Business Challenge story

ICカードを通じて蓄積される膨大な利用者行動データの分析が必要

名古屋鉄道、名鉄バス、豊橋鉄道が発売するmanacaの発行枚数は、2012年4月末現在で約110万枚。また、名古屋市交通局などが発売するmanacaを合わせると、約250万枚の発行枚数になります。

同カードには、2種類のポイントサービスが提供されています。一つは、「manacaマイレージポイント」。こちらは、どのmanaca交通事業者で購入したカードでも利用可能で、電車・バスなどに乗車した実績に応じて自動的にマイレージポイントがたまる仕組みです。

もう一つは、「名鉄たまルン」と呼ばれるポイントサービス。これは、名古屋鉄道、名鉄バス、豊橋鉄道から発売されるmanaca限定のサービスで、manacaを購入後、会員登録を行うことで利用できるようになります。ショッピングや飲食時に、manacaを電子マネーとして使用して決済すれば、利用金額に応じてポイントがたまる仕組みになっています。

2012年7月現在、「名鉄たまルン」会員は約17万人に上ります。名古屋鉄道にとって、manaca利用者が「名鉄たまルン」会員となり、電子マネー機能を活用してもらうメリットは2点あります。1点目は、カード登録時に利用者の属性データとe-メール・アドレスの情報を取得できることです。記名式のmanacaを購入する時点では、氏名、生年月日、性別、電話番号の4項目の情報のみ取得できますが、「名鉄たまルン」会員については、居住地や職業など、より詳細な属性データが得られることに加えて、利用者のe-メール・アドレスが入手できます。したがって、メールマガジン発行などを通じた消費者とのコミュニケーションが可能になるのです。

2点目は、電子マネーとして利用された場合、「名鉄たまルン」会員の購買行動に加え、会員以外のmanaca利用者の購買行動も補足できることです。manacaは基本的に鉄道、バスなどの乗車券として用いられるので、利用者の乗車駅、下車駅など、交通機関を利用した移動データが蓄積されます。また、電子マネーを利用する場合には、乗降駅周辺の店舗での購買データが蓄積されます。さらに、「名鉄たまルン」会員については、居住地や職業などのより詳細な情報を加えた購買データが取得できます。そのため、消費者の移動データと購買データ、そして会員登録時に取得した属性データを統合して分析することで、愛知・岐阜地域における消費者の行動をより詳細に、深く掘り下げて理解することができます。

そこで、名古屋鉄道では、「名鉄たまルン」ポイントサービスを担当する、同社事業推進部の販売促進担当、およびIT推進担当が中心となり、manaca運用開始直後から、分析ツールの導入の検討を開始しました。

Transformation

仮説立案、検証が可能なツールとしてSPSS Modelerの導入を決定

manacaによる、名古屋鉄道加盟店における電子マネー決済件数は1日あたり約3万件に上ります。また、利用交通機関の乗車駅、降車駅などの移動に関するデータはその10倍以上に上り、日々、膨大な消費者の購買情報、移動情報が生み出されています。このビッグデータを分析するためのツールとして、名古屋鉄道では当初、あらかじめ設定した分析軸で自動集計し、その集計結果を閲覧できるBI(Business Intelligence:企業内で発生・蓄積する膨大なデータを効率よく活用して意思決定を改善し、事業展開や経営活動の改善・向上に活用する手法)ツールをテスト導入していました。

確かに現状や過去の状況把握は可能でしたが、より具体的な施策への展開を行う必要があるため、他の分析ツールの検討も開始しました。事業推進部 販売促進担当課長、矢野 裕 氏は次のように語ります。

「データ分析は、事業戦略に基づく、なんらかの経営・マーケティング課題を解決するために行うべきものです。ですから、まず『顧客数を増やしたい』『売上を伸ばしたい』といった目的を明確化すること、そしてそのために『どんな施策が有効なのか』について仮説を立案する。その仮説を検証するためにデータ分析を活用するという『演繹的な発想』がなければなりません。ですから、分析ツールもこうした仮説立案・検証が可能なものであることが必要なのです」。

そこで、分析ツールの基本要件として、(1)大容量のデータを迅速に処理できること、(2)操作が容易であること、(3)仮説立案・検証ができること、の3点に基づいて検討した結果、ビッグデータの分析のためにSPSS Modelerの導入が決定されました。

Benefits

分析モデル構築における操作性の高さに加えて、分析に関する知識継承の容易さも評価

同社では、SPSS Modelerのトレーニングを終え、本格的な活用に取り組み始めたところです。SPSS Modelerには多様で高度な分析手法が標準機能として装備されています。分析担当者は、こうした分析手法を簡単な操作で利用しながら、仮説に基づく分析モデルの構築、検証ができることを実感しています。分析の流れが「ストリーム」として可視化できる点について、事業推進部 IT推進担当の森 考啓 氏は、次のように述べています。

 「弊社では人事異動もあり、長期にわたって分析専任者を置くことが難しい状況です。SPSS Modelerでは分析プロセスが目に見えるので、新任者への説明も容易で、分析に関する知識の継承が可能という点も高く評価しています」。

将来の展望

ICカード利用者データを販促施策提案などに活用。加盟店開拓のための営業活動の武器にも

manaca利用者で、かつ「名鉄たまルン」会員については、移動データ(交通機関利用データ)、および購買データ、属性データを統合した形で利用者の行動分析を深めていく予定です。事業推進部 販売促進担当チーフの大竹 麻衣子氏は次のように今後の計画について説明します。

「利用者がどのように移動し、どのようなお店を買い回りするのかについての『予測モデル』を構築し、利用者のセグメンテーション(一定の基準に基づいて分類すること)や、加盟店の集客支援や販売増に役立つ販促施策提案、メールマガジンやダイレクト・メールを通じた、会員に対する適切な『オススメ情報』の提供に活用していきたいと考えています」。

また、事業推進部 販売促進担当の鈴木 将太 氏は「SPSS Modelerによる分析によって、データの裏付けがある提案が可能になります」と語ります。

データ分析に基づく販促施策の提案力は、既存の加盟店への支援に役立つだけでなく、加盟店新規開拓のための営業活動においても、大きな武器になると期待されています。

お客様情報

1894年創業の愛知県・岐阜県を基盤とする大手私鉄。名古屋を中心に広がる路線網は444.2キロ、日本の私鉄では第3位。名鉄グループとして、レジャー・流通、不動産など多角的に事業を展開。グループ傘下企業数は約150社、グループ総従業員数は約32,000人。

テクノロジープラットフォーム

IBM Business Analytics について IBMのビジネス・アナリティクス・ソフトウェアは、業績改善に取り組む意思決定者に対し、実践的な洞察を提供します。IBMは、ビジネス・インテリジェンス、予測分析と高度な分析、財務パフォーマンスと戦略の管理、ガバナンス、リスクおよびコンプライアンス(GRC)、そしてアナリティック・アプリケーションからなる包括的なポートフォリオを用意しています。 IBMソフトウェアは、ビジネスの傾向やパターンあるいは異常の発見、仮説に基づくシナリオの比較、潜在的な脅威や機会の予測、重要なビジネス・リスクの特定および管理、さらには経営資源に関する計画、予算および予測を実現します。IBMの世界中のお客様は、この充実したアナリティクスを使うことで、業績への理解を深める一方、成果への予測を高め、目標への確かな道筋をつけることができます。

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • SPSS Modeler