Business Challenge story

BCPの強化に加え、パフォーマンス向上を目指してシステムを刷新

これまでJDLでは、IBM i 5.4(旧称:i5/OS V5R4)が稼働するIBM Power 520(以下、Power 520)をベースに基幹システムを構築し、社内外のサービスを運用してきました。販売サポートや受発注業務、顧客管理といった販売系システム、人材管理や給与管理などの総務系や社内ユーザー向けサービスを稼働。加えて顧客向けWebサービスを同じシステム基盤上で展開してきましたが、Webサービスのユーザー数が伸びていく中、システムに課題が生じていました。

JDL 総務本部 情報システム部 部長 山本信夫氏は、「ここ5、6年でインターネットを通じたWeb系のユーザー向けサービスが非常に増え、ユーザー数も伸びたことで、ディスクやメモリーも圧迫されてきていました」と話します。

「テクノロジーも市場ニーズも変化していく中では、システムには定期的な見直しが必須」(村越氏)という考え方から、JDLでは5年置きにシステムを刷新してきており、今回もそのタイミングで見直しが行われていました。しかし、2011年に発生した東日本大震災、タイの洪水の影響により、あるべきBCP(事業継続計画)の形に対する考え方が大きく変わったことで、サプライチェーン全体の見直しを含めて進めることになりました。そして前回のリプレースから6年目にあたる2012年にシステムの更新を行うことになりました。

今回のシステム要件としてJDLが強く意識したのがBCP対策です。それまではテープでのバックアップを行ってきました。テープによるバックアップは銀行系システム等でも利用されてきた実績があり、信頼性についても一定の評価がありますが、オペレーションや物理的なテープの受け渡しが課題になっていました。

また、レスポンスの低下も課題になっていたと山本氏は話します。「メモリーを増設するなどの対策を施してきたものの、従来30分で終わっていた作業が2時間近くかかるようになっていました」。月末など処理が集中する時期には業務に遅れが出るなどの影響が懸念され、システムの抜本的な見直しが必要となっていました。 そこでJDLでは、バックアップ体制の強化を含めた基幹システムの刷新を行いました。

Transformation

IBM ProtecTIERとMIMIX Availabilityで強固なバックアップ体制を構築

災害時も含めたデータ・バックアップの対策強化としては、バックアップ専用ストレージのIBM ProtecTIER(以下、ProtecTIER)が選択されました。山本氏はProtecTIERを選んだ理由として、バックアップ時だけでなく、リストア時の優れた操作性を挙げます。

「他社で候補に挙がったものは、非常時に行わなければならない操作を実際に自分たちが理解するのに非常に時間がかかりました。使ってみて分かることですが、操作性の良さには大きな差があり、ProtecTIERに軍配が上がりました」。

BCP対策としては、Vision Solutionsが開発するIBM i向けの災害対策データ同期ソリューションのMIMIX Availability(以下、MIMIX)が採用されました。MIMIXについては、サポート体制や事例の多さが選択の決め手になったと、JDL 総務本部 情報システム部 課長 髙橋浩氏は話します。

「データ同期ソリューションに求めるものは、何か起きたときのサポートです。本番環境とバックアップ環境の同期が外れてしまうことは、やはり起こり得ます。そうしたとき、どういった手順で切り戻しすればいいのか、その際のサポートが手厚いと、提案資料を見て思いました。作業ルーティンだけでなく、手作業による切り戻しの事例も多くレベルが高いと感じました」。

システムの基盤プラットフォームとしてJDLが新たに採用したのは、IBM Power 720(以下、Power 720)です。それまで使用してきたPower 520の後継として、既存環境で動作しているアプリケーションをスムーズに移行できるだけでなく、パフォーマンスと拡張性また可用性を重視して、長年にわたりJDLのシステム構築をサポートしているJBCC株式会社(以下、JBCC)の提案をもとに選定されました。 「今の時代、ビジネスを止めるわけにはいかないので、システムの停止は極力避けなくてはなりません。その点で、これまで使用してきたPower 520の実績からIBM Power Systems製品の可用性には高い信頼を置いています」(村越氏)。

また、今回のシステム刷新では、より柔軟にリソース配分が行えることも大きなポイントとなりました。Power 720では動的にCPUリソースの割り当てが変更可能なDynamic Logical Partitioning(Dynamic LPAR)で、プロセッサーの仮想化を行うことでリソース活用の柔軟度を上げ、業務のピークやユーザーの増加などへの瞬時の対応が容易になっています。

「今はビジネスの変化が激しく、それに伴って必要となるシステムもリソースも予測が難しくなっています。そのため、システムはいかにスケールアウトできるかが重要です。ビジネス環境の変化に臨機応変な対応ができることが大切だと考えるからです。そのため今のシステムにおいては、ダイナミックにリソースを配分できることは、システム要件の重要な要素です」(村越氏)。

最終的な構成としては、それまで2コアで運用してきたものを6コアに増強してパフォーマンスを確保。合わせてオペレーティング・システムをIBM i 5.4から最新のIBM i 7.1にバージョンアップし、従来2区画だった論理区画を5区画へと増やしました。同様の構成のPower 720を本社側と郡山工場の2カ所に構築。ProtecTIERでバックアップを行い、仮想テープで管理したデータをネットワーク経由で転送することで、物理的なテープの運搬をなくしました。それにより、テープを受け渡す手間だけでなく、ローディング時やイニシャライズ時の不具合によるデータの損失のリスクも無くなりました。加えてデータ同期をMIMIXで行い、リアルタイムにデータをコピーすることで、よりスピーディーかつ効率的にバックアップが行え、万一の場合にも素早くシステムを復帰、業務を再開できる環境が整いました。

Benefits

バックアップの効率とオペレーションが向上。より信頼性の高いシステムに

今回のProtecTIERとMIMIXの導入で、バックアップとそれに伴うリストアについての信頼性が大きく高まったと村越氏は話します。

「仮想テープで管理しネットワークを使うことで、バックアップの効率やオペレーションが一段とよくなりました。また、リストアの作業は非常に神経を使うものです。現場で作業する担当者は、十分に注意して作業しながらも、常にミスを恐れながら作業しているのではないでしょうか。緊急性も高く、緊張を強いられる場です。ですからそこで使用するアプリケーションに重要なのは、操作のシンプルさだと考えています。シンプルな操作性は確実なバックアップとリストアにつながり、さらにはシステム全体の信頼性につながると思うので、非常にこの点は安心できるものになったと考えています」。

MIMIXでのリアルタイムなデータの同期により、万一の事態にもより早い復旧が行える体制がとれるようになったことも評価されています。

システム基盤となるハードウェアを刷新したことで、懸案であったパフォーマンスが劇的に改善されました。これにより業務のボトルネックとなっていた処理待ちも解消されました。

「今回のシステムでは、CPUを以前の2つから6つと3倍に増やしています。工場側のデータでいうと、5年前と比較してデータ量は1.5倍ほどに増えていますが、CPU性能の向上もあり、CPUをフルに使わなくても3倍分以上のパフォーマンスが出ています。工場側での業務はそこまでひっ迫していなかったのですが、本社側の販売サポートとリレーションしながらインタラクティブに動くシステムがあり、本社側の処理待ちになる部分がありました。今回のリプレースで本社側の処理が速くなったので、連動してこちらの業務もスピードが上がっています」(村越氏)。

データ処理においては、それまで2時間かかっていたものが10分で終わるようになり、パフォーマンスが10倍以上に向上しています。月末に向かうに従って処理するデータも増加するため、ますます効果が実感されるのではないかと髙橋氏も話します。

「運用面では、CPUのリソースをスケジューリングできるのは大きいです。われわれのサービスでは、お客様からのアクセスも月末に近づくに従って多くなり、また税務関係の処理が集中するタイミングでは負荷が増えます。そのようなときに、ダイナミックに調整できるというので、非常に期待しています」。

また、オペレーティング・システムのバージョンアップに伴い、アプリケーションも移行されました。「移行作業はJBCCに行っていただきましたが、大きなトラブルも、こちらで手を入れなければいけないこともなく、スムーズに完了しました」(髙橋氏)。

最終的なシステム構成について、コスト面とパフォーマンスのバランスも非常に満足できるシステムになったと、髙橋氏は話します。

「従来のシステム構成では、システム性能がCPUのコア数に依存していました。そのためシステム全体のパフォーマンスを上げようとするとCPUが多く必要となり、どうしてもコストがネックになっていました。しかし、今は5つの区画で柔軟にCPUを活用できるので、業務のピークや使用するアプリケーションに合わせたシステム利用が可能です。以前よりコア数は増えてはいますが、利用状況に応じて自由にリソースを振り分けられるので、トータルに考えるとコスト・パフォーマンスの非常によい構成になっていると思います。今後、新たなサービスを検討していく上でも、この環境の中でいろいろなやりかたができるかと考えると、非常に楽しみです」。

 

将来の展望

新たなシステム基盤上で、分散処理やPDMを検討

JDLのシステムの将来像について、村越氏は次のように話します。

「これまで販売サポートや生産管理、物流などをシステムの中で融合してきましたが、システムが出来上がったそのときは最適化されていても、その状況が一年と持たなくなってきています。ですからできるだけシンプルな構造にしておき、各システムが有機的につながるようなことをイメージしています」。

JDLでは完成したシステムを生かして、今後は本社側と工場側の両システムを使った分散処理なども検討していきたいと考えています。またPDM(製品情報管理システム)の仕組みを新しくし、これまでの顧客サポートのデータと融合させて、新たなサービスの提供も検討しています。

 

お客様の声

株式会社日本デジタル研究所 取締役 郡山工場長 村越 哲雄氏

「今の時代、ビジネスを止めるわけにはいかないので、システムの停止は極力避けなくてはなりません。その点で、これまで使用してきたPower 520の実績から、IBM Power Systems製品の可用性には高い信頼を置いています」

株式会社日本デジタル研究所 総務本部 情報システム部 部長 山本 信夫氏

「トラブルに対処する際に、操作性のよさは非常に重要です。ProtecTIERはその操作性において、他社製品と一線を画すものがありました。バックアップからリストアまで、安心してデータを任せられるシステムになりました」

株式会社日本デジタル研究所 総務本部 情報システム部 課長 髙橋 浩氏

「今は5つの区画で柔軟にCPUを活用できるので、業務のピークや使用するアプリケーションに合わせたシステム利用が可能です。以前よりコア数は増えてはいますが、利用状況に応じて自由にリソースを振り分けられるので、トータルに考えるとコスト・パフォーマンスの非常によい構成になっていると思います」

 

お客様情報

株式会社日本デジタル研究所は、1968年の創業以来、会計事務所や企業経理部門の業務効率化に特化。多くのユーザーに利用される会計サービスを提供しています。コンピューター・システムの開発に始まり、現在ではSaaS型ソフトウェア提供サービスによる会計事務所統合ソフト「JDL IBEX組曲net」、ネットワークサーバー「JDL SERVER Universal」など、最新のITを活用したサービスを提供しています。

 

パートナー情報

1988年設立のJBCC株式会社は、製造業、流通業、サービス業を中心にさまざまな業種や業態のお客様にソリューションを提供しています。同社は、お客様第一、プロとしての価値実現、スピードと実行を基本にし、お客様満足度向上のために努力し続けています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

ソフトウェア

  • IBM i 7.1
  • IBM PowerVM
  • MIMIX Availability

Solution Category

  • Systems Hardware