各国の強豪選手の直近の戦いぶりを確認し、対戦時の作戦を立てるのです。

独立行政法人日本スポーツ振興センター, ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部 研究員 博士(工学), 尾崎 宏樹氏

Business Challenge

JISSは2017年、公益財団法人日本卓球協会(以下、日本卓球協会)より、「国際大会の試合映像の分析をAIによって効率化できないか」との相談を受けます。協会では、各国の強豪選手の試合映像を収集し、スポーツ・アナリストらが映像の編集やスタッツに関する情報のタグ付けを行ってJISSのスポーツ映像データベース「JISS nx」に登録しています。大会中、ナショナルチームの選手やコーチは試合の合間にそれらの映像を見ることでライバル選手の戦いぶりを確認し、対戦時の作戦を練るのです。しかし、近年は日本選手の活躍や分析ニーズの高まりから、分析作業が追いつかないという悩みを抱えていました。JISSはAIがラリーシーンやスコアボードを認識してある程度のタグ付けを行い、必要に応じて人が修正・追加するというアプローチでこの課題を解消すべく、本格的な検討を開始します。

Transformation

プロジェクトはJISSと日本IBMの共同研究としてスタートし、「IBM Power Systems」上で人気の高いオープン・ソースのディープ・ラーニング・フレームワークを用いて卓球用AIの開発が行われます。IBM東京基礎研究所が主となってアルゴリズムを開発し、IBMラボ・サービスがシステムの実装を担当しました。2017年度内に3カ月でアルゴリズムを作り、2018年度はそれを使ったシステムを開発。ネットワークを介してアップロードされた映像データをJISSのサーバー上でバッチ処理により分析する使い方と、海外など通信環境が不安定な環境でノートPCにインストールしたAIによって現地で分析する使い方が想定されます。タグ付きの映像を専用のビューアーアプリで閲覧すると、タグを基にして各種スタッツが算出され、映像と合わせて表示されます。

Benefits

AIとシステムの開発は順調に進み、2019年度はAI以外のソフトウェアの改良と運用に関する調整が行われた後、現場での利用が徐々に始まりつつあります。AIによるタグ付けにより、試合映像の収集から分析済みの映像を選手が見られるようになるまでの時間が半分以下に短縮されるほか、主要な試合は事前に分析を済ませておくことが可能になります。また、AIに基本的なタグ付けを任せることで、アナリストはより高度な分析作業に時間を割くことができます。JISSでは、開発したAIをバドミントンをはじめとする他のラケット競技などに横展開することも検討しています。

 

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Solution Category

  • Systems Hardware