Business Challenge story

1日3億件の広告配信に対する取引伝票情報を多角的に分析したい

株式会社マイクロアド(以下、マイクロアド)は、親会社である株式会社サイバーエージェントの一部門としてインターネット広告配信事業を展開していましたが、2007年7月に独立。現在、コンテンツ連動型広告である、MicroAdターゲット、ユーザーの趣味嗜好を分析して配信するMicroAd行動ターゲティング、広告主サイトへの訪問者に対して、広告を再配信するMicroAdリターゲティングどの事業を展開しています。

マイクロアドの事業の中核であるインターネット広告配信サービスは、「アドネットワーク」と呼ばれるビジネスモデルです。アドネットワークとは、大量の広告とウェブサイト、そしてウェブサイトの利用者をネットワーク化し、ITシステムを活用することでそれらを自動的にマッチングさせ、ウェブサイトの利用者にとって最適な広告を配信するための仕組みとなっています。

現在、マイクロアドでは、ポータル系、ニュース系、エンタメ系、IT情報系、金融系、女性系、ブログ、専門媒体、地域情報・口コミ情報など、さまざまなウェブサイトにマイクロアドの広告枠を設置してもらい、そこに自動的に広告を配信しています。

アドネットワーク事業本部 システムグループ マネージャー( 2010年12月時点) である松田佑樹氏は、次のように語ります。「広告とウェブサイトの利用者のマッチング方法としては、リターゲティング、行動ターゲティング、コンテンツ連動型の大きく3つの手法を採用しています」。

コンテンツ連動型は、ウェブサイトのコンテンツを言語解析し、そのコンテンツ内容に近い広告を選択して配信する手法です。リターゲティングは、広告主サイトの訪問履歴をもとに、一旦そのサイトを離れた訪問者がマイクロアドの提携サイトにアクセスしたとき、以前離れたサイトの広告をピンポイントに掲載する手法です。

そして行動ターゲティングは、サイトの利用者が過去に閲覧したページなどの行動履歴データと、広告主サイトの訪問者の行動履歴データを解析し、広告主にとって最適なユーザーを探し出して、ピンポイントに広告を配信します。

現在、マイクロアドが展開するアドネットワークに参加している広告主の数は数百社で、広告配信先の媒体数は数万サイトの規模で、広告を見ている利用者は月間5000万人以上、1日の広告表示回数は3億回を超えるといいます。

松田氏は、次のように語ります。「これは、毎日3億件を超える予測できない取引伝票が発生しているということです。そこで、3億件の取引伝票に対し、1件ごとに正確な取引伝票を生成し、誰もがそのデータを多角的に分析したり、閲覧したりできる仕組みを実現したいという思いがありました」。

集計分析BIは、蓄積されたデータをさまざまな角度から集計分析することで、販売活動の見える化を推進し、業務を最適化することが可能です。一方、発見型BIは、大量のデータに対して、統計・予測分析を行うことで、効果・効率を最大化する高度な広告配信システムを実現することができます。

従来は、この2つの仕組みを実現するために、各種マスタデータやログデータなど、テラバイト規模のデータを、オープンソースのデータベースであるMySQLに蓄積し、取引伝票の生成やプロファイリングデータの長期分析などを実施していました。

松田氏は、「分析・閲覧方法としては、単純にSQLクエリや、MapReduceと呼ばれる分散並列処理用フレームワークを利用して、データにアクセスしていました。また統計解析ツールとして、IBM SPSSなどのBIツールも利用していました」と話します。

しかしSQLクエリでは、テラバイトクラスのデータへのアクセスは現実的に実行不可能であり、またMapReduceは、定型処理に関してはパフォーマンスに問題はないものの、非定型処理においては運用が困難でした。さらにBIツールも、あまり長期で大規模なデータ分析は得意としていないなど、さまざまな課題を抱えていました。

Transformation

圧倒的な総合評価の差でIBM Netezzaを採用

マイクロアドでは、MySQLを中核とした予測・分析システムが抱える課題を解決するために、新たな予測・分析システムを構築することを決定。3社のデータウェアハウス(DWH)製品を比較検討した結果、IBM NetezzaDWHアプライアンス(以下、IBM Netezza)を採用することを決定しました。

選定のポイントとなったのは、(1)処理件数とスピード、(2)アドホッククエリの性能、(3)運用の簡便性の大きく3つのポイントでした。松田氏は、「IBM Netezzaを含めたDWH製品の検証では、3つの製品それぞれに5日分の実データをロードし、同じクエリを実行した場合の性能を比較しました」と話します。

その結果、1つ目のDWH製品は、データのロードだけで3日間かかってしまい、試行錯誤の甲斐もなく、最終的に中途半端なデータしかロードできませんでした。また、2つ目の製品は、検証用のクエリに最適化されたチューニングが施されており、チューニングをしていない状態での検証では性能に問題がありました。

一方、IBM Netezzaの検証に関しては、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)が行いました。CTC九段テクニカルソリューションセンター(TSC)に設置されているIBM Netezzaに、実データをローディングし、クエリ性能などの検証が実施されました。

松田氏は、「他社は提供した5日分のデータしか検証してくれませんでした。しかしCTCでは、5日分のデータを、3カ月分、6カ月分にそれぞれ増幅し、最大で約377億件、15テラバイト程度のデータを作ってクエリ性能の検証を実施してくれました。データを増幅して実施した検証の結果も非常に良く、IBM Netezzaのパフォーマンスの良さをあらためて実感しました。このことにより、CTCのサポートにも非常に良い印象を持ちました」と話します。

検証の結果も単純クエリの性能においては、3製品とも大きな差はなかったものの、データを増幅させた場合やローディングの性能、チューニング、運用性などを総合的に判断した結果では、「圧倒的にIBM Netezzaが優勢でした」と松田氏は言います。

マイクロアドでは、2010年2月から1週間程度、実機による検証を実施し、その後、約1カ月かけてシステム構築のための検討を実施。3月後半から約3日間という短期間でIBM Netezzaを導入し、4月より本格的な運用を開始しています。

Benefits

IBM Netezza導入でクエリ性能がMySQLの100倍に

IBM Netezzaを導入した効果を松田氏は、次のように語ります。「IBM NetezzaとMySQLでは、クエリ性能が100倍以上の差となっています。また、行動ターゲティング分析で利用しているIBM SPSSに加えて、IBM Netezzaを導入したことで長期間のデータも容易に分析できるようになりました」。

マイクロアドでは、IBM Netezzaを導入した新しい分析システムを「Vernier(バーニア)」と呼んでいます。 Vernierとは、ノギスの副尺やロケットの姿勢制御エンジンのことです。松田氏は、「Vernierという名称には、我々のビジネスにおいて、情報を精密に集計・分析し、事業の向かう先を的確に姿勢制御したいという意味が込められています」と話します。

Vernierでは、マスタデータやログデータから必要な情報を抽出し、変換してIBM Netezzaにロードし、各担当者がPCから大量データに対するアドホック分析を実施する仕組みになっています。IBM Netezzaから抽出された情報は、オフィスの天井に設置されたモニターでリアルタイムの分析情報としても表示されます。

松田氏は、「オフィスの天井にモニターを設置することで、これまで見えにくかったあらゆるデータを見える化することができました。これにより、社員一人一人に業務改善や効率化の意識が一気に芽生えました」と話しています。

将来の展望

次世代広告配信システム構築に向け IBM Netezza Analytics (元Netezza iClass) に期待

今後、マイクロアドでは、IBM Netezzaを導入したVernierを中核に、次世代広告配信システムの実現を目指しています。松田氏は、「これまでの配信システムは、マッチングロジックの判断にゆだねられているために、どのサイトにどの広告が表示されるかは、表示される瞬間まで分かりませんでした」と話します。

しかし、予測・分析システムとIBM Netezzaの処理能力の強力な連携により、数百社数十万件の広告と数万サイトの媒体、5000万人のサイト利用者のすべての組み合わせを予測・統計解析し、広告効果と収益性が最大化するパターンを瞬時に発見、最適な広告を配信する次世代広告配信システムの実現を目指しています。

松田氏は、「次世代広告配信システムでは、解析対象データが膨大になるため、IBM Netezzaソフトウェア・リリース6.0で標準サポートされるIBM Netezza Analyticsを活用する計画です。これにより、外部のBIツールを使うことなく、IBM Netezzaの中で、大量データに対して、より高速に予測や統計解析が可能になります」と今後の期待について語っています。

*当記事は2010年12月時点での取材/インタビュー内容に基づき編集されたものです。

お客様の声

アドネットワーク事業本部 システムグループ マネージャー松田祐樹 氏(2010年12月時点)

「1日3億件の広告配信に対し、1件ごとに正確な取引伝票を生成し、誰もがそのデータを多角的に分析したり、閲覧したりできる仕組みを実現したいという思いがありました」。

「これまで見えにくかったあらゆるデータを見える化することができました。これにより、 社員一人一人に業務改善や効率化の意識が一気に芽生えました」。

「次世代広告配信システムの実現に向け、IBM Netezzaソフトウェア・リリース6.0で標準サポートされる IBM Netezza Analytics (元Netezza iClass) には、大きな期待を寄せています」。

お客様情報

株式会社マイクロアドは、親会社である株式会社サイバーエージェントの一部門としてインターネット広告配信事業を展開していましたが、2007年7月に独立。現在、コンテンツ連動型広告である、MicroAdターゲット、ユーザーの趣味嗜好を分析して配信するMicroAd行動ターゲティング、広告主サイトへの訪問者に対して、広告を再配信するMicroAdリターゲティングどの事業を展開しています。

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • PureData System for Analytics (powered by Netezza technology)
    • SPSS Modeler