銀行で行くか、保険で行くか。ほとんどの金融機関は、銀行事業と保険事業の両方ではなく、どちらか一方のみを営んでいます。両者のビジネス・モデル、リスク、規制要件は異なるからです。ただし例外もあります。その1つが、スウェーデンのLänsförsäkringar AB社です。
「当社はこれまで25年にわたって、銀行事業と保険事業の両方を手がけてきました」と、Länsförsäkringar AB社でグループ事業管理責任者を務めるPeter Ivert氏は言います。
Länsförsäkringar AB社は、銀行事業と保険事業を管理する本部機能やその他の共同の職務を、地域別の23社の相互保険会社で構成されるLänsförsäkringar Allianceというアライアンス向けに運営しています。アライアンスの加盟各社は、Länsförsäkringar(地域保険の意)という共通のブランド名のもとで独立して事業を展開し、地方銀行、保険、年金、不動産仲介のサービスを、支店を通じて提供しています。
Länsförsäkringar AB社は、アライアンス向けの事業を展開するために、急速な拡大で複数の企業を傘下に収めていました。例えば、同国屈指の大手銀行であるLänsförsäkringar Bank社や、大手生命保険会社のLänsförsäkringar Liv社などがあります。
このように大規模で多様性がある組織が財務面で長期的な成功を収めるためには、すべての部門と支店の事業コストについて、部門長や支店長といったマネージャーの責任を強化する必要があります。しかしLänsförsäkringar AB社の急拡大に伴って、従来のファイナンシャル・プランニングやレポーティングのソリューションでは、全社規模のデータの正確性や可視性を確保できなくなっていました。
「グループのレベルで見ても、根本的に異なる事業間で見ても、コストや実績を把握する共通の手段がありませんでした」とIvert氏は言います。
あわせて同社は、各マネージャーが自らの管理下の事業に関するデータを視覚化して分析できるよう、ユーザー・フレンドリーなインターフェースを備えた、それまでより柔軟なツールを必要としていました。「『コストがこの額になった理由は何か』『コスト削減のために何ができるか』という問いについて、マネージャーが自ら結論を導き出せるようにする必要がありました」とIvert氏は言います。
プランニング・サイクルを年間10回に増やすことで長期的な予測の精度を向上
マネージャーの関与を強化することでコストの抑制と顧客価値の創造を実現
Länsförsäkringar AB社は、アライアンスの加盟企業がより効率的に顧客価値を追求できるよう、AIを浸透させたエンタープライズ対応の新世代の財務ツールの導入を検討しました。同社は数年にわたってCognos Business Intelligenceとパフォーマンス管理ソリューションのメリットを享受していたことから、経営陣は最新のCognos Platformへのアップグレードを決めました。
IBMビジネス・パートナーのAttollo AB社の協力のもとで、Länsförsäkringar AB社はまず、全社的な計画、予算編成、予測のためにIBM Planning Analyticsソリューションを導入しました。オンプレミスのシステムを使用して、高品質のパフォーマンス・データを単一のソースとして維持しています。このデータは総勘定元帳および人事アプリケーションから取得し、使いやすいダッシュボードからアクセスします。また同社は、ソリューションの自動化とインテリジェンスを活用して、要因ベースの堅牢なモデルを構築し、マネージャーの関与を徹底させるように財務プロセスを変革しました。
Attollo社は、データの準備、分析、視覚化のための新しいIBM Cognos Analyticsソリューションの設計も支援しています。「Attollo社は当社の取り組みで重要な役割を果たしている導入パートナーです。当社はAttollo社の支援のもとで、Planning Analyticsシステムを構築し、当社のニーズに適応させています。またAttollo社は現在、このシステムの開発経験をCognos Analyticsの導入の迅速化に活用しています」とIvert氏は言います。
Länsförsäkringar AB社が競合他社のソリューションではなくCognos Analyticsを採用した要因はいくつかあります。「私たちは使いやすさを非常に高く評価しました」とグループ事業管理担当のChristoffer Zielfelt氏は言います。「また、強力に一体化されている包括的なエンタープライズ・レポート・プラットフォームという点もあります」
このソリューションを展開すると、マネージャーなどの意思決定者は、セルフサービスのダッシュボード機能を使用して、インタラクティブなチャート、グラフ、テーブルを素早く作成できます。また、ドリルダウンやドリルアップでさらなるインサイトを抽出できるほか、カスタマイズしたレポートを生成することや、AI搭載のチャットボットに推奨を尋ねることもできます。
この新しいCognosソリューションは、決算、統合、レポート作成用として同社が長年利用してきたIBM Cognos Controllerを補完する存在です。これにより、社内の複雑なビジネス・ニーズへの対応を強化できるのに加え、政府や業界が定めた複数の規制要件への準拠を効率化できます。
マネージャーたちは会社全体でPlanning Analyticsの新しいツールを前向きに受け入れています。「わかりやすく透明性が高いインターフェースを構築しました。非常に肯定的なフィードバックが得られています」とIvert氏は言います。
またZielfelt氏は、ソリューションの設計と開発の段階でユーザーの意見を集めておけば、ユーザーの満足度は確実に高まると言います。「システムをリリースするときよりも、システムを構築しているときに受け入れてもらうほうがずっと簡単です。だから私たちは、こうしたプロジェクトに人々を巻き込み、全面的に受け入れてもらっています」
マネージャーは、新しいツールとプロセスを活用して、予算の予測をこれまでより詳細、正確、迅速に作成できます。この結果、Länsförsäkringar AB社は計画サイクルの頻度を年2回から10回に増やし、グループ・レベルと事業レベルで情報に基づく意思決定を強化できるようになりました。究極的には、質の高い長期予測や、競争力の高いコスト構造の維持、Länsförsäkringarの顧客のための新商品開発への資金投入が可能になります。
Länsförsäkringar AB社の首脳陣は今後、IBMのソリューション同士の連携をいっそう緊密にして、さらなるメリットが得られることを期待しています。「同じスイートのツールを利用することは大きな強みです」とZielfelt氏は話しています。
スウェーデンのストックホルムに本社を置くLänsförsäkringar AB社(ibm.com外部へのリンク)は、銀行、生命保険、年金保険、および一部の損害保険の各事業を、相互保険会社で構成されるLänsförsäkringar Alliance向けに運営しています。また、スケール・メリットを生み出すための戦略的開発やその他の活動も管理しています。アライアンスの設立は1917年で、スウェーデン国内の128の支店を通じて、合計390万人の顧客にサービスを提供しています。
IBMビジネス・パートナーであるAttollo社(ibm.com外部へのリンク)は、ビジネス・インテリジェンス、企業パフォーマンス管理、高度な分析、およびデータ・ウェアハウスのソリューションを専門とするスウェーデンの企業です。顧客と長期的な関係を構築し、顧客のビジネスが最大の価値を生み出せるように支援します。設立は2007年で、ストックホルムの本社で約70名の従業員を擁しています。
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2021年4月
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