Business Challenge story

把握できていない営業業務のプロセスと時間

日本通運 海運事業部で最も売上が高い業務が物品の輸出入業務です。輸出入業務では、1,000人近いメンバーが営業業務を担当しています。日本通運 海運事業部長の寺井克宏氏は、同事業部での営業業務の内容とともに、そこに潜在する問題を次のように話します。「営業業務には、本来の営業に加えて、お客様に対するカスタマーサービスと社内でのオペレーションがあります。つまり、営業業務を担当するメンバーは、お客様のところに伺って商談するだけでなく、お客様と輸出入に関するやりとりをしたり、実際の輸出入のオペレーションを自ら行ったりします。これまで、このようなやり方を続けることで、オペレーションが分かり、現場を知り、営業ができる人材を育ててきました。しかし、一方で、営業業務においてコア業務である『営業』という部分になかなか人手を割けず、時間がうまく使われていないという印象を持ち続けていました」。

日本通運 海運事業部は、このような営業業務のメンバーが何に時間を費やしているかが見えないという問題に加えて、時間外労働時間が多いという問題も抱えていました。寺井氏は、時間外労働時間が多いという問題が近年話題となっているワーク・ライフ・バランスにおける問題につながると考えていました。これらの問題に対処するため、日本通運 海運事業部は、営業業務全体をどのように見直せばよいかを検討するプロジェクトとして「業務改善プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは、営業業務を担当するメンバーの総労働時間を1割減らし、現状よりも10%の業務効率アップを目標としました。

Transformation

営業メンバーの行動を「見える化」

日本通運 海運事業部では、これまでにも作業現場のさまざまな場面で「見える化」による改善や工夫を行ってきました。しかし、営業業務に関しては、どの作業にどのくらいの時間が費やされているかを示すデータはありませんでした。業務改善プロジェクトの立ち上げと相前後して、寺井氏は、BPM(Business Process Management:ビジネス・プロセス管理)という管理手法の存在を知り、同事業部の情報システムセンター経由でBPMに関するIBMからの提案を受けました。これらに興味を持った寺井氏は、早速同事業部の横浜国際輸送支店のメンバーを対象にその行動を数値化することにしました。「営業という部分に人手を割けていなかったため、営業以外の作業に時間が使われているのだろうと想像していました。しかし、それがお客様とのやりとりを行うカスタマーサービスの部分なのか、社内でのオペレーションの部分なのかが分かりませんでした。このため、まず、オペレーションを中心に作業しているメンバーから、経験年数の違いを考慮して3名をピックアップし、その人の一日の行動時間を計測しました。これが『営業業務の見える化』の第一歩でした」(寺井氏)。日本通運 海運事業部は、このような行動時間の計測を延べ20人近くのメンバーに対して行い、客観的に見ることができる行動時間のデータを収集しました。

寺井氏は、営業部門のメンバーの一日の行動を見える化したことが大変に重要であったと話します。「一日の行動を見える化したことで、作業に不慣れであるために時間がかかっているなどの問題がたくさんあることが分かりました。行動を見える化した後には、IBMからのさまざまなアドバイスを参考にして、この問題はこのように解決しようなど、改善の切り口が数多く見えてきました。これらの問題を解決していけば、3割くらい時間を節約できるのではないかと言われたときには、私としてはモチベーションが一層上がりました」。

営業メンバーの行動を可視化して分かった問題はさまざまでした。メンバーのスキル向上で解決できるもの、教育によって解決できるもの、時間管理への意識を徹底することで解決できるものなど、業務改善のための切り口は多種多様でした。これらの1つに「現場とのやりとりに費やす時間が多い」という問題がありました。この問題の原因を探るために、日本通運 海運事業部はIBM Business Process Managerを利用することにしました。日本通運 海運事業部 情報システムセンター システム企画グループ 課長の下浜秀則氏は、IBM Business Process Managerの採用理由を次のように話します。「営業メンバーがシステムに向かって操作している時間だけであればストップウォッチなどで簡単に計れます。しかし、作業現場からは、上流部門である営業部門での確認不足による手戻りが多いとの報告はありましたが、主観的なデータでしかなく問題の根本が分かりませんでした。倉庫や輸送などの各部門と営業メンバーとの間でやりとりされるメールや電話が手戻りの多さを示しているとしても、実際にメールの内容を1件ずつ確認することは困難です。このためIBM Business Process Managerを使って、どのようなやりとりが行われているのかを『見える化』することにしました」。

Benefits

短期間でシステムを構築できる点を高評価

実際にIBM Business Process Managerによって得られた結果は、寺井氏や下浜氏の予想に反するものでした。「データ収集を行う前は、基幹システムの操作に時間がかかっているものと思っていました。しかし、実際のデータを見てみると、主な業務がオペレーションであるメンバーでさえも、基幹システムの作業時間は全体の15%程度でしかありませんでした」(下浜氏)。基幹システムでの操作以外のどの作業に85%もの時間が費やされているのか、日本通運 海運事業部はこの点に注目しました。「作業時間が一番大きかったものは、準備やメール操作など、基幹システムへの入力作業前に行っている『情報収集』で、相当な時間が費やされていました。このようなデータを得たことで『現場とのやりとりに費やす時間が多い』という問題は、基幹システムだけを考えて合理化すればよいという問題でなく、さまざまな切り口で改善しなければならないということが分かりました」(下浜氏)。

実際にIBM Business Process Managerによる計測は1週間程度で、対象人数も限定されたものでした。しかし、日本通運 海運事業部 情報システムセンター システム企画グループ 係長の生駒修一氏は、IBM Business Process Managerを使った計測の効果に好印象を持っています。「現時点では取り掛かったばかりで何かができたというわけではありませんが、このようなデータを見ることで改善のための切り口が分かることと、このようなデータをIBM Business Process Managerで収集できることを、経営層を含めて体感してもらえたことがよかったです」。また、下浜氏はIBM Business Process Managerでのシステム開発の容易さを高く評価します。「開発が非常に楽です。画面レイアウトを作るような感じで操作でき、視覚的に分かりやすいツールです。やりたいことが思い浮かんだら、簡単にシステムを作り上げることができます。手早く作れて、必要な情報を素早く収集できるという感想を持ちました」。同様に、生駒氏も「今回は作業の手戻りに関する部分にフォーカスしましたが、フロー図を描き、そこに分岐や処理を設定していくだけなので、他の場面にも使える柔軟なツールだと感じました」と話します。

 

将来の展望

業務改善を継続し、改善自体を習慣化

「業務改善プロジェクト」の一環として今回実施した業務プロセスの可視化は、日本通運 海運事業部の横浜国際輸送支店だけが対象でした。今後、日本通運は、東京、名古屋、大阪、福岡にある海運事業部の各支店での業務改善でIBM Business Process Managerを生かしていきたいと考えています。また、寺井氏は、「見える化」による業務改善を継続していくと話します。「営業業務の改善は継続していかなければなりません。また、その中でいろいろな考え方や手法を身に付けていきたいと思っています。特に、営業業務の改善では、時間管理という考えがもっと前面に出てくるべきだと思います。これまであまり意識してこなかった『時間管理』と、改善を進めていく上での『気づき』を意識できたことは、今回の大きな成果です。これを習慣化し、ある意味で企業文化にしていきたいと思います」。

 

お客様情報

陸・海・空、多彩な輸送モードを駆使し、国や地域といった境界線を越えて人や企業を結ぶ物流のコンサルタントとして、ワンストップのビジネスソリューションを提供する国際総合物流企業です。

 

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