Business Challenge story

膨大なログ・データを高速に処理し、試行錯誤で分析モデルを開発できる柔軟なツールが必要不可欠

2004年、マイクロアドの親会社である株式会社サイバーエージェントの一部門が、アドネットワーク事業を開始し、2007年に会社分割でマイクロアドが設立され、その事業を引き継ぎました。膨大なログ・データの分析に積極的に取り組んできたのが、同社アドネットワーク事業本部 京都研究開発所所長を務める野口航(わたる)氏です。当初は、野口氏自身は、分析の知識・経験はほとんどなく、独学で統計学や分析を学び、分析ツールなどについて情報収集する中で、IBM SPSSソフトウェアの存在を知りました。そこで、まずは統計解析ソフトウェアのIBM SPSS Statisticsを導入し、ログ・データについて基本的な分析を行いながら、統計や分析に関する知識やノウハウを蓄積していきました。

実際のアドネットワークの広告配信用に、行動ターゲティングの「分析モデル」を開発して組み込むためには、いくつかの課題がありました。一つは、インターネット・ユーザーの行動・閲覧履歴に基づいて興味・関心領域を推定するモデルを構築する際に、推定の精度を高めるために、さまざまな試行錯誤が可能な、柔軟な分析を行う必要があったことです。

もう一つは、月間5,000万人を超えるユニーク・ユーザー(クッキー数では月間3億ユーザー)をデータベース化しており、ログ・データとしてはまさに、「ビッグ・データ」と呼ばれるにふさわしい膨大なデータを処理しなければならないことです。このため、分析内容によっては、分析が完了するまでに数時間を必要としたこともありました。しかし、リアルタイムに近い対応が求められるアドネットワーク事業では、迅速なデータ処理が不可欠でした。

Transformation

IBM SPSS Modelerと高速処理が可能なデータウェアハウスの連携

まず、行動ターゲティングの核となる、インターネット・ユーザーの興味・関心領域を推定する「分析モデル」の開発は、まずデータ・マイニング・ソフトウェアのIBM SPSS Modelerのデスクトップ版を導入、分析モデル構築の試行を開始しました。同社には優れた技術者が多数在籍しており、商用の分析ツールを使わずにプログラミングして開発するという選択肢もあったそうです。しかし、操作画面の圧倒的な使いやすさ、そして、さまざまな試行錯誤が容易なIBM SPSS Modelerの採用に至ります。

IBM SPSS Modelerの採用について、野口氏は次のように話します。「私は技術者ではないため、ユーザー・インターフェースがわかりやすく、マウスを動かすだけでさまざまな分析処理が可能なIBM SPSSソフトウェアが最適だと判断したのです。」

一方、膨大なデータを迅速に処理するという課題については、データウェアハウスとしてIBM Netezza データウェアハウス・アプライアンスを導入しました。同システムは、群を抜くデータ処理速度に定評があります。また、IBM SPSS Modelerはサーバー版であるIBM SPSS Modeler Serverにアップグレード。分析ツールのデータ処理能力も高まりました。さらに、分析資産管理ツールのIBM SPSS Collaboration and Deployment Servicesを導入し、定常的な分析業務を自動化、スケジュール化したり、アラート通知のメール配信設定などを行い、分析業務の効率化を図りました。

Benefits

データの高速処理と、精度の高い分析モデル開発に成功

現在、同社のアドネットワークの行動ターゲティングには、IBM SPSS Modelerによって開発された、各種の分析モデルが組み込まれています。こうしたモデルのスコア(係数)は、常に最適な広告が表示されるよう、日々更新されています。すなわち、日次ログ・データをインポートし、SPSS環境で算出した最新のスコアをデータベースにエクスポートすると、アドネットワークの配信システムがその値を取り込み、モデルに反映されます。この一連の作業が、IBM SPSS Collaboration and Deployment Servicesを用いて自動実行されているのです。

そして、IBM SPSSソフトウェアによる分析を支えているのが、膨大なログ・データを高速に処理できるIBM Netezza データウェアハウス・アプライアンスです。野口氏によれば、導入以前は数時間を要していたデータ処理が、導入後はわずか数分に短縮されたケースもあり、最新のスコアをより早く適用することを可能にしました。

野口氏は、もしIBM SPSSソフトウェアを活用した分析モデルの開発に成功していなければ、アドネットワーク事業で成果を出すことはできなかったかも知れないと考えています。当初は、統計や分析の知識や経験も浅かった野口氏が、インターネット・ユーザーの興味・関心領域を高い精度で推定するモデルを構築することができたのは、野口氏のような文系のマーケターにも抵抗のないIBM SPSSソフトウェアのこなれたユーザー・インターフェースや、試行錯誤を可能にする多様な分析機能が大いに助けとなったからです。

将来の展望

ログ・データをさらに深掘りする分析へ

同社では、インターネット・ユーザーの興味・関心領域を推定するモデルに加えて、性別・年齢・職業などのプロフィールを推測し掛け合わせるオーディエンス・ターゲティングにも注力しています。さらに現在は、広告表示権を高速証券取引のように0.1秒以内に入札して売買する新システム「MicroAd BLADE」の開発を進めています。その裏側には0.1秒以内に広告枠の適正価格を算出するアルゴリズムが組み込まれています。こうした多様で高度な分析に、IBM SPSSソフトウェアをさらに活用していくと野口氏は語っています。「ログ・データから得られるデータ項目は限られていますが、深く分析すればするほど多くの新たな発見をすることができます。」

お客様情報

2007年、株式会社サイバーエージェントから会社分割して設立され、ユーザー・マッチ型広告配信サービス事業を引き継ぐ。多数のWebサイトを集めた大規模なアドネットワーク(広告枠)を保有し、行動ターゲティングなどの最新の広告配信技術を活用して、「広告を情報へ」をビジョンに、広告主とWebサイト運営者に的確なソリューションを提供している。

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud