ビジネス上の課題
革新的な公共サービスのリーダーであるレッドブリッジ・ロンドン特別区は、ゴミ収集に関する住民とのコミュニケーションを簡素化したいと考えていました。
概要と経緯
この特別区はAIを活用したチャットボットを立ち上げました。このチャットボットは簡単な質問に答えることができ、ユーザーは休日のゴミ収集日がいつに予定されているかを知ることができました。
成果
電話の本数が25%減少
スケジュールの変更に関する情報は住民により良く提供効率性の向上
ゴミの清掃に効率的に取り組み、実行するスタッフには情報をより良く提供最大95%の満足度
クリスマス期間中のチャットボットのユーザーの満足度ビジネス上の課題の詳細
大忙しの休暇シーズン
多くの公園とオープン・スペースが自慢のレッドブリッジ・ロンドン特別区は、グレーター・ロンドン地域で最も緑豊かな地域の1つとして認識されています。さらにこの数年間で、この特別区は革新と市民生活の向上で評判を高めてきました。
「私たちは、コミュニティーの変化を推進し、住民のために物事を成し遂げることに重点を置いています」と、レッドブリッジ・ロンドン特別区の変革責任者Emeran Saigol氏は説明します。「私たちは小規模の問題を調べていました、つまり私たちだけで対処できる問題や、お客様に直接的な影響を与える可能性のある問題です。私たちがコンタクト・センターに注目したのは、まさにその時でした」
毎年、クリスマス休暇後の数週間、センターではゴミ収集に関する電話の本数が急増していました。この時期には収集されるゴミとリサイクル用品の量が著しく増加していることもあり、特別区は収集活動の頻度を増やすことを余儀なくされ、住宅地の集荷日がしばしば変更されました。
「住民は『うちのゴミはいつ持っていってもらえるの?』と電話してきます」と Saigol氏は付け加えます。「私たちはコンタクト・センターに寄せられるクレームをなくしたいと思っていましたが、クリスマスのゴミ収集の収集スケジュールは17日後に開始される予定でした。私たちには大至急良いアイデアが必要でした。クリスマス休暇の5日後に稼働するソリューションでは、何も意味がありませんから」
“ EscalateAI社とWatsonのおかげで、私たちはデータの傾向を先取りし、データに比例した要求が起きるはるか前の段階から事前対応的に行動できます。 ”
— Emeran Saigol氏, 変革の責任者, レッドブリッジ・ロンドン特別区
概要と経緯の詳細
まさにゴミ
特別区は迅速に行動し、IBMビジネス・パートナーのEscalateAI社と協力して、ゴミ収集に関する一般市民の質問に答えることができるAIベースのチャットボットを開発しました。
さらに、EscalateAI社のマネージング・ディレクターChris Patterson氏は次のように語ります。「"Christmas Bin Collection Date Bot"は言いづらいので、"Binbot"と名付けました。このBinbotですが、1月にクリスマス用Binbotを用意してもほぼ無意味ですから、クリスマスまでに完了するよう積極的に行動する必要がありました。最初に計画に関する話し合いをした時から実現までの期間は、わずか2週間でした」
IBM Watson Assistantのソリューションを使用して構築されたBinbotにより、レッドブリッジ地区の市民は収集スケジュールに関する質問をすることができます。また、IBM Watson Tone Analyzerテクノロジーのおかげで、チャットボットは会話をモニタリングし、会話のトーンや回答の信頼度に応じて、コール・センターの担当者にエスカレーションすることができます。
「チャットボットは簡単な質問に適しています」とPatterson氏は説明します。「しかし、感情の昂りや困難が発生した場合、つまりユーザーが動揺したり非常に複雑な質問をした場合は、すぐに人間のエージェントに交代する必要があります」
Binbotの成功はすぐに衆目を集めるところとなり、同地区はWatson™テクノロジーを使用して他にもレッドブリッジの美しさを保護できるものはないかと検討を始めました。「政治的な話になりますが、きれいな通りの実現は自治体にとっても大きな議題の1つです」とSaigol氏は言います。「実際、ゴミ収集日が変更されると、大変な数の問い合わせが議会に寄せられるのです。しかし住民が収集日を確実に見つけられるようにすることで、私たちはきれいな地区と住民の安心を両立できます」
Patterson氏はさらに付け加えて、「当たり前な話ですが、玄関の外に未回収のゴミがあるのを誰が望むのでしょう?」
EscalateAI社は、Binbotのソリューションで事業を拡げ、IBM Watson Visual Recognitionのオファリングを利用して、新しいビジュアル分析コンポーネントをツールに追加しました。チームは、3,000枚を超えるゴミの画像を使用してソリューションをトレーニングし、一般的に投棄されているアイテムを特定できるようにしました。現在、住民は携帯電話を使用して、不適切に放置されたマットレスやばらばらになったゴミ袋、放棄された車両など、公共の場のゴミの写真を撮り、チャットボットを介して画像をアップロードして区に通知できます。
“ 私たちはボットにフィードバック・システムを組み込みました。95%のフィードバックは素晴らしいものだったと言えるでしょう。『ファンタスティックな仕事。素晴らしいボット!』とまで言ってもらえました。 ”
— Chris Patterson氏, 常務取締役, IBMビジネス・パートナーEscalateAI社
成果の詳細
ナイスに整然と
「私たちにとって本当に重要なのは、価格とアウトプットです」とSaigol氏は説明します。「予算が非常に逼迫している地方自治体が新しいタイプのテクノロジーに取り組むためには、結果を示す必要があります。幸いなことに、このソリューションはそれができたのです」
同氏は続けてこう説明します。「コンタクト・センターでは、前年のクリスマス期間と比較して、電話の数が25%減少しました。そしてある日、チャットボットは約1,600もの会話を処理したのです。このレベルのエンゲージメントであれば、効率が向上し、長期的にはコストを節約できる可能性があります」
一般の人々も、Binbotとの対話に満足しているようです。「フィードバック・システムをボットに組み込みました」とPatterson氏は付言します。「フィードバックの約95%は素晴らしいものだったと言えるでしょう。『ファンタスティックな仕事だ。素晴らしいボットだよ!』とまで言ってもらえました。
クリスマス・シーズンを過ぎても、ゴミの視覚化コンポーネントにより道路は清潔に保たれ、特別区は市民のニーズにより迅速に対応しています。
「以前は、ゴミが投棄されてから5、6日経ってから、ようやく人伝えに報告があがってきていました」とSaigol氏は付言します。「しかし今では、市民は街の状況をはるかに簡単に伝えられます。これにより、処分チームの日々の業務計画をインテリジェントに立てられるようになりました。EscalateAI社とWatsonのおかげで、私たちはデータの傾向を先取りし、データに比例した要求が起きるはるか前の段階から事前対応的に行動できます」

レッドブリッジ・ロンドン特別区
レッドブリッジ・ロンドン特別区(ibm.com外部へのリンク)は、行政機能をイルフォードのレッドブリッジ・タウン・ホールに置き、大人と子供のソーシャル ケア、再生、駐車場、ゴミ収集、公園管理など数多くの公共サービスを監督しています。現在、この区には305,000を超える住民が居住しています。
EscalateAI社について
2018年に設立されたEscalateAI社は、IBMビジネス・パートナーであり、EscalateAIのプラットフォームを介して人間のサポート・スタッフをシームレスに統合する、カスタマイズされたチャットボット・ソリューションを開発しています。同社は英国のロンドンに本社を置き、フィリピンのマニラに開発施設を保持しています。
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この記事に掲載されているIBMソリューションの詳細については、IBM担当員またはIBMビジネス・パートナーにお問い合わせください。
チャットボット・ソリューションとEscalateAIができることの詳細については、次のサイトにアクセスしてください。EscalateAI社