Business Challenge story

1年半という短期間での異機種環境のシステム統合が必須

NKSJひまわり生命は、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命の両社による相乗効果を発揮し経営の効率化を図るため、持続的な成長が可能なシステム基盤を早期に構築する必要がありました。

「合併作業そのものを短い期間で終える必要がありました。また、生命保険は契約期間が長いという特長があるため、お客様や契約の情報を長期にわたって確実に保持することが必要です。 このため、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命が使っていたシステムを併存させることが基本的な考えとなりました」。NKSJひまわり生命 情報システム部長である奥居裕明氏は、合併によるシステムのあり方をこのように話します。

しかし、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命が使っていたシステムは、ベンダーが異なっていたり、それぞれでオープンシステムの環境が利用されていたりと、さまざまな環境が混在していました。さらに、新会社での事務処理等の機能の追加や変更を行いつつ、すでにどちらかの会社と契約されているお客様からの新たな契約に対応するため、両社の保険金額を合算して各種処理を行う「通算処理」の確保も必要でした。2010年3月31日の合併発表から2011年10月1日の合併予定までの短期間に異機種環境のシステムを統合することが、NKSJひまわり生命情報システム部の命題になりました。

Transformation

SOA基盤によるシステム統合を実現するため、実績あるIBM WebSphere Message Brokerを採用

NKSJひまわり生命は、1年半という短期間での異機種環境のシステム統合を達成するため、サービス指向アーキテクチャー(以下、SOA)の手法を利用することにしました。その理由の1つは、合併発表前から日本興亜生命がSOAによる環境構築を計画していたことです。NKSJひまわり生命 情報システム部 部長の並河健一郎氏は、次のように話します。

「他のシステムと同じように生命保険に関するシステムも老朽化していくため、ライフサイクルがあります。しかし、現在はこれまでのようにシステム全体を一から再構築する時代ではありません。既存のホストコンピューター環境とオープン系サーバー環境をSOAで連携しながら、必要に応じてシステムを機能ごとに切り替えていくべきです。このように考えて動き出していたときに合併の発表がありました。このため、SOAの考え方を合併後のシステム統合に取り入れることにしました」

生命保険会社のシステムは、新規契約、支払、照会、入金といったサービス単位で処理が構成されます。それぞれ必要なサービスでSOA連携したため、既存システムのアプリケーションにほとんど手を加える必要がありません。今回の合併による異機種環境のシステム統合にはSOAが最適な方法だと判断されました。

SOA基盤を構築するためNKSJひまわり生命は、IBM WebSphere Message Brokerを採用しました。NKSJ ひまわり生命 情報システム部 IT基盤グループ リーダーの丸井亨氏は、その理由を語ります。

「まず、SOA基盤の構築に関してIBMは第一人者であり多くの実績があります。いくつかの他社製品を比較しましたが、IBM製品が最も実績があり安心して使えると思いました。また、合併前から損保ジャパンひまわり生命では、連携基盤にIBM WebSphere MQ(以下、MQ)が使われていました。このため、MQとのインターフェースを素早く作ることができるIBM WebSphere Message Brokerを導入することにしました。また、合併前に行われていた日本興亜生命での検討でIBMが大変親身になって提案を続け、その内容に信頼がおけたこともIBM製品を採用する理由の1つになりました」

しかし、SOAによる連携を「ブリッジ構成」ととらえている人たちを中心に、SOA基盤を使ったシステム統合を危惧する声や、オンライン処理ではSOAの使い勝手に問題はないだろうがバッチ処理でのレスポンスタイムが実用に耐えられないかもしれないと心配する声もありました。

「SOAはグローバルに活用されている拡張性のある仕様であり、一部の人たちが恐れるようなものではないと十分に理解していました。また、オンライン処理に加えてSOAでバッチ処理も行った例が国内にほとんどありませんでしたので、SOA基盤内に加えてホスト環境でのアプリケーション・インターフェース部分など、システム全体にわたってどの部分にどの程度の時間がかかっているかをミリ秒単位で調べました。そして、その内容を分析して、時間がかかっている個所での問題点を1つずつ解決していきました」(丸井氏)

このような既存の環境への最適化も行うことで、NKSJひまわり生命は、懸念された40万件に上るバッチ処理でのレスポンスタイムも実用に十分耐えるレベルまで引き上げることに成功しました。

「今回の合併は発表から実務開始までの期間がとても短かかった上に、金融機関の合併ということで、テスト期間を十分に確保しなければなりませんでした。また、ユーザー検証にも多くの時間を費やす必要がありました。そのような状況において、最初にシステムの基盤を構築しておかなければ検証ができません。レスポンスタイムに関する検証もかなり早い段階から計画を立てて実施してくれました。本当に早め早めにIT基盤グループが作業し、安定した性能を確保してくれました」(奥居氏)

Benefits

最適なパフォーマンスとメンテナンス性を備えたシステム環境を構築。大幅なコスト低減を実現

NKSJひまわり生命は、IBM WebSphere Message Brokerを使ったSOA基盤での異機種環境のシステム統合を2011年10月の合併時までに無事に完了しました。新たに稼働し始めたシステム環境は、システム全体にわたる最適化によって、金融機関で必要とされるパフォーマンスを十分に満たし、快適なレスポンスを提供しています。

アプリケーション開発を担当している、NKSJひまわり生命 情報システム部IT開発グループ 課長の藤本泰成氏は、SOA基盤によるシステム統合のメリットを次のように言います。

「当然インターフェースの部分は意識しなければなりませんが、SOA基盤上でもこれまでと同じような形でアプリケーションを呼び出せます。もちろん、期間が短かったためアプリケーション開発自体は大変でしたが、既存システムを相互改造する従来手法を採らなかったために対応労力は半減していたと思います」

また、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命の両社と契約している顧客の保険金限度額の状況を確認する通算処理もSOA基盤によって問題なく行えました。

「通算処理もすべてSOA基盤を使った仕組みを通して無事に行うことができました。しかも、オンライン処理とバッチ処理で別々の仕組みを作るのではなく同じ仕組みを使うことができました。2つの仕組みを個別に作ってしまうと、それぞれをメンテナンスしなければなりません。今回のSOA基盤を使ったシステム統合は、今後のメンテナンス性も保証しながら合併対応を進められるもので、これが非常に大きなメリットだと思います」(藤本氏)

今回のような既存機能を温存する対応の場合、IBM WebSphere Message Brokerを使用したプロジェクトでは、開発工数が手組みに比して半減するなど、生産性が高くなります。

「システム統合のために費やしたコストも従来の方法より大幅に低く抑えることができたと考えています」 (並河氏)

 

将来の展望

SOAによる拡張性に期待

今回構築されたSOA基盤は、NKSJひまわり生命にとって将来の拡張にも対応できるものになっています。

「今回のプロジェクトによって将来のシステム構築のベースとなる基盤ができました。今後、さまざまなシステムや機能が必要になったとしても、それに応じて新たな基盤を作るのではなく、SOA基盤につなぐだけで新会社の基幹システムを利用することができます。コストや開発期間の面で非常に拡張性があり、扱いやすくなっていると思います」(丸井氏)

並河氏や奥居氏も、今回構築したSOA基盤の可能性に大きな期待を寄せています。

「世の中の動きが非常に速く、会社に求められるさまざまな要求や技術革新に対して、既存システムの保守効率を犠牲にせずに、迅速かつ低コストで対応する必要があります。このため、その都度新しい基盤やアプリケーションを一から開発して時間とコストをかけたり、既存システムに手を加えて保守性を落としたりすることなく、既存の機能を活用して必要最低限の開発で柔軟に対応していくことが大切です。今回の合併対応の結果として、さまざまなデバイスやシステムとのタイムリーな連携が短期間かつ低コストでできるベースが確立できたと思います」(並河氏)

「今後は、新会社でのお客様をいかに増やしていくかが大命題になります。世の中のさまざまなものが変わってきている中でお客様サービスをどのようなものにしていくかを考えたときに、今回のSOA基盤の構築は1つのキーになると思います。NKSJグループを含めて、今回のようなブリッジ基盤を最大限に生かしていくことを考えています」(奥居氏)

 

お客様情報

NKSJひまわり生命保険株式会社は、2011年10月1日に損保ジャパンひまわり生命保険株式会社と日本興亜生命保険株式会社が合併して誕生した会社です。同社は、「お客様視点で全ての価値判断を行い、お客様に最高品質の安心とサービスをご提供し、社会に貢献すること」を経営ビジョンの中心に据え、合併前の両社が築き上げた販売チャネル、マーケットの特色や強みを生かし、合併効果の早期実現を目指しています。

 

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