性を定義するものとして重要です。ただしフローに変更を加える場合でも自動化する場合でも、最終的にプロセスを決定するには、プロセスそのものから得られる実際の実用的なデータが必要です。IBM Process Miningソリューションを活用すれば、このギャップを解消できます。「プロセスに関連した意思決定はROIに基づいて下す必要があるため、その意思決定を支えるデータとプロセスのディスカバリー・モデルが優れていることは絶対条件です。IBM Process Miningのアルゴリズムの強みは、アクションを取るべきプロセスと、そのアクションのビジネス・ケースを確実に決定できることです」と、デジタル・オペレーション責任者は述べています。

例えば、特定の地域での発注リード・タイムが他よりも長いことが判明し、倉庫での回収・梱包フローがその根本原因と考えられる場合について考えてみます。CoEチームのメンバーはこれに関連したERP、CRM、その他のデータをIBM Process Miningモデルで実行することにより、その仮説が正しいことを裏付けられるだけでなく、問題を複雑にしている予期せぬプロセスへの影響までも特定できます。「一部のケースでは、プロセスの逸脱によりボトルネックが発生していたことが分かりました」と、デジタル・オペレーション・リードは述べます。「それよりも驚いたのは、作業フローが非常に複雑であることに加えて、実際にウェアハウスで”すべて想定通り”のプロセス・フローに従って行われた注文がごく僅かしかなかったことでした。しかしここで得られたデータドリブンの洞察により、より適切で効果的な問題解決策を設計できるようになりました」

ROIを最大化するスマートな自動意思決定

適切なプロセス変更を行うには、その変更が実装されるとどのような影響が出るかを事前に知ることが重要になります。IBM Process Miningソリューションに組み込まれたシミュレーション機能を使用すれば、プロセス設計者はリード・タイムやスタッフ配置などの主要なメトリックという観点から、変更の影響を受ける可能性があるかどうかをテストできます。さらにこのモデルは高精度の自己完結型であるため、特定の変更により予期せぬ影響が出る可能性も明らかにできます。「IBM Process Miningのダイナミック・モデリングを活用したところ、フロー中のある1点でのボトルネックを解決すると、他の地点で別のボトルネックが発生することがわかりました。こうした悪影響を排除すべく、より包括的なアプローチを取ることでプロセスの最適化に成功しました」とデジタル・オペレーションのリーダーは述べています。

興味深いケースをご紹介しましょう。お客さまからのアフター・サポートの問い合わせを処理するプロセスについて、いくつか改善案が出されていました。デジタル・オペレーション・チームは、この改善を施した場合に、売り上げがシーズン中のピークに到達するいわゆる「高負荷」時に、ボトルネックにどのように影響するかを知りたいと考えていました。IBM Process Miningを使用したところ、プロセス・フローの中で自動化に最適な反復処理をついに特定できました。主要なプロセス・フロー・セグメントの自動化も含めた様々な改善案をシミュレートしてみたところ、カスタマー・サービスの問題解決までの時間を最大90%削減し、問題の解決ごとにかかる平均コストを46%削減することを実証できました。

現在、Max Mara社はプロセス自動化の初期段階にいますが、デジタル・オペレーション責任者は近い将来に同社のデジタル・オペレーション戦略がよりいっそう重要な要素となると確信しています。さらにIBM Process Miningが同社のジャーニーを達成する上で不可欠なツールと見ています。「お客様が期待する高品質のデジタル・エクスペリエンスをお届けするためには、プロセス自動化への戦略的投資が重要です。IBM Process Miningの強力なツールにより、どのプロセスを自動化することでお客様と当社の今後のビジネスの双方に最良の結果をもたらすかを特定することができました」

コンピテンシー・センターのリードは、「このプロジェクトが目覚ましい成果を挙げれば、世界各地の当社の事業部門におけるデジタル・オペレーション戦略の最初の一歩になると信じています」と賛同しています。

Max Mara Fashion Groupのロゴ

Max Mara Fashion Groupについて

イタリアのレッジョ・エミリアを拠点とするMax Mara社(外部リンク)は、1951年に設立されたグローバル・ファッション企業です。従業員は5,500人以上で41社を有し、Max Mara社は105ヵ国で事業を展開しています。ファミリー企業である同社は、プレタポルテの洋服に焦点を当てたファッション企業の先駆けです。現在、同社は世界中で10種のブランドを運営しています。

製品・サービス
IBM® Process Mining

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2022年10月

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