Business Challenge story

現場の分析担当者が使いこなせる分析ツールの導入が不可欠

従来、コールセンター業務に付随する分析は、顧客からの「電話履歴」やWebサイト上での行動履歴である「アクセス・ログ」など、クライアント企業内に蓄積されるさまざまなデータでした。しかし、現在ではFacebookやTwitterなどのソーシャル・メディアの利用者が急増して、ソーシャル・メディア上に一般消費者の生の声、あるいは「クチコミ」があふれています。そこで、マーケティングサイエンス研究所は、ソーシャル・メディア上に流れる、クライアント企業についてのさまざまな投稿やコメントを「外部データ」として収集し、クライアント企業の風評被害の防止などのために分析することにも対応しています。また、クライアント企業によっては、店舗などの販売現場において店員やセールスパーソンが記入する日報といったものも分析の対象とすることがあります。さらに必要に応じて基幹系の各種データとの統合も行うことで、顧客の購買行動、あるいは解約行動の要因を把握して予測分析モデルを構築、クロスセル・アップセルを通じた売上増加、あるいは解約防止などに役立てているのです。このような分析は、クライアント企業とのNDA(秘密保持契約)を前提として、個人情報の扱いに細心の注意を払って行っています。これは、クライアント企業の組織の実質的な一部門としてコールセンター業務などを受託運営している、もしもしホットラインだからこそ対応可能な分析だと言えます。

近年、コールセンター業務においては、データの分析や活用がますます重要で不可欠なものとなってきています。そこでマーケティングサイエンス研究所では、同研究所に所属する分析のエキスパートが、データ分析や活用業務を一手に引き受けるのではなく、各クライアント企業のコールセンターにも、それぞれ分析担当者を配置し、同研究所とともにデータの分析プロセスを考え、分析結果の活用に取り組める体制づくりに取り組んでいます。つまり、同研究所では、データの収集、分析、レポーティングをコールセンターの現場で的確に実行できる「コミュニケーション・デザイナー」という新たな職種を担う人材の育成も重要な役割の一つなのです。

しかし、この体制づくりを進める上での課題がありました。それは、まだ熟達したスキルを持たないコールセンターの分析担当者にも容易に使える分析ツールの導入です。従来利用していた分析ツールでは、初心者が使いこなすには難しい面があったのです。

Transformation

豊富な機能と使いやすいインターフェース、分析プロセスが可視化できるIBM SPSS製品導入を決定

同研究所では、従来の分析ツールに替わる新たな分析ツールを検討した結果、IBM SPSS製品の採用を決定しました。現在、IBM SPSS Statistics、IBM SPSS Modeler、IBM SPSS Amosを導入し、実務に活用しています。

マーケティングサイエンス研究所 シニアアナリストである橋本 久氏は、IBM SPSS製品について次のように語っています。

「以前のツールに引けを取らない、豊富な分析機能が標準装備されていることに加えて、使いやすいグラフィカルなインターフェースは初心者に優しい。IBM SPSS Modelerでは、ストリームを作成することで分析プロセスが可視化されるため、現場の分析担当者との協働作業が行いやすくなりました」

Benefits

マーケティングサイエンス研究所とコールセンターとの間で、分析についてのナレッジ共有が可能に

同研究所が対象とするデータは、「ビッグデータ」と呼ばれる大規模データです。しかも、アクセス・ログのように、データ・フォーマットが一定の「構造化データ」だけでなく、顧客の生の声(VOC)のような「非構造化データ」も扱います。こうした大量でかつ多様なデータは、やみくもに全データを投入して分析にかけても良い結果は得られません。分析、活用目的に応じて対象とすべきデータを見極めて抽出すること、また異常値や欠損値の補正など、分析の前段階としての「データ加工」をしっかりと行うことが求められます。こうしたデータ加工プロセスは、しばしば複雑なものになりますが、IBM SPSS Modelerでは、作成したストリームによって、データ加工の流れを視覚的に確認することができます。このため、現場の分析担当者にも理解しやすく、マーケティングサイエンス研究所のエキスパートとの間で、分析に関わるナレッジの共有が可能となったのです。現在、同研究所で、さまざまな分析目的に応じた標準的なストリームを作成していて、各クライアント企業のコールセンターの分析担当者は、その標準的なストリームをもとにカスタマイズを行うことで、分析業務の効率化も図られています。

既に、IBM SPSS製品による分析を通じて、具体的な成果も生まれています。ある化粧品ブランドのコールセンターでは、顧客の「解約阻止率」の向上に取り組みました。同化粧品の利用者から解約を求める電話がかかってきたとき、従来は、解約を思いとどまってもらうための定型の電話対応の台本を基本にして対応していました。しかし、顧客によって解約の理由はさまざまです。年齢や肌タイプなど顧客の属性の違いがあります。また、利用期間の長さや化粧品の使い方、化粧品に対する期待や目的などの違いもあります。日々、解約希望者と対話するオペレーターの頭の中には、こうした違いを踏まえてどのように対応すれば解約を防止できるかというノウハウがたまっていますが、あくまで「暗黙知」(経験や勘に基づく知識)にとどまっており、ほかのオペレーターとの共有はなされていませんでした。

マーケティングサイエンス研究所では、オペレーターのノウハウを聞き出し、利用者のさまざまな状況(属性、利用期間、利用方法、期待や目的、解約理由など)に応じて、どのような会話が解約阻止に有効であるかを「ベイジアンネットワークモデル」※1で解析。この解析結果から、顧客の状況に応じた最適なトーク展開方法を発見し、新たな電話対応の台本を開発しました。この台本はコールセンターの運用に供され、一定期間後に、再び解約阻止率を分析して検証し、台本の修正を行うというPDCAサイクル※2を繰り返したところ、取り組み前は10%であった解約阻止率が、現在は約30%まで向上する成果を収めています。これは、優れたオペレーターのノウハウを分析によって見える化・モデル化したことで、オペレーター全体のパフォーマンスの底上げに貢献したケースです。

 

将来の展望

経営貢献の視点から、コールセンターはより高度な機能と役割を担う存在に

IT技術の進歩とインターネットの浸透によって企業活動や消費者の生活のあらゆる局面から莫大な情報やデータが生み出されている今、コールセンターに期待される機能と役割も高度化しつつあります。これまではいかに効率的にコールセンターを運用するかが重視されてきましたが、最近では、新規顧客獲得や、既存顧客の育成、および解約防止を目的とするコミュニケーションを通じて利益を生み出すことにも、一定の貢献を果たすようになってきています。顧客を中心に据えた「顧客戦略」の中核を担うのがコールセンターという認識が高まっているわけですが、今後はさらに高いレベルで、「コールセンターがどのよう に経営に貢献できるのか」という視点で注目されています。

マーケティングサイエンス研究所 所長の久野 誠氏は、ここで大事になってくるのが、情報の戦略的活用であると述べます。

「まず、顧客戦略上、どのような目的を達成したいのか、そのために必要なデータは何か、そのデータはどうやって収集すれば良いのか、という目的起点での情報活用のアプローチが必要なのです」

従来のように、コールセンターに自然に蓄積されるデータを分析するだけでは、経営上の目的達成につながる知見や洞察を得ることは難しくなっています。電話、Webサイト、ソーシャル・メディア、そして店舗など、顧客との直接的なコミュニケーションを行うタッチポイントを代行するコールセンターは、顧客データを収集、蓄積、分析する最前線であることから、クライアント企業の経営全体を俯瞰しつつ、より効果的な顧客戦略の立案、実行に貢献できる戦略的なデータ活用を提案していくべきだと、もしもしホットラインでは考えています。

このような背景からマーケティングサイエンス研究所では、「サービス提供者」としての視点が強かった旧来のコールセンターの考え方に、「経営情報収集・分析者」としての視点も入れた新たなフレームワークを開発し、クライアント企業の顧客戦略のコンサルティングに用いています。

大量で多様、かつ迅速な分析と活用が求められる「ビッグデータ」を扱わざるを得ない、コールセンターを運営するもしもしホットラインにおいては、データ分析を行う、マーケティングサイエンス研究所、および現場のコミュニケーション・デザイナーの活躍がますます期待されています。

 

用語の説明

・ベイジアンネットワークモデル

※1 「原因」と「結果」の関係を複数組み合わせることによって、「原因」「結果」がお互いに影響を及ぼしながら発生する現象をネットワーク図と確率で可視化する手法

・PDCAサイクル

※2 1.Plan(計画)2.Do(実行)3.Check(評価)4.Action(改善)の4段階から成る業務管理プロセス

 

お客様情報

1987年設立。クライアント企業とその顧客との接点である「 コールセンター」、「インターネット」、「フィールド・オペレーション」という非対面・対面のコンタクトチャネルを最適に活用し、クライアント企業に対して「 営業・マーケティング支援」サービスおよび「バックオフィス業務支援」サービスをワンストップで提供している。

 

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ソフトウェア

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  • IBM Hybrid Cloud
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